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第十七部・クリスマスパーティー 編
メイド
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「っっあぁあ……っ!! だめ、…………っ、ぇ、…………っ」
香澄は上体を捻ってぎゅーっと佑を抱き締めたまま、激しい波濤に揉まれて震え抜いた。
「…………っ、は、――――ぁ、…………あ」
佑は絶頂の波が鎮静するまで指を動かし続け、香澄は彼の腕の中でビクビクと震えて迫り来る悦楽を堪える。
やがて波が落ち着いた頃には、佑の指の動きも止まっていた。
「ん……」
「気持ち良かった?」
ちゅ、と頬にキスをされ、香澄はボーッとしたまま小さく頷く。
「大丈夫か? 立てる?」
言われて緩慢に体を動かそうとするが、ふにゃっと力が抜けてしまい、「んーん」と首を横に振る。
「じゃあ、落ち着くまでこうしていよう」
佑は後ろから香澄を抱きかかえ、足の裏を反対側のバスタブの壁につけ、ご機嫌に鼻歌を歌いだした。
その歌がクリスマスの曲だったので、香澄はふにゃふにゃになりながらも突っ込んだ。
「……クリスマス、もう過ぎたよ……」
ようやく動けるようになったあと、香澄はホテルに常備してある化粧水を体に塗り、ジョン・アルクールのボディクリームも塗った。
メイクは落とさないつもりでいたのだが、先ほど啼かされてしまって涙を流し、ウォータープルーフだから……と思っていたアイメイクも滲んでしまった。
なので諦めてメイクを落とし、基礎化粧品でフェイスケアをしておいた。
ちなみに借り切っている部屋なので、服や生活雑貨も置きっぱなしになっている。
勿論、メイクセットも一式揃っていた。
(ホテルを出る前に、メイクする時間を取らせてもらおう)
佑はバスローブを着て先にベッドルームに向かい、「コスプレ、楽しみにしているよ」と言ってくれた。
「よし……」
脱衣所で一人きりになった香澄は、隅に置いておいた紙袋の中から色つきのビニール袋を取りだし、中身をゴソゴソと広げる。
「恥ずかしいけど……。コスプレって言ったらこれかな? って思ったし。よし、喜んでもらうぞ」
うん、と頷いたあと、香澄は白いレースの下着をまず身につけ、それから持ってきた衣装を身につけ始めた。
バスルームから出た佑は頬を緩ませたまま、キッチンの冷蔵庫から水を取りだしゴクゴクと飲んだ。
我ながら色ボケしていると思いつつ、ニヤつきの止まらない顔でベッドルームに向かう。
ワクワクした佑はベッドに入り、ヘッドボードに背中を預けて息をつき、心を落ち着かせる。
(何のコスプレをしてくれるのかな。思い切ってピンクナースとか……。いや、天使とか悪魔でも可愛いし、香澄の存在そのものが小悪魔だ。……いや、初心に返ってバニーガールでもおかわりは何杯でもいけるし……)
頭の中で色んな姿の香澄を想像し、どれも「いける……」と確信する。
香澄がその姿を見れば「残念」とか「頭が悪くなった」と言うに違いないが、佑だって三十二歳でも恋する男なのだ。
好きな女性が特別な格好をしてくれると言えば、ドキドキして堪らない。
その時、「お待たせしました」と廊下の向こうから香澄が歩いてきた。
「待ってない、――――」
佑の言葉が途中で途切れる。
本当は「待ってないよ」と言って余裕たっぷりに微笑むつもりだった。
けれどその顔は、愛しくて堪らない香澄の姿を見て微笑んだまま強張り――、固まる。
グッと反射的に胸に苦しさがこみ上げた。
佑の目の前に立っていたのは、白いパニエで黒いエプロンドレスをふんわりと押し上げた、――――メイドだった。
蘇るのは、夏のイギリスでのつらい思い出。
もう二度と味わいたくないと思った絶望と悲しみ。
両手から香澄を取りこぼすかと思った、あと少しで大きな喪失を味わいかねなかったあの感覚。
「佑さん?」
恥ずかしそうに、けれど笑顔で登場した香澄は、思った反応を見せない佑に怪訝な顔表情になる。
不安そうな顔は、自分のコスプレが不評だったのか心配している。
「……違う、そうじゃない……。…………可愛いよ。……ちょっと、待って。感動してるだけだから」
情けない事に、手が震えてしまっている。
香澄は上体を捻ってぎゅーっと佑を抱き締めたまま、激しい波濤に揉まれて震え抜いた。
「…………っ、は、――――ぁ、…………あ」
佑は絶頂の波が鎮静するまで指を動かし続け、香澄は彼の腕の中でビクビクと震えて迫り来る悦楽を堪える。
やがて波が落ち着いた頃には、佑の指の動きも止まっていた。
「ん……」
「気持ち良かった?」
ちゅ、と頬にキスをされ、香澄はボーッとしたまま小さく頷く。
「大丈夫か? 立てる?」
言われて緩慢に体を動かそうとするが、ふにゃっと力が抜けてしまい、「んーん」と首を横に振る。
「じゃあ、落ち着くまでこうしていよう」
佑は後ろから香澄を抱きかかえ、足の裏を反対側のバスタブの壁につけ、ご機嫌に鼻歌を歌いだした。
その歌がクリスマスの曲だったので、香澄はふにゃふにゃになりながらも突っ込んだ。
「……クリスマス、もう過ぎたよ……」
ようやく動けるようになったあと、香澄はホテルに常備してある化粧水を体に塗り、ジョン・アルクールのボディクリームも塗った。
メイクは落とさないつもりでいたのだが、先ほど啼かされてしまって涙を流し、ウォータープルーフだから……と思っていたアイメイクも滲んでしまった。
なので諦めてメイクを落とし、基礎化粧品でフェイスケアをしておいた。
ちなみに借り切っている部屋なので、服や生活雑貨も置きっぱなしになっている。
勿論、メイクセットも一式揃っていた。
(ホテルを出る前に、メイクする時間を取らせてもらおう)
佑はバスローブを着て先にベッドルームに向かい、「コスプレ、楽しみにしているよ」と言ってくれた。
「よし……」
脱衣所で一人きりになった香澄は、隅に置いておいた紙袋の中から色つきのビニール袋を取りだし、中身をゴソゴソと広げる。
「恥ずかしいけど……。コスプレって言ったらこれかな? って思ったし。よし、喜んでもらうぞ」
うん、と頷いたあと、香澄は白いレースの下着をまず身につけ、それから持ってきた衣装を身につけ始めた。
バスルームから出た佑は頬を緩ませたまま、キッチンの冷蔵庫から水を取りだしゴクゴクと飲んだ。
我ながら色ボケしていると思いつつ、ニヤつきの止まらない顔でベッドルームに向かう。
ワクワクした佑はベッドに入り、ヘッドボードに背中を預けて息をつき、心を落ち着かせる。
(何のコスプレをしてくれるのかな。思い切ってピンクナースとか……。いや、天使とか悪魔でも可愛いし、香澄の存在そのものが小悪魔だ。……いや、初心に返ってバニーガールでもおかわりは何杯でもいけるし……)
頭の中で色んな姿の香澄を想像し、どれも「いける……」と確信する。
香澄がその姿を見れば「残念」とか「頭が悪くなった」と言うに違いないが、佑だって三十二歳でも恋する男なのだ。
好きな女性が特別な格好をしてくれると言えば、ドキドキして堪らない。
その時、「お待たせしました」と廊下の向こうから香澄が歩いてきた。
「待ってない、――――」
佑の言葉が途中で途切れる。
本当は「待ってないよ」と言って余裕たっぷりに微笑むつもりだった。
けれどその顔は、愛しくて堪らない香澄の姿を見て微笑んだまま強張り――、固まる。
グッと反射的に胸に苦しさがこみ上げた。
佑の目の前に立っていたのは、白いパニエで黒いエプロンドレスをふんわりと押し上げた、――――メイドだった。
蘇るのは、夏のイギリスでのつらい思い出。
もう二度と味わいたくないと思った絶望と悲しみ。
両手から香澄を取りこぼすかと思った、あと少しで大きな喪失を味わいかねなかったあの感覚。
「佑さん?」
恥ずかしそうに、けれど笑顔で登場した香澄は、思った反応を見せない佑に怪訝な顔表情になる。
不安そうな顔は、自分のコスプレが不評だったのか心配している。
「……違う、そうじゃない……。…………可愛いよ。……ちょっと、待って。感動してるだけだから」
情けない事に、手が震えてしまっている。
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