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第十七部・クリスマスパーティー 編
羽田に降り立った麻衣
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そんな彼が本当に安らげるのが、自宅にいる時と休日だ。
だから休日に無理に旅行とか、わざわざ疲れる事をしなくても……と思ってしまう。
気遣ってくれるのはありがたいが、佑の疲れを癒すのを最優先にすべきでは感じている。
幾ら健康的な食事をして、運動も欠かしていないとはいえ、これだけ多忙にしていればいつか倒れてしまうのでは……と思う。
この時ばかりは、元カノの美智瑠が心配していたの気持ちが分かる。
「私は佑さんがいればどこでもいいからね。国内の温泉も最高だよ」
「ん、じゃあゆっくり考えようか」
「北海道でドライブ旅行でもいいな」
普段は運転手がいて当たり前の生活をしている。
けれど佑も運転は好きらしい。
先日も少しの距離だが、彼が運転する車に乗せてもらった。
あの時の幸せ、ときめきをもっと味わいたいとも思う。
「いいな、北海道ドライブ。運転のしがいがありそうだ」
「でも、二人きり……にはなれないのかな?」
「どうだろうな? 万が一の事を考えないといけないから、気づかない距離でついてくる……というのはあるかもしれないが」
「うん」
「ムードがなくてごめんな」
「ううん。あのね……。こう言うとアレなんだけど……。ドライブって、親と麻衣、あとは健二くんぐらいしか思い出がないの。……だから、いつか佑さんに塗り替えてほしい」
我ながらずるいなと思いつつ言ってみると、明らかに佑の顔つきが変わった。
「絶対に行こう」
「ご、ごめん。そう言わせたかったんじゃなくて……」
「分かってる。俺が香澄とドライブをしたかっ」
「あ!!」
話している途中だったが、香澄は赤いスーツケースを引きずった親友の姿を見つけ、立ち上がった。
さすがに大声で名前を呼ぶのは恥ずかしいので、ブンブンと手を振りながら走っていく。
「ちょ、香澄……」
後ろから佑の声が聞こえたが、「話し途中でごめんなさい、あとで!」と思いつつ走る。
「あー! 香澄!」
麻衣は防寒ばっちりな水色のダウンコートに、ジーンズだ。
目印になっている赤いニット帽もちゃんと被っている。
「久しぶりー!」
がばっと抱きついた香澄は、満面の笑みで麻衣の肩口にぐりぐりと顔を押しつけた。
「久しぶりってあんた、二か月前じゃん」
突っ込みつつも、麻衣は香澄の背中をポンポンと叩いて歓迎してくれる。
と、麻衣が香澄の体をやんわりと押す。
「ん?」と思って麻衣を見ると、香澄の後ろを見て固まっていた。
その視線の向こうには、佑がいる。
(カッコイイって思ってるのかな……? よしっ)
佑の格好良さを親友と共有できたと思った香澄は、内心グッと拳を握る。
「麻衣さん、お久しぶりです」
佑はよそ行きの微笑みを浮かべ、握手を求める。
「ど、どうも!」
そこで、向こうからアロイスとクラウス、マティアスがやってきた。
「カスミ、その子がマイちゃん?」
アロイスに声を掛けられ、香澄は「はいっ」と頷く。
が、その横で麻衣は「え!? えぇっ!?」と顔面凶器三人、もとい四人を前に完全に恐れをなしていた。
いつもなら大らかで頼れる麻衣が、金髪双子美形と茶髪美形、そして佑を前に完全に怯えきり、香澄の後ろに隠れている。
「麻衣ったら、大丈夫だよ。皆さんいい人だから」
「そ、ソウイウモンダイジャナイ……」
少し振り返ると、彼女は真っ赤になっている。
(か、可愛い……!)
親友の乙女な面を見た香澄は、一人で感動していた。
「ねぇ、マイちゃん。俺はアロイス。握手してくんない?」
アロイスが右手を差し出し、覗き込むようにして麻衣を覗き込む。
「あ、ご、ごめんなさい。失礼でしたよね」
挨拶すらまともにしていなかったと気づき、麻衣は勇気を出してブルブルと震える手でアロイスの手を握った。
その途端――。
「ふぎゃっ!」
グイッと引き寄せられたかと思うと、麻衣はアロイスにハグをされ、両頬にビズ――軽いキスをチュッチュッとされていた。
だから休日に無理に旅行とか、わざわざ疲れる事をしなくても……と思ってしまう。
気遣ってくれるのはありがたいが、佑の疲れを癒すのを最優先にすべきでは感じている。
幾ら健康的な食事をして、運動も欠かしていないとはいえ、これだけ多忙にしていればいつか倒れてしまうのでは……と思う。
この時ばかりは、元カノの美智瑠が心配していたの気持ちが分かる。
「私は佑さんがいればどこでもいいからね。国内の温泉も最高だよ」
「ん、じゃあゆっくり考えようか」
「北海道でドライブ旅行でもいいな」
普段は運転手がいて当たり前の生活をしている。
けれど佑も運転は好きらしい。
先日も少しの距離だが、彼が運転する車に乗せてもらった。
あの時の幸せ、ときめきをもっと味わいたいとも思う。
「いいな、北海道ドライブ。運転のしがいがありそうだ」
「でも、二人きり……にはなれないのかな?」
「どうだろうな? 万が一の事を考えないといけないから、気づかない距離でついてくる……というのはあるかもしれないが」
「うん」
「ムードがなくてごめんな」
「ううん。あのね……。こう言うとアレなんだけど……。ドライブって、親と麻衣、あとは健二くんぐらいしか思い出がないの。……だから、いつか佑さんに塗り替えてほしい」
我ながらずるいなと思いつつ言ってみると、明らかに佑の顔つきが変わった。
「絶対に行こう」
「ご、ごめん。そう言わせたかったんじゃなくて……」
「分かってる。俺が香澄とドライブをしたかっ」
「あ!!」
話している途中だったが、香澄は赤いスーツケースを引きずった親友の姿を見つけ、立ち上がった。
さすがに大声で名前を呼ぶのは恥ずかしいので、ブンブンと手を振りながら走っていく。
「ちょ、香澄……」
後ろから佑の声が聞こえたが、「話し途中でごめんなさい、あとで!」と思いつつ走る。
「あー! 香澄!」
麻衣は防寒ばっちりな水色のダウンコートに、ジーンズだ。
目印になっている赤いニット帽もちゃんと被っている。
「久しぶりー!」
がばっと抱きついた香澄は、満面の笑みで麻衣の肩口にぐりぐりと顔を押しつけた。
「久しぶりってあんた、二か月前じゃん」
突っ込みつつも、麻衣は香澄の背中をポンポンと叩いて歓迎してくれる。
と、麻衣が香澄の体をやんわりと押す。
「ん?」と思って麻衣を見ると、香澄の後ろを見て固まっていた。
その視線の向こうには、佑がいる。
(カッコイイって思ってるのかな……? よしっ)
佑の格好良さを親友と共有できたと思った香澄は、内心グッと拳を握る。
「麻衣さん、お久しぶりです」
佑はよそ行きの微笑みを浮かべ、握手を求める。
「ど、どうも!」
そこで、向こうからアロイスとクラウス、マティアスがやってきた。
「カスミ、その子がマイちゃん?」
アロイスに声を掛けられ、香澄は「はいっ」と頷く。
が、その横で麻衣は「え!? えぇっ!?」と顔面凶器三人、もとい四人を前に完全に恐れをなしていた。
いつもなら大らかで頼れる麻衣が、金髪双子美形と茶髪美形、そして佑を前に完全に怯えきり、香澄の後ろに隠れている。
「麻衣ったら、大丈夫だよ。皆さんいい人だから」
「そ、ソウイウモンダイジャナイ……」
少し振り返ると、彼女は真っ赤になっている。
(か、可愛い……!)
親友の乙女な面を見た香澄は、一人で感動していた。
「ねぇ、マイちゃん。俺はアロイス。握手してくんない?」
アロイスが右手を差し出し、覗き込むようにして麻衣を覗き込む。
「あ、ご、ごめんなさい。失礼でしたよね」
挨拶すらまともにしていなかったと気づき、麻衣は勇気を出してブルブルと震える手でアロイスの手を握った。
その途端――。
「ふぎゃっ!」
グイッと引き寄せられたかと思うと、麻衣はアロイスにハグをされ、両頬にビズ――軽いキスをチュッチュッとされていた。
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