1,079 / 1,544
第十七部・クリスマスパーティー 編
双子からのクリスマスプレゼント
しおりを挟む
「こっちのシェリーカラーのインペリアルトパーズは俺の。ピンクのインペリアルトパーズのは香澄の。ペアリングを作ったから、つけてくれないか? 俺にしては小さめの石を選んだんだけど、どうだろうか?」
佑が言った通り宝石は指輪の幅の中で収まっていて、いつもを思うと控えめだ。
「トパーズ?」
「そう、香澄の誕生石だ。俺はいつも香澄を感じていたいし、香澄にも俺を感じていてほしい」
微笑まれ、香澄はじんわりと嬉しくなった。
「つけるよ」
佑は微笑み、リングケースから指輪を取りだして彼女の左手薬指に嵌める。
香澄はしばらく薬指に嵌まった指輪を見つめ、やがてニヤニヤしだす。
「嬉しいか?」
「うん。これなら仕事でもつけられそう」
「そうか、良かった。俺もこの指輪をいつも付けるようにする。そうしたら、色々……安心だろ?」
「うん、ありがとう」
香澄は嬉しくてニコニコし、何度も指輪を見る。
が、実のところ、ペアリングは佑が独占欲を示したいための物だった……という事を香澄は知らない。
佑の耳に、先日井内が香澄と一緒に歩いていたという話が入ってきた。
そのあとに社内で井内が失恋したらしい、という噂が流れてピンときたのだ。
だから相手が社員であろうが、自分のものという印をつけないとならないと思いこのような手段に出た。
自分の見栄を優先すれば香澄はつけてくれないだろうから、彼女が許容してくれるジュエリーにするのに少し苦労したが。
(これで男避けになればいいが)
佑が満足げに笑った時、双子がぬっと二人の間に割って入ってきた。
「そろそろいーい? 俺たちもカスミにプレゼント渡したいんだけど」
「タスクバカだなー。一番乗りしたはいいけど、僕らがタスクよりいいプレゼントしたら、そっちに上書きされるに決まってるだろ」
相変わらず佑に張り合う双子を見て香澄は笑い、「そんな事ないからね」と佑に言っておく。
「カスミ、まず俺からだよ」
そう言ってアロイスがずいっと渡してきたのは、両手で抱えるほどの箱だ。
「ありがとうございます。え、えっと……じゃあ、開けさせて頂きます」
赤いリボンを引いてキャラメル色の包装紙を開いていくと、中の箱にはゴブラン織りのハンドバッグが入っていた。
「あ……、可愛い」
「ゴブラン織りの発祥はフランスだけど、ドイツでもフツーに扱ってる。パッと見、甘系だけど、デザインが大人っぽいから、シンプル系大人なコーデにアクセントで一つ甘くして楽しめない?」
「はい! そういうの好きです!」
アロイスがくれたゴブラン織りのバッグは、色味がブルーグリーンで大人っぽい。
グレーのコートに黒いパンツなど、モノトーンコーデに使うとシックになりそうだ。
「僕からのプレゼントも受け取って!」
次にクラウスがズイッと袋を渡してきた。
白い袋の口を結んでいる赤いリボンを解くと、中からビニール袋に包まれた色鮮やかなマフラーが出てくる。
朱色や赤、オレンジ、黄色が混ざったマルチカラーのマフラーは、見た目に華やかで、やはりこれもシンプルなコーデに合わせると可愛いだろう。
「で! こっちも受け取って!」
さらにアロイスが平たく大きな箱を香澄に押しつけ、開けさせる。
「すごい……」
中から出て来たのは、赤いダマスク柄のコートだ。
「これ、黒いワンピやセットアップを下にチラ見せして、前を開けて歩いたらカッコイイと思うんだよね」
「確かに。大人の女性っていう感じがしますね」
「でねー! 僕からはこれも!」
クラウスに小さめの箱を渡されて開けると、中からパールのネックレスが出てくる。
「これね、セットになってて短いのが二連にロングが一連あるでしょ。色んな楽しみ方できるから、活用して?」
「はい、ありがとうございます」
それからも双子は次から次に、ドイツから持って来た物と東京で買い足した物と、香澄に服やアクセサリーなどをプレゼントし続ける。
「俺も……いいだろうか」
最後にマティアスがのそっと人差し指を挙げ、香澄に自分で包んだらしいラッピングの袋を渡す。
「ありがとうございます」
袋の中からは、香澄もよく知っているいわゆるデパコスの化粧品が入っていた。
「俺は女性にプレゼントをした事があまりないから、とりあえず日常的に使いそうな物と思って、カスミに似合いそうな色を選んだ。口紅とかアイシャドウとか。あとは以前職場で女性がリップクリームやハンドクリームをよく使っていたのを見たから、そういうのも」
「あ、ありがとうございます! 嬉しいです」
デパコスなので一つ数千円する物ばかりだが、消耗品は嬉しい。
香澄の声がワントーン上がったのが気に入らなかったのか、双子がブーブー文句を言う。
佑が言った通り宝石は指輪の幅の中で収まっていて、いつもを思うと控えめだ。
「トパーズ?」
「そう、香澄の誕生石だ。俺はいつも香澄を感じていたいし、香澄にも俺を感じていてほしい」
微笑まれ、香澄はじんわりと嬉しくなった。
「つけるよ」
佑は微笑み、リングケースから指輪を取りだして彼女の左手薬指に嵌める。
香澄はしばらく薬指に嵌まった指輪を見つめ、やがてニヤニヤしだす。
「嬉しいか?」
「うん。これなら仕事でもつけられそう」
「そうか、良かった。俺もこの指輪をいつも付けるようにする。そうしたら、色々……安心だろ?」
「うん、ありがとう」
香澄は嬉しくてニコニコし、何度も指輪を見る。
が、実のところ、ペアリングは佑が独占欲を示したいための物だった……という事を香澄は知らない。
佑の耳に、先日井内が香澄と一緒に歩いていたという話が入ってきた。
そのあとに社内で井内が失恋したらしい、という噂が流れてピンときたのだ。
だから相手が社員であろうが、自分のものという印をつけないとならないと思いこのような手段に出た。
自分の見栄を優先すれば香澄はつけてくれないだろうから、彼女が許容してくれるジュエリーにするのに少し苦労したが。
(これで男避けになればいいが)
佑が満足げに笑った時、双子がぬっと二人の間に割って入ってきた。
「そろそろいーい? 俺たちもカスミにプレゼント渡したいんだけど」
「タスクバカだなー。一番乗りしたはいいけど、僕らがタスクよりいいプレゼントしたら、そっちに上書きされるに決まってるだろ」
相変わらず佑に張り合う双子を見て香澄は笑い、「そんな事ないからね」と佑に言っておく。
「カスミ、まず俺からだよ」
そう言ってアロイスがずいっと渡してきたのは、両手で抱えるほどの箱だ。
「ありがとうございます。え、えっと……じゃあ、開けさせて頂きます」
赤いリボンを引いてキャラメル色の包装紙を開いていくと、中の箱にはゴブラン織りのハンドバッグが入っていた。
「あ……、可愛い」
「ゴブラン織りの発祥はフランスだけど、ドイツでもフツーに扱ってる。パッと見、甘系だけど、デザインが大人っぽいから、シンプル系大人なコーデにアクセントで一つ甘くして楽しめない?」
「はい! そういうの好きです!」
アロイスがくれたゴブラン織りのバッグは、色味がブルーグリーンで大人っぽい。
グレーのコートに黒いパンツなど、モノトーンコーデに使うとシックになりそうだ。
「僕からのプレゼントも受け取って!」
次にクラウスがズイッと袋を渡してきた。
白い袋の口を結んでいる赤いリボンを解くと、中からビニール袋に包まれた色鮮やかなマフラーが出てくる。
朱色や赤、オレンジ、黄色が混ざったマルチカラーのマフラーは、見た目に華やかで、やはりこれもシンプルなコーデに合わせると可愛いだろう。
「で! こっちも受け取って!」
さらにアロイスが平たく大きな箱を香澄に押しつけ、開けさせる。
「すごい……」
中から出て来たのは、赤いダマスク柄のコートだ。
「これ、黒いワンピやセットアップを下にチラ見せして、前を開けて歩いたらカッコイイと思うんだよね」
「確かに。大人の女性っていう感じがしますね」
「でねー! 僕からはこれも!」
クラウスに小さめの箱を渡されて開けると、中からパールのネックレスが出てくる。
「これね、セットになってて短いのが二連にロングが一連あるでしょ。色んな楽しみ方できるから、活用して?」
「はい、ありがとうございます」
それからも双子は次から次に、ドイツから持って来た物と東京で買い足した物と、香澄に服やアクセサリーなどをプレゼントし続ける。
「俺も……いいだろうか」
最後にマティアスがのそっと人差し指を挙げ、香澄に自分で包んだらしいラッピングの袋を渡す。
「ありがとうございます」
袋の中からは、香澄もよく知っているいわゆるデパコスの化粧品が入っていた。
「俺は女性にプレゼントをした事があまりないから、とりあえず日常的に使いそうな物と思って、カスミに似合いそうな色を選んだ。口紅とかアイシャドウとか。あとは以前職場で女性がリップクリームやハンドクリームをよく使っていたのを見たから、そういうのも」
「あ、ありがとうございます! 嬉しいです」
デパコスなので一つ数千円する物ばかりだが、消耗品は嬉しい。
香澄の声がワントーン上がったのが気に入らなかったのか、双子がブーブー文句を言う。
12
お気に入りに追加
2,511
あなたにおすすめの小説
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
なりゆきで、君の体を調教中
星野しずく
恋愛
教師を目指す真が、ひょんなことからメイド喫茶で働く現役女子高生の優菜の特異体質を治す羽目に。毎夜行われるマッサージに悶える優菜と、自分の理性と戦う真面目な真の葛藤の日々が続く。やがて二人の心境には、徐々に変化が訪れ…。
ミックスド★バス~家のお風呂なら誰にも迷惑をかけずにイチャイチャ?~
taki
恋愛
【R18】恋人同士となった入浴剤開発者の温子と営業部の水川。
お互いの部屋のお風呂で、人目も気にせず……♥
えっちめシーンの話には♥マークを付けています。
ミックスド★バスの第5弾です。
社長の奴隷
星野しずく
恋愛
セクシー系の商品を販売するネットショップを経営する若手イケメン社長、茂手木寛成のもとで、大のイケメン好き藤巻美緒は仕事と称して、毎日エッチな人体実験をされていた。そんな二人だけの空間にある日、こちらもイケメン大学生である信楽誠之助がアルバイトとして入社する。ただでさえ異常な空間だった社内は、信楽が入ったことでさらに混乱を極めていくことに・・・。(途中、ごくごく軽いBL要素が入ります。念のため)
【R-18】悪役令嬢ですが、罠に嵌まって張型つき木馬に跨がる事になりました!
臣桜
恋愛
悪役令嬢エトラは、王女と聖女とお茶会をしたあと、真っ白な空間にいた。
そこには張型のついた木馬があり『ご自由に跨がってください。絶頂すれば元の世界に戻れます』の文字が……。
※ムーンライトノベルズ様にも重複投稿しています
※表紙はニジジャーニーで生成しました
【R18】エリートビジネスマンの裏の顔
白波瀬 綾音
恋愛
御社のエース、危険人物すぎます───。
私、高瀬緋莉(27)は、思いを寄せていた業界最大手の同業他社勤務のエリート営業マン檜垣瑤太(30)に執着され、軟禁されてしまう。
同じチームの後輩、石橋蓮(25)が異変に気付くが……
この生活に果たして救いはあるのか。
※サムネにAI生成画像を使用しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる