1,103 / 1,544
第十七部・クリスマスパーティー 編
佑さんの浪漫は分かりづらい
しおりを挟む
「……まぁ、俺が心配する事じゃないか」
エミリアはガブリエルという〝怪物〟の手駒になった。
佑だってガブリエルの事は敵に回したくない。
彼の〝家〟はそれだけの力を持ち、彼の発言力もとてつもないものがある。
エミリアがもし愚かしい行動をしたなら、その末路は想像して余りある。
「……彼の裁量に任せるしかないか」
溜め息をついたあと、佑はガブリエルにメッセージを打つ。
『報告ありがとうございます。引き続きどうぞ宜しくお願いします』
そして溜め息をつき、スマホを置いた。
もう一度、何度目になるか分からない息をついたあと、立ち上がってまたベッドルームに戻った。
時間を確認したあと布団に潜り込み、香澄を抱き締める。
「楽しい事でも考えようか、香澄」
いまだ眠っている彼女に話し掛け、佑はその頬に唇を押しつけた。
結局そのあと、もう一度佑に抱かれてしまった。
次は裸のまま後ろから攻められ、最終的に窓際に立たされて、昼間の東京を見下ろしながら、胸をガラスに押しつけて喘いだ。
「……まだ怒ってるのか?」
ジェットバスに浸かった香澄は、恥ずかしくてむくれたままそっぽを向いている。
つーん、とさらに向こうを向くと、佑がビュッと水鉄砲を飛ばしてきた。
「っぷぁ!」
見事に顔面にお湯を当てられた香澄は悲鳴を上げ、顔からボトボトと水滴を垂らしながら目を剥いて佑を見る。
「ごめんって」
「謝ってる人の態度じゃないと思いますけど」
むぅ……と下唇を出した香澄は、指でクリクリと佑の乳首をいじめる。
「そうだ。メイドさんの〝お手当て〟は何がいい? ダイヤ? 靴? バッグ?」
突如として佑が満面の笑みを浮かべ、グイッと抱き締めてくる。
「そっ、そんなのいいの! いらないです。ノー!」
両手の人差し指でバツを作ってみせると、佑は不服そうな顔をした。
「じゃあ、何がほしい? 本当の意味での〝お手当て〟なら、望む額を払うよ?」
「もー……。だから。……本当に佑さんは頭が悪くなるなぁ……」
いくら望みを聞いてもらったからといって、そこまでしたがる佑の思考回路が分からない。
「そもそも、お金払ったら買春になるからね」
まじめに言うと、佑は溜め息をつく。
「別にパパ活してる訳じゃないだろ。こう……分からないかな。色んなシチュエーションで楽しみたいっていう浪漫が……」
「……佑さんの浪漫は分かりづらい……」
しみじみと溜め息をついた香澄は、気持ちを切り替えて〝お手当て〟を考えた。
このままでは彼は引き下がらなさそうだから、何か案を出したほうが丸く収まる。
「あのね、〝お手当て〟なんだけど、せっかくだからアフターヌーンティーとは言わないけど、紅茶とケーキのセットがほしいな」
「それだけ?」
佑は真顔になり、香澄の顔を覗き込む。
「え? うん。だって何か食べたら、家でご飯食べられないでしょ」
言われて家に双子とマティアスがいるのを思い出したのか、佑は一瞬魂が抜けたような表情になった。
「……それならそれでいいけど。ちょうど三時過ぎだし、時間的には丁度いいか」
二回愛し合っても、時間はまだたっぷりあった。
「そうだ、紅茶とケーキは頼むけど、香澄が喜びそうかな? と思って頼んでおいた物があるんだけど」
「なに?」
「あとからのお楽しみ」
チュッと額にキスをされ、あとは上がるまで佑に愛でられた。
湯上がりにいつものようにスキンケアをし、佑が体に化粧水とボディクリームを塗ってくれる。
最初は佑にボディケアしてもらうのが、恥ずかしくて堪らなかった。
だが「時短」と言われて、その通りだと思ったのも事実だ。
なので恥ずかしさはあるものの、彼に手伝ってもらっている。
やがてドライヤーが終わって髪がサラサラになったあと、香澄はスウェット地のワンピースを着た。
エミリアはガブリエルという〝怪物〟の手駒になった。
佑だってガブリエルの事は敵に回したくない。
彼の〝家〟はそれだけの力を持ち、彼の発言力もとてつもないものがある。
エミリアがもし愚かしい行動をしたなら、その末路は想像して余りある。
「……彼の裁量に任せるしかないか」
溜め息をついたあと、佑はガブリエルにメッセージを打つ。
『報告ありがとうございます。引き続きどうぞ宜しくお願いします』
そして溜め息をつき、スマホを置いた。
もう一度、何度目になるか分からない息をついたあと、立ち上がってまたベッドルームに戻った。
時間を確認したあと布団に潜り込み、香澄を抱き締める。
「楽しい事でも考えようか、香澄」
いまだ眠っている彼女に話し掛け、佑はその頬に唇を押しつけた。
結局そのあと、もう一度佑に抱かれてしまった。
次は裸のまま後ろから攻められ、最終的に窓際に立たされて、昼間の東京を見下ろしながら、胸をガラスに押しつけて喘いだ。
「……まだ怒ってるのか?」
ジェットバスに浸かった香澄は、恥ずかしくてむくれたままそっぽを向いている。
つーん、とさらに向こうを向くと、佑がビュッと水鉄砲を飛ばしてきた。
「っぷぁ!」
見事に顔面にお湯を当てられた香澄は悲鳴を上げ、顔からボトボトと水滴を垂らしながら目を剥いて佑を見る。
「ごめんって」
「謝ってる人の態度じゃないと思いますけど」
むぅ……と下唇を出した香澄は、指でクリクリと佑の乳首をいじめる。
「そうだ。メイドさんの〝お手当て〟は何がいい? ダイヤ? 靴? バッグ?」
突如として佑が満面の笑みを浮かべ、グイッと抱き締めてくる。
「そっ、そんなのいいの! いらないです。ノー!」
両手の人差し指でバツを作ってみせると、佑は不服そうな顔をした。
「じゃあ、何がほしい? 本当の意味での〝お手当て〟なら、望む額を払うよ?」
「もー……。だから。……本当に佑さんは頭が悪くなるなぁ……」
いくら望みを聞いてもらったからといって、そこまでしたがる佑の思考回路が分からない。
「そもそも、お金払ったら買春になるからね」
まじめに言うと、佑は溜め息をつく。
「別にパパ活してる訳じゃないだろ。こう……分からないかな。色んなシチュエーションで楽しみたいっていう浪漫が……」
「……佑さんの浪漫は分かりづらい……」
しみじみと溜め息をついた香澄は、気持ちを切り替えて〝お手当て〟を考えた。
このままでは彼は引き下がらなさそうだから、何か案を出したほうが丸く収まる。
「あのね、〝お手当て〟なんだけど、せっかくだからアフターヌーンティーとは言わないけど、紅茶とケーキのセットがほしいな」
「それだけ?」
佑は真顔になり、香澄の顔を覗き込む。
「え? うん。だって何か食べたら、家でご飯食べられないでしょ」
言われて家に双子とマティアスがいるのを思い出したのか、佑は一瞬魂が抜けたような表情になった。
「……それならそれでいいけど。ちょうど三時過ぎだし、時間的には丁度いいか」
二回愛し合っても、時間はまだたっぷりあった。
「そうだ、紅茶とケーキは頼むけど、香澄が喜びそうかな? と思って頼んでおいた物があるんだけど」
「なに?」
「あとからのお楽しみ」
チュッと額にキスをされ、あとは上がるまで佑に愛でられた。
湯上がりにいつものようにスキンケアをし、佑が体に化粧水とボディクリームを塗ってくれる。
最初は佑にボディケアしてもらうのが、恥ずかしくて堪らなかった。
だが「時短」と言われて、その通りだと思ったのも事実だ。
なので恥ずかしさはあるものの、彼に手伝ってもらっている。
やがてドライヤーが終わって髪がサラサラになったあと、香澄はスウェット地のワンピースを着た。
12
お気に入りに追加
2,511
あなたにおすすめの小説
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
なりゆきで、君の体を調教中
星野しずく
恋愛
教師を目指す真が、ひょんなことからメイド喫茶で働く現役女子高生の優菜の特異体質を治す羽目に。毎夜行われるマッサージに悶える優菜と、自分の理性と戦う真面目な真の葛藤の日々が続く。やがて二人の心境には、徐々に変化が訪れ…。
ミックスド★バス~家のお風呂なら誰にも迷惑をかけずにイチャイチャ?~
taki
恋愛
【R18】恋人同士となった入浴剤開発者の温子と営業部の水川。
お互いの部屋のお風呂で、人目も気にせず……♥
えっちめシーンの話には♥マークを付けています。
ミックスド★バスの第5弾です。
社長の奴隷
星野しずく
恋愛
セクシー系の商品を販売するネットショップを経営する若手イケメン社長、茂手木寛成のもとで、大のイケメン好き藤巻美緒は仕事と称して、毎日エッチな人体実験をされていた。そんな二人だけの空間にある日、こちらもイケメン大学生である信楽誠之助がアルバイトとして入社する。ただでさえ異常な空間だった社内は、信楽が入ったことでさらに混乱を極めていくことに・・・。(途中、ごくごく軽いBL要素が入ります。念のため)
【R-18】悪役令嬢ですが、罠に嵌まって張型つき木馬に跨がる事になりました!
臣桜
恋愛
悪役令嬢エトラは、王女と聖女とお茶会をしたあと、真っ白な空間にいた。
そこには張型のついた木馬があり『ご自由に跨がってください。絶頂すれば元の世界に戻れます』の文字が……。
※ムーンライトノベルズ様にも重複投稿しています
※表紙はニジジャーニーで生成しました
【R18】エリートビジネスマンの裏の顔
白波瀬 綾音
恋愛
御社のエース、危険人物すぎます───。
私、高瀬緋莉(27)は、思いを寄せていた業界最大手の同業他社勤務のエリート営業マン檜垣瑤太(30)に執着され、軟禁されてしまう。
同じチームの後輩、石橋蓮(25)が異変に気付くが……
この生活に果たして救いはあるのか。
※サムネにAI生成画像を使用しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる