【R-18】【重愛注意】拾われバニーガールはヤンデレ社長の最愛の秘書になりました

臣桜

文字の大きさ
上 下
1,081 / 1,559
第十七部・クリスマスパーティー 編

プレゼント交換の終わり

しおりを挟む
「ま、でもここは日本だから気にしなくていいよ。カスミがドイツに来た時も、うちの一族は日本人の習慣をオーマに学んでるから、特に気にしなくていい」

「そうそう。オーマはドイツにいようが自分の子供や孫の誕生日には、必ずプレゼントをくれる人なんだ。『これは日本式のお祝いよ』って言われてたし、僕らもちゃんと理解してる」

「そうなんですね。良かった」

 ホッと胸を撫で下ろし、香澄は微笑む。

 アンネの誕生日は夏で、ドイツで事故に遭って帰国したあと、こっそり彼女に誕生日プレゼントを渡した。
 その時に特に変な顔はされなかったので、アンネも日本式の誕生日には慣れていたのだろうか。

 偶然か香澄の気持ちを察してか、佑が口を開く。

「うちはずっと日本式だったな。母からはドイツのやり方も教わっていたが、父が『誕生日なのにプレゼントがないのは可哀想だし、ここは日本だから』と言ってくれていた」

「そうなんだね。お義父さんらしい」

 衛は一見アンネの尻に敷かれているイメージがあるが、自分の意志をしっかり持っている人だと聞いている。

 その面は、佑にも受け継がれている気がした。

「御劔さん」

 その時、キッチンの片付けを終えた斎藤が現れ、ペコリとお辞儀をする。

「私はそろそろお暇しますね。明日また、いつもの時間に出勤します」

「ご苦労様です」

「貴恵さん、ご馳走様でした」

「キエ! ありがとう!」

「また明日ね!」

「美味かった」

 全員挨拶に斎藤は頭を下げ、帰り支度をすると「それでは」と出ていった。

「そろそろいい時間だな。プレゼント交換も終わったし、自由時間にしよう」

「んー。それはいーんだけどさ。二十七日になったらマイちゃんと一緒に構ってよね」

「はい。忙しくしていてすみません」

「二十七日は忘年会もあるから、帰りは少し遅くなる。麻衣さんを迎えたあとに帰るから、それまで大人しくしていてくれ」

「分かってるけどさー。早くねー」

「はいはい」

 全員でクリスマスプレゼントの後片付けをすると、香澄は佑と一緒に二階に上がった。

「さっき怒ってたの、なんだったの?」

 二階の廊下でそれぞれの部屋に入ろうとした時、香澄は気になっていた事を尋ねる。

「ん、んー……。向こうの大人のオモチャ」

 気まずそうに言われ、香澄は苦笑いをする。
 確かに双子ならやりかねない。

「意外とふざけないな」と思っていたが、佑にはしっかりふざけていた。

「香澄には使わないから安心して」

 佑が溜め息混じりに言い、香澄はちょっと彼の揚げ足を取ってみる。

「んー? じゃあ他の誰に使うんですか? 社長」

 つん、と顎を上げて生意気そうに言った香澄を見て、佑は一瞬ポカンとしたあと破顔した。

「この。言うようになったな」

 手に持っていたプレゼントを床に置き、佑は香澄をギュウギュウと抱き締めてくる。

「んふふふふ……っ」

 緩くヘッドロックをされた香澄は、クスクスと笑う。
 その上、荷物で手が塞がっているのをいい事に、チュッチュッとキスをされた。

「さて、明日も仕事があるから風呂に入っておいで」

「うん」

「……と、明日なんだけど」

 自分の部屋に行こうとした香澄を、佑は肩に置いた手に力を入れて引き留める。

「ん?」

 振り向くと、彼はどこかソワソワした様子であさっての方を見てから、香澄を見た。

「明日、ランチ会食あるだろ」

「はい」

 仕事の話が絡み、香澄は自然と敬語になる。

「……そのあと、休みを取るつもりだから、香澄もそのつもりでいてくれたら」

「どうしてです?」

 きょと、と目を瞬かせた香澄を見て、佑は何かを押し殺した表情で低く呟く。

「……たった数日だけど、やっぱり我慢できない。年内の仕事はもうほぼないし、明日は社内でも掃除や整頓で終わる」

「……はぁ……」

 いまだ佑の言いたい事が分からず、香澄は曖昧な返事をする。
しおりを挟む
感想 560

あなたにおすすめの小説

忘れたとは言わせない。〜エリートドクターと再会したら、溺愛が始まりました〜

青花美来
恋愛
「……三年前、一緒に寝た間柄だろ?」 三年前のあの一夜のことは、もう過去のことのはずなのに。 一夜の過ちとして、もう忘れたはずなのに。 「忘れたとは言わせねぇぞ?」 偶然再会したら、心も身体も翻弄されてしまって。 「……今度こそ、逃がすつもりも離すつもりもねぇから」 その溺愛からは、もう逃れられない。 *第16回恋愛小説大賞奨励賞受賞しました*

ヤンデレエリートの執愛婚で懐妊させられます

沖田弥子
恋愛
職場の後輩に恋人を略奪された澪。終業後に堪えきれず泣いていたところを、営業部のエリート社員、天王寺明夜に見つかってしまう。彼に優しく慰められながら居酒屋で事の顛末を話していたが、なぜか明夜と一夜を過ごすことに――!? 明夜は傷心した自分を慰めてくれただけだ、と考える澪だったが、翌朝「責任をとってほしい」と明夜に迫られ、婚姻届にサインしてしまった。突如始まった新婚生活。明夜は澪の心と身体を幸せで満たしてくれていたが、徐々に明夜のヤンデレな一面が見えてきて――執着強めな旦那様との極上溺愛ラブストーリー!

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

一夜の過ちで懐妊したら、溺愛が始まりました。

青花美来
恋愛
あの日、バーで出会ったのは勤務先の会社の副社長だった。 その肩書きに恐れをなして逃げた朝。 もう関わらない。そう決めたのに。 それから一ヶ月後。 「鮎原さん、ですよね?」 「……鮎原さん。お腹の赤ちゃん、産んでくれませんか」 「僕と、結婚してくれませんか」 あの一夜から、溺愛が始まりました。

ハイスペック上司からのドSな溺愛

鳴宮鶉子
恋愛
ハイスペック上司からのドSな溺愛

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。 けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。 そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。 2人の出会いを描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630 2人の誓約の儀を描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

お見合いから始まる冷徹社長からの甘い執愛 〜政略結婚なのに毎日熱烈に追いかけられてます〜

Adria
恋愛
仕事ばかりをしている娘の将来を案じた両親に泣かれて、うっかり頷いてしまった瑞希はお見合いに行かなければならなくなった。 渋々お見合いの席に行くと、そこにいたのは瑞希の勤め先の社長だった!? 合理的で無駄が嫌いという噂がある冷徹社長を前にして、瑞希は「冗談じゃない!」と、その場から逃亡―― だが、ひょんなことから彼に瑞希が自社の社員であることがバレてしまうと、彼は結婚前提の同棲を迫ってくる。 「君の未来をくれないか?」と求愛してくる彼の強引さに翻弄されながらも、瑞希は次第に溺れていき…… 《エブリスタ、ムーン、ベリカフェにも投稿しています》

処理中です...