【R-18】【重愛注意】拾われバニーガールはヤンデレ社長の最愛の秘書になりました

臣桜

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第十七部・クリスマスパーティー 編

プレゼント交換

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 中から出て来たのは和紙の箱で、その中から掌サイズのタヌキの置物がでてきた。
 もちろん、マティアスにも手書きメッセージのカードがある。

「おお……!」

 彼はキラキラとした目でタヌキの置物を見ている。

「それ、ちゃんと信楽焼きなんです。お好きかと思って」

「ちゃんと金玉がついてるな。小さいのにでかい」

 マティアスが変な所にこだわり、香澄は思わず声もなく笑い崩れて横を向く。
 双子もゲラゲラ笑い、佑も体を震わせている。

「もー……。マティアスさんって大概ヘンですよね?」

「香澄? 俺には?」

 耳元で佑の声がし、香澄はビクッと肩をすくめる。

「え、えっと……佑さんには」

 そう言って香澄は、えんじ色の包装紙に金色のリボンが掛かった小箱を渡す。

「どうぞ。あ、あの……お三方には悪いのですが、その……佑さんは婚約者で特別なので、プレゼントの中身もちょっと特別と言いますか……」

 中身に差がある事を伝えると、双子があっけらかんとして答える。

「あ、それは気にしなくていいよ。俺たちはカスミからのプレゼントを値段で判断してないし」

「そうそう。カスミが僕らにプレゼントを贈るのに、考えてくれた時間やこの! カスミ直筆のメッセージカード! が、いいの」

 クラウスはクリスマス柄のメッセージカードを佑の目の前に掲げ、決して中身は見せず表紙を指でトントントントンと叩いてみせる。

 佑は香澄から直筆メッセージを受け取っていないため、それを悔しそうに見ていた。

「お前、心の狭い男だからカスミが僕らになんてメッセージくれたのか、すっげぇ気になってるんだろ」

 クラウスが意地の悪い顔をし、佑はさらに悔しそうにする。

「気になるよ。悪いか?」

 素直な返事を聞いて、双子は胸の前で手を打ち鳴らしてキャッキャと喜ぶ。

「ぜってー見せてやんねー」

「一生気にしたまんまでいるといいよ!」

「もー、お二人とも……。佑さん、開けてみて?」

 香澄は双子に向かって「まぁまぁ」と手を向けていなしたあと、佑にプレゼントを示す。

 佑は「ん、んンっ」と咳払いをし、中から出てきた小箱を開ける。

 小箱の中には、小粒の宝石が輝くネクタイピンがあった。

「六月の誕生石がついたネクタイピンにしたの。六月ってパールとムーンストーンも誕生石なんだけど、石言葉を調べてアレキサンドライトは『高貴、情熱』っていう意味があるから、それがいいなって思って」

 普段、佑が贈ってくれる高級な宝石と比べると安物かもしれないが、香澄からすれば奮発した金額だ。
 実はこれを買うに当たって美鈴に相談し、信頼できる宝石屋を紹介してもらった。

 佑はクリスマスカードを見て、「あとで一人で読もう」と呟いてシャツの胸ポケットにしまう。そしてとろけるような微笑みを浮かべた。

「ありがとう。毎日つけるよ」

 佑は香澄の手を握り、手の甲にチュッと口づける。

「そ、そんっ……あ、ありがとう……」

 佑に色々されるのは慣れていい頃合いなのだが、こうしてお姫様のように手の甲にキスされると、ドキッとしてしまう。

「じゃあ、香澄へのプレゼントの一番乗りは俺だな」

 佑はそう言って香澄の手に、ポンと赤い包装紙に金色のリボンが巻かれた箱を置く。

「じゃ、じゃあ。開けさせて頂きます」

 この一年、佑にはプレゼント攻撃――もとい爆撃を受けていたが、それでもプレゼントをもらうとなると嬉しい。

「ん……?」

 出てきたのは、アクセサリーの入ったビロードの箱だ。

「んっ?」

 もう一度声が漏れたのは、リングケースの台座に指輪が二つ嵌まっていたからだ。

(ペアリング? まさかマリッジリングじゃないと思うけど……)

「え……と」

 指輪はプラチナで、中央に大きめの石、その左右二つずつ、合計五つの石が嵌まっている。

 指輪の片方は濃いピンクの石で統一され、もう片方はオレンジとも朱色ともつかない色で統一されている。
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