1,091 / 1,548
第十七部・クリスマスパーティー 編
メイド
しおりを挟む
「っっあぁあ……っ!! だめ、…………っ、ぇ、…………っ」
香澄は上体を捻ってぎゅーっと佑を抱き締めたまま、激しい波濤に揉まれて震え抜いた。
「…………っ、は、――――ぁ、…………あ」
佑は絶頂の波が鎮静するまで指を動かし続け、香澄は彼の腕の中でビクビクと震えて迫り来る悦楽を堪える。
やがて波が落ち着いた頃には、佑の指の動きも止まっていた。
「ん……」
「気持ち良かった?」
ちゅ、と頬にキスをされ、香澄はボーッとしたまま小さく頷く。
「大丈夫か? 立てる?」
言われて緩慢に体を動かそうとするが、ふにゃっと力が抜けてしまい、「んーん」と首を横に振る。
「じゃあ、落ち着くまでこうしていよう」
佑は後ろから香澄を抱きかかえ、足の裏を反対側のバスタブの壁につけ、ご機嫌に鼻歌を歌いだした。
その歌がクリスマスの曲だったので、香澄はふにゃふにゃになりながらも突っ込んだ。
「……クリスマス、もう過ぎたよ……」
ようやく動けるようになったあと、香澄はホテルに常備してある化粧水を体に塗り、ジョン・アルクールのボディクリームも塗った。
メイクは落とさないつもりでいたのだが、先ほど啼かされてしまって涙を流し、ウォータープルーフだから……と思っていたアイメイクも滲んでしまった。
なので諦めてメイクを落とし、基礎化粧品でフェイスケアをしておいた。
ちなみに借り切っている部屋なので、服や生活雑貨も置きっぱなしになっている。
勿論、メイクセットも一式揃っていた。
(ホテルを出る前に、メイクする時間を取らせてもらおう)
佑はバスローブを着て先にベッドルームに向かい、「コスプレ、楽しみにしているよ」と言ってくれた。
「よし……」
脱衣所で一人きりになった香澄は、隅に置いておいた紙袋の中から色つきのビニール袋を取りだし、中身をゴソゴソと広げる。
「恥ずかしいけど……。コスプレって言ったらこれかな? って思ったし。よし、喜んでもらうぞ」
うん、と頷いたあと、香澄は白いレースの下着をまず身につけ、それから持ってきた衣装を身につけ始めた。
バスルームから出た佑は頬を緩ませたまま、キッチンの冷蔵庫から水を取りだしゴクゴクと飲んだ。
我ながら色ボケしていると思いつつ、ニヤつきの止まらない顔でベッドルームに向かう。
ワクワクした佑はベッドに入り、ヘッドボードに背中を預けて息をつき、心を落ち着かせる。
(何のコスプレをしてくれるのかな。思い切ってピンクナースとか……。いや、天使とか悪魔でも可愛いし、香澄の存在そのものが小悪魔だ。……いや、初心に返ってバニーガールでもおかわりは何杯でもいけるし……)
頭の中で色んな姿の香澄を想像し、どれも「いける……」と確信する。
香澄がその姿を見れば「残念」とか「頭が悪くなった」と言うに違いないが、佑だって三十二歳でも恋する男なのだ。
好きな女性が特別な格好をしてくれると言えば、ドキドキして堪らない。
その時、「お待たせしました」と廊下の向こうから香澄が歩いてきた。
「待ってない、――――」
佑の言葉が途中で途切れる。
本当は「待ってないよ」と言って余裕たっぷりに微笑むつもりだった。
けれどその顔は、愛しくて堪らない香澄の姿を見て微笑んだまま強張り――、固まる。
グッと反射的に胸に苦しさがこみ上げた。
佑の目の前に立っていたのは、白いパニエで黒いエプロンドレスをふんわりと押し上げた、――――メイドだった。
蘇るのは、夏のイギリスでのつらい思い出。
もう二度と味わいたくないと思った絶望と悲しみ。
両手から香澄を取りこぼすかと思った、あと少しで大きな喪失を味わいかねなかったあの感覚。
「佑さん?」
恥ずかしそうに、けれど笑顔で登場した香澄は、思った反応を見せない佑に怪訝な顔表情になる。
不安そうな顔は、自分のコスプレが不評だったのか心配している。
「……違う、そうじゃない……。…………可愛いよ。……ちょっと、待って。感動してるだけだから」
情けない事に、手が震えてしまっている。
香澄は上体を捻ってぎゅーっと佑を抱き締めたまま、激しい波濤に揉まれて震え抜いた。
「…………っ、は、――――ぁ、…………あ」
佑は絶頂の波が鎮静するまで指を動かし続け、香澄は彼の腕の中でビクビクと震えて迫り来る悦楽を堪える。
やがて波が落ち着いた頃には、佑の指の動きも止まっていた。
「ん……」
「気持ち良かった?」
ちゅ、と頬にキスをされ、香澄はボーッとしたまま小さく頷く。
「大丈夫か? 立てる?」
言われて緩慢に体を動かそうとするが、ふにゃっと力が抜けてしまい、「んーん」と首を横に振る。
「じゃあ、落ち着くまでこうしていよう」
佑は後ろから香澄を抱きかかえ、足の裏を反対側のバスタブの壁につけ、ご機嫌に鼻歌を歌いだした。
その歌がクリスマスの曲だったので、香澄はふにゃふにゃになりながらも突っ込んだ。
「……クリスマス、もう過ぎたよ……」
ようやく動けるようになったあと、香澄はホテルに常備してある化粧水を体に塗り、ジョン・アルクールのボディクリームも塗った。
メイクは落とさないつもりでいたのだが、先ほど啼かされてしまって涙を流し、ウォータープルーフだから……と思っていたアイメイクも滲んでしまった。
なので諦めてメイクを落とし、基礎化粧品でフェイスケアをしておいた。
ちなみに借り切っている部屋なので、服や生活雑貨も置きっぱなしになっている。
勿論、メイクセットも一式揃っていた。
(ホテルを出る前に、メイクする時間を取らせてもらおう)
佑はバスローブを着て先にベッドルームに向かい、「コスプレ、楽しみにしているよ」と言ってくれた。
「よし……」
脱衣所で一人きりになった香澄は、隅に置いておいた紙袋の中から色つきのビニール袋を取りだし、中身をゴソゴソと広げる。
「恥ずかしいけど……。コスプレって言ったらこれかな? って思ったし。よし、喜んでもらうぞ」
うん、と頷いたあと、香澄は白いレースの下着をまず身につけ、それから持ってきた衣装を身につけ始めた。
バスルームから出た佑は頬を緩ませたまま、キッチンの冷蔵庫から水を取りだしゴクゴクと飲んだ。
我ながら色ボケしていると思いつつ、ニヤつきの止まらない顔でベッドルームに向かう。
ワクワクした佑はベッドに入り、ヘッドボードに背中を預けて息をつき、心を落ち着かせる。
(何のコスプレをしてくれるのかな。思い切ってピンクナースとか……。いや、天使とか悪魔でも可愛いし、香澄の存在そのものが小悪魔だ。……いや、初心に返ってバニーガールでもおかわりは何杯でもいけるし……)
頭の中で色んな姿の香澄を想像し、どれも「いける……」と確信する。
香澄がその姿を見れば「残念」とか「頭が悪くなった」と言うに違いないが、佑だって三十二歳でも恋する男なのだ。
好きな女性が特別な格好をしてくれると言えば、ドキドキして堪らない。
その時、「お待たせしました」と廊下の向こうから香澄が歩いてきた。
「待ってない、――――」
佑の言葉が途中で途切れる。
本当は「待ってないよ」と言って余裕たっぷりに微笑むつもりだった。
けれどその顔は、愛しくて堪らない香澄の姿を見て微笑んだまま強張り――、固まる。
グッと反射的に胸に苦しさがこみ上げた。
佑の目の前に立っていたのは、白いパニエで黒いエプロンドレスをふんわりと押し上げた、――――メイドだった。
蘇るのは、夏のイギリスでのつらい思い出。
もう二度と味わいたくないと思った絶望と悲しみ。
両手から香澄を取りこぼすかと思った、あと少しで大きな喪失を味わいかねなかったあの感覚。
「佑さん?」
恥ずかしそうに、けれど笑顔で登場した香澄は、思った反応を見せない佑に怪訝な顔表情になる。
不安そうな顔は、自分のコスプレが不評だったのか心配している。
「……違う、そうじゃない……。…………可愛いよ。……ちょっと、待って。感動してるだけだから」
情けない事に、手が震えてしまっている。
14
お気に入りに追加
2,541
あなたにおすすめの小説
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
『逃れられない淫らな三角関係』番外編 ヘルプラインを活用せよ!
臣桜
恋愛
『逃れられない淫らな三角関係』の番外編です。
やりとりのある特定の読者さまに向けた番外編(小冊子)です。
他にも色々あるのですが、差し障りのなさそうなものなので公開します。
(他の番外編は、リアルブランド名とかを出してしまっている配慮していないものなので、ここに載せるかは検討中)
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。
でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。
けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。
同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。
そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
冷淡だった義兄に溺愛されて結婚するまでのお話
水瀬 立乃
恋愛
陽和(ひより)が16歳の時、シングルマザーの母親が玉の輿結婚をした。
相手の男性には陽和よりも6歳年上の兄・慶一(けいいち)と、3歳年下の妹・礼奈(れいな)がいた。
義理の兄妹との関係は良好だったが、事故で母親が他界すると2人に冷たく当たられるようになってしまう。
陽和は秘かに恋心を抱いていた慶一と関係を持つことになるが、彼は陽和に愛情がない様子で、彼女は叶わない初恋だと諦めていた。
しかしある日を境に素っ気なかった慶一の態度に変化が現れ始める。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる