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第十六部・クリスマス 編
五人での朝食
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「企業アカウントは社員に任せてるけどね。個人アカウントは好き勝手にやってる」
「以前にフォローさせて頂いたので、たまに見ています」
そう言いつつ香澄は苦笑いする。
ちょっと前まで――美里と出会う前までは、双子のジャフォットの写真には、ナイトプールなどで水着美女たちとイチャイチャしている写真が沢山あったからだ。
中にはキスしている動画があったり、水着美女たちと密着して踊っている動画もあった。
親しくなった人のそういう動画を見るのは微妙な気持ちになり、アプリを開いたら必ずチェックする……という事はやめた。
たまたま見つけたら〝いいね〟を押すぐらいで丁度いいやと思っていたのだ。
「最近、僕たちのジャフォアカウント変わったでしょ?」
「え? あー……と」
そう言われても、あまりマメにチェックしていない。
「あ。その反応はあんまり見てない?」
「そ……そうですね……。すみません……」
正直に謝ると、「まーいいけど」と双子は笑う。
「確かに前の雰囲気は、身近な女の子にはキツイかもね。僕らも『規約違反じゃなかったら、何を投稿したっていいや』って思ってたし」
(自覚あったんだ……)
心の中で突っ込みつつ、香澄は戸棚から醤油を出す。
「今度時間あったら、俺たちのアカウント見てよ。柄にもなく綺麗な風景とか、その日の食事とか、キラキラした投稿してるから」
「はぁ、なるほど。分かりました。あとで拝見しますね」
(改心したんですね)
女性と絡んでいる写真を悪とは言わないが、ああいう投稿をやめたと聞いて少し安心した。
「言っとくけど、前の投稿はぜーんぶ削除したからね?」
「そうなんですか?」
「だってミサトに身の潔白を示さないと。削除してからミサトにアカウント教えたけどさ」
ペロッと舌を出したクラウスの横で、アロイスが「うんうん」と頷いている。
「遊びじゃなくて良かったです。そのまま普通に恋できたらいいですね」
その時、佑が声を掛けてきた。
「ほら、食べるぞ。俺たちは時間がないんだから」
「へーい」
五人でダイニングテーブルについても、まだ空席があるのが御劔邸の凄いところだ。
献立は白米に豆腐とワカメの味噌汁、焼き塩鮭に卵焼き、ほうれん草のお浸しだ。
BGMはテレビのニュースにし、五人は朝食に取り掛かる。
「今日の予定は決まっているのか?」
「いやー、特に。行き当たりばったりだね」
「そんな心配しなくても大丈夫だけど?」
「心配する訳がないだろう。お前らが誰かに迷惑を掛けないか心配してるんだ」
佑の冷静な突っ込みに、双子がドッと笑う。
「ひでー!」
「ま、出かけるとしたらショッピングだね。クリスマスプレゼントを用意してくれたみたいだから、そのお礼をしないとって思ってるし。それに、マイちゃんのプレゼントも買っておきたいしね」
クラウスの言葉に香澄は笑顔になる。
「ありがとうございます。きっと喜ぶと思います」
「女の子のためなら労力は惜しまないって」
パチンとウインクをされ、香澄は苦笑いをする。
親友に優しくしてくれるのは嬉しいが、この軽ささえなければもう少し女性からの信頼も高くなるだろうに……と思ってしまうからだ。
朝食をとり終わって準備をしていると、チャイムが鳴って松井が姿を現した。
それから香澄は佑と一緒に出社した。
**
出社すると、クリスマス・イブという事もあり、会社全体が浮き足立っている気がする。
勿論商業フロアのChief Every本店では販売スタッフたちが死ぬ気で働いている。
十二月は財布の紐が緩みがちになり、佑も勿論そこを狙って商戦を練っていた。
クリスマスを意識したアイテムを秋口に発表し、現在はその売れ行きや数字を見守っているところだ。
「以前にフォローさせて頂いたので、たまに見ています」
そう言いつつ香澄は苦笑いする。
ちょっと前まで――美里と出会う前までは、双子のジャフォットの写真には、ナイトプールなどで水着美女たちとイチャイチャしている写真が沢山あったからだ。
中にはキスしている動画があったり、水着美女たちと密着して踊っている動画もあった。
親しくなった人のそういう動画を見るのは微妙な気持ちになり、アプリを開いたら必ずチェックする……という事はやめた。
たまたま見つけたら〝いいね〟を押すぐらいで丁度いいやと思っていたのだ。
「最近、僕たちのジャフォアカウント変わったでしょ?」
「え? あー……と」
そう言われても、あまりマメにチェックしていない。
「あ。その反応はあんまり見てない?」
「そ……そうですね……。すみません……」
正直に謝ると、「まーいいけど」と双子は笑う。
「確かに前の雰囲気は、身近な女の子にはキツイかもね。僕らも『規約違反じゃなかったら、何を投稿したっていいや』って思ってたし」
(自覚あったんだ……)
心の中で突っ込みつつ、香澄は戸棚から醤油を出す。
「今度時間あったら、俺たちのアカウント見てよ。柄にもなく綺麗な風景とか、その日の食事とか、キラキラした投稿してるから」
「はぁ、なるほど。分かりました。あとで拝見しますね」
(改心したんですね)
女性と絡んでいる写真を悪とは言わないが、ああいう投稿をやめたと聞いて少し安心した。
「言っとくけど、前の投稿はぜーんぶ削除したからね?」
「そうなんですか?」
「だってミサトに身の潔白を示さないと。削除してからミサトにアカウント教えたけどさ」
ペロッと舌を出したクラウスの横で、アロイスが「うんうん」と頷いている。
「遊びじゃなくて良かったです。そのまま普通に恋できたらいいですね」
その時、佑が声を掛けてきた。
「ほら、食べるぞ。俺たちは時間がないんだから」
「へーい」
五人でダイニングテーブルについても、まだ空席があるのが御劔邸の凄いところだ。
献立は白米に豆腐とワカメの味噌汁、焼き塩鮭に卵焼き、ほうれん草のお浸しだ。
BGMはテレビのニュースにし、五人は朝食に取り掛かる。
「今日の予定は決まっているのか?」
「いやー、特に。行き当たりばったりだね」
「そんな心配しなくても大丈夫だけど?」
「心配する訳がないだろう。お前らが誰かに迷惑を掛けないか心配してるんだ」
佑の冷静な突っ込みに、双子がドッと笑う。
「ひでー!」
「ま、出かけるとしたらショッピングだね。クリスマスプレゼントを用意してくれたみたいだから、そのお礼をしないとって思ってるし。それに、マイちゃんのプレゼントも買っておきたいしね」
クラウスの言葉に香澄は笑顔になる。
「ありがとうございます。きっと喜ぶと思います」
「女の子のためなら労力は惜しまないって」
パチンとウインクをされ、香澄は苦笑いをする。
親友に優しくしてくれるのは嬉しいが、この軽ささえなければもう少し女性からの信頼も高くなるだろうに……と思ってしまうからだ。
朝食をとり終わって準備をしていると、チャイムが鳴って松井が姿を現した。
それから香澄は佑と一緒に出社した。
**
出社すると、クリスマス・イブという事もあり、会社全体が浮き足立っている気がする。
勿論商業フロアのChief Every本店では販売スタッフたちが死ぬ気で働いている。
十二月は財布の紐が緩みがちになり、佑も勿論そこを狙って商戦を練っていた。
クリスマスを意識したアイテムを秋口に発表し、現在はその売れ行きや数字を見守っているところだ。
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