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第十七部・クリスマスパーティー 編

さっきのじゃ足りないんだろう? ☆

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 あとは常駐している警備員が見回りをし、施錠されているかチェックする事になっている。

 二人はそのまま社長専用のエレベーターに乗り込み、地下駐車場までまっすぐ向かう。

「アロイスさんとクラウスさん、もう待ちくたびれて拗ねているかもしれませんね」

「あー……。確かに。面倒だな。香澄はあいつらに何をプレゼントしたんだ?」

 呼び方が切り替わり、香澄は胸の奥をうずっとさせる。

「んー、秘密です。最初に本人に知ってもらいたいので」

 双子たちを優先すると、佑が途端にいじけだす。
 彼は溜め息をついてゴンドラの壁に寄りかかり、ねちっこい目で見てくる。

「……社長にもちゃんとプレゼントがありますので、拗ねないでください」

「それは分かってるけど」

 体を起こした佑は、壁ドンして両腕の中に香澄を閉じ込めてくる。

「え……えっ?」

 香澄は驚いて佑を見上げる。

「どうせ今日も家に帰ってイチャイチャできないし、キスぐらい、いいだろ」

 彼の言う事も一理あると思い、香澄は「キスぐらいなら」と目を閉じた。

 顎に手をかけられ、顔を上向かされたと思うと佑の唇が重なった。

 ちゅっ……とついばまれたあとに舌でねろりと唇を舐められ、思わず吐息が漏れる。

 ついばんでは舐め、ついばんでは舐め、を繰り返され、佑の舌がほしくておずおずと舌を差しだした時、ヌルリと彼の舌が絡んできた。

「ん……っ、ン、…………ぅ、ふ……」

 静かなエレベーターのゴンドラの中で、クチュクチュと水音が響く。

 力強い舌で口内をまさぐられ、「もっとほしい」と下腹部の疼きを覚えた時、電子音が鳴ってゴンドラが地下駐車場についた。

 佑が顔を離し、香澄は自分が物欲しそうな顔をしているような気がして、とっさに顔を逸らす。

「っ…………」

 佑は顔を赤くした香澄の頭をポンポンと撫で、「どうぞ」とレディファーストで香澄を先に下ろす。

 ICカードをリーダーに読ませたゲートの向こうには、もうすでに小金井が待機していた。
 呉代も車の外に立っていて、「お疲れ様です」と二人に会釈をする。

 香澄を先に後部座席に乗らせた佑は、小金井に何か囁いたあと、自分も乗り込んだ。

 車のドアが閉まり、全員がシートベルトを締めて車が発進して間もなく、前と後ろを区切る仕切りがせり上がってきた。

「えっ? ……え?」

 困惑する香澄が佑を見ると、彼は悪い笑みを浮かべて香澄を抱き寄せてきた。

「さっきのじゃ足りないんだろう?」

 耳元で囁かれ、図星を突かれてまた顔が赤くなる。

「でも……」

 仕切りの向こうを気にしても、佑はやはり悪い顔をしたまま小さく首を横に振る。

「静かにしていれば大丈夫だ」

 確かにキスなら声も漏れないし、バレないかもしれない。
 と思ったが、仕切りが上がった段階で二人には後ろで何をしているかバレバレだ。

(うー……)

 抗議の籠もった目で佑を見つめていると、彼は愉しそうに笑ってチュッとキスをしてきた。

(音! 立てたら駄目!)

 口をパクパクさせて訴えるものの、すぐに抱き込まれて唇を奪われてしまった。

「ん……っ、ん、む……」

 先ほどと同じように温かい舌で唇のあわいを舐められると、すぐにゾクゾクとした愉悦が体の奥に熾火を作る。

 体をしっかり抱く力強い腕も、頬に当たる佑の鼻先も、鼻腔に入り込む彼の香りも、何もかも香澄の意識を奪う。

「は……っ、は、――――ン」

 気が付けば香澄は切ない吐息を漏らし、夢中になって佑の舌を求めていた。
 佑は香澄のコートのボタンを外し、膝の間から内腿をさする。

(え!?)

 下肢まで弄られると思っていなかった香澄は、思わず顎を引いて目を見開いた。

「〝静かにしていれば大丈夫〟って言っただろう?」

 だが愉快犯のように笑った佑の顔を見て、「ああああああ……」と内心頭を抱えて崩れ落ちる。

「最初から……そのつもりだったの?」

 ポソポソと小さな声で尋ねる香澄の内腿を探り、佑は指先でガーターストッキングを確認して「よし」と小さく頷く。

「~~~~」

 蒸れるのを嫌ってのガーターストッキングだが、ここで裏目に出てしまった。
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