【R-18】【重愛注意】拾われバニーガールはヤンデレ社長の最愛の秘書になりました

臣桜

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第十七部・クリスマスパーティー 編

羽田に降り立った麻衣

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 そんな彼が本当に安らげるのが、自宅にいる時と休日だ。

 だから休日に無理に旅行とか、わざわざ疲れる事をしなくても……と思ってしまう。

 気遣ってくれるのはありがたいが、佑の疲れを癒すのを最優先にすべきでは感じている。

 幾ら健康的な食事をして、運動も欠かしていないとはいえ、これだけ多忙にしていればいつか倒れてしまうのでは……と思う。

 この時ばかりは、元カノの美智瑠が心配していたの気持ちが分かる。

「私は佑さんがいればどこでもいいからね。国内の温泉も最高だよ」

「ん、じゃあゆっくり考えようか」

「北海道でドライブ旅行でもいいな」

 普段は運転手がいて当たり前の生活をしている。

 けれど佑も運転は好きらしい。

 先日も少しの距離だが、彼が運転する車に乗せてもらった。

 あの時の幸せ、ときめきをもっと味わいたいとも思う。

「いいな、北海道ドライブ。運転のしがいがありそうだ」

「でも、二人きり……にはなれないのかな?」

「どうだろうな? 万が一の事を考えないといけないから、気づかない距離でついてくる……というのはあるかもしれないが」

「うん」

「ムードがなくてごめんな」

「ううん。あのね……。こう言うとアレなんだけど……。ドライブって、親と麻衣、あとは健二くんぐらいしか思い出がないの。……だから、いつか佑さんに塗り替えてほしい」

 我ながらずるいなと思いつつ言ってみると、明らかに佑の顔つきが変わった。

「絶対に行こう」

「ご、ごめん。そう言わせたかったんじゃなくて……」

「分かってる。俺が香澄とドライブをしたかっ」

「あ!!」

 話している途中だったが、香澄は赤いスーツケースを引きずった親友の姿を見つけ、立ち上がった。

 さすがに大声で名前を呼ぶのは恥ずかしいので、ブンブンと手を振りながら走っていく。

「ちょ、香澄……」

 後ろから佑の声が聞こえたが、「話し途中でごめんなさい、あとで!」と思いつつ走る。

「あー! 香澄!」

 麻衣は防寒ばっちりな水色のダウンコートに、ジーンズだ。
 目印になっている赤いニット帽もちゃんと被っている。

「久しぶりー!」

 がばっと抱きついた香澄は、満面の笑みで麻衣の肩口にぐりぐりと顔を押しつけた。

「久しぶりってあんた、二か月前じゃん」

 突っ込みつつも、麻衣は香澄の背中をポンポンと叩いて歓迎してくれる。

 と、麻衣が香澄の体をやんわりと押す。

「ん?」と思って麻衣を見ると、香澄の後ろを見て固まっていた。

 その視線の向こうには、佑がいる。

(カッコイイって思ってるのかな……? よしっ)

 佑の格好良さを親友と共有できたと思った香澄は、内心グッと拳を握る。

「麻衣さん、お久しぶりです」

 佑はよそ行きの微笑みを浮かべ、握手を求める。

「ど、どうも!」

 そこで、向こうからアロイスとクラウス、マティアスがやってきた。

「カスミ、その子がマイちゃん?」

 アロイスに声を掛けられ、香澄は「はいっ」と頷く。

 が、その横で麻衣は「え!? えぇっ!?」と顔面凶器三人、もとい四人を前に完全に恐れをなしていた。

 いつもなら大らかで頼れる麻衣が、金髪双子美形と茶髪美形、そして佑を前に完全に怯えきり、香澄の後ろに隠れている。

「麻衣ったら、大丈夫だよ。皆さんいい人だから」

「そ、ソウイウモンダイジャナイ……」

 少し振り返ると、彼女は真っ赤になっている。

(か、可愛い……!)

 親友の乙女な面を見た香澄は、一人で感動していた。

「ねぇ、マイちゃん。俺はアロイス。握手してくんない?」

 アロイスが右手を差し出し、覗き込むようにして麻衣を覗き込む。

「あ、ご、ごめんなさい。失礼でしたよね」

 挨拶すらまともにしていなかったと気づき、麻衣は勇気を出してブルブルと震える手でアロイスの手を握った。

 その途端――。

「ふぎゃっ!」

 グイッと引き寄せられたかと思うと、麻衣はアロイスにハグをされ、両頬にビズ――軽いキスをチュッチュッとされていた。
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