【R-18】【重愛注意】拾われバニーガールはヤンデレ社長の最愛の秘書になりました

臣桜

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第十七部・クリスマスパーティー 編

うさぎのモコモコパーカー

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「カスミ! 絶対コレ! コレ着て! らくちんだし、沢山食べてもお腹がきつくならないし、これしかない!」

 笑いながらクラウスが言い、アロイスも目元を拭いながら頷いている。

「俺もコレ着てほしい! モコモコだしクリスマスっぽいじゃん!?」

「あ、あの! 楽しんでますよね!?」

 くすみピンクのそれは、子供っぽい色ではないので、大人の女性のルームウェアとしては可愛い。
 シチュエーションによっては、香澄が着ても全然アリなのだろう。

 けれど「ドイツでは神聖な扱いのクリスマスだからまじめに着飾ろう」と思ったのに、「ネタで決められた服を着てもいいのだろうか?」という気持ちになる。

「いや、俺は可愛いと思う」

 マティアスに真顔で言われてもあまり慰めにならない。

(彼は人より一つズレてるから……)

「た、佑さんが何と言うか……」

 精一杯頑張ってみたが、双子はニコニコして同じタイミングで首を横に振った。

「それ、着てみよっか」

「え……? と……。へ、ヘアメイクするんじゃなかったんでしたっけ? だったらちゃんとした服のほうが……」

「するよー? でも何にでも合わせられるじゃん。ナチュラルな感じがいいな。ちょっと抜け感のあるアップヘアにして、メイクは肌の綺麗さを出したツヤメイクにしよっか」

「うー……うぅう……」

 情けなくうめく香澄の手に、ルームウェアが押しつけられる。

「じゃあ、僕たちも着替えてくるからさ、その前に今のメイク落として着替えなよ。準備できたら教えて」

「は……はい……」

 結局押し切られてしまい、三人が服を片付けて出ていったあと、香澄は溜め息をついて今着ている服を脱ぎ始めた。

 二階に誰もいないのを確認し、プリンパルフェのショートパンツとレッグウォーマー、上はキャミソールという姿で洗面所に入り、メイクを落とす。

 いつものように念入りに基礎化粧品を肌に叩き込む。

「……こんなんでクリスマスしていいのかな?」

 太腿から膝までは素足が出てしまっているが、御劔邸の中は暖房が効いているので特に寒くない。
 モコモコのスリッパを履いた足で部屋に戻ろうとして、双子たちに準備ができたと言ったほうがいいのか、と考える。

 階段を上がると、ちょうどテーパードパンツにシャツ、ネクタイにベストという姿のクラウスが、笑いながら部屋から廊下に出てきたところだ。

「あーっ! と、カスミ……っ、ぶふぉっ! か、可愛い……っ!」

「ちょ、俺にも見せて! ぶふぉぉっ!!」

 そしてクラウスが出てきた部屋からアロイスも出てきて、二人してゲラゲラ笑いだす。

「~~~~」

 三人が言う通りルームウェアを着ただけなのに……と、香澄は赤面してむくれる。

「可愛いじゃないか」

 そこでマティアスが顔をだし、香澄をしげしげと見たあとにうさぎの耳がついたフードをつまみ、頭に被せた。

「っぶふぉんっ!!」

「ちょ、可愛いからやめ……っ!」

 途端、双子の爆笑がさらに激しくなった。

「~~~~あんまり笑うなら、やめます!」

「うそうそうそ! 待って、可愛いから待って」

「はいはい、カスミ、メイクしよっか」

 アロイスが香澄の手を取り、お姫様のようにクルッと回して二階に連れていく。

「カスミの部屋に入っていい? メイク道具そこにあるんでしょ?」

「あ……はい、別に……いいですけど」

 香澄の私室まで行き、双子は「可愛い部屋だね」とそれとなく部屋の中を見回す。

「可愛いというほどでは……。可愛いよりも、実用性を重視しているので」

 言う通り、香澄の部屋には女の子らしいパステルカラーの何かや、ぬいぐるみなどはない。
 デスクの上に麻衣からもらったプレゼントの雑貨は飾ってあるが、可愛いと言えるのはそれぐらいだ。

 ベッドもデスクもシンプルな物だし、レースやフリルという女子らしさはない。
 かろうじてベッドカバーは海外ブランドの気に入った花柄の物だが、ゴテゴテとした飾りはない。

 カーテンは薄いエメラルドグリーンに同色の色が混ざっている柄で、可愛いというよりは清潔感のある印象だ。

 本棚もシンプルな木製の物で、ドレッサーのみ佑が選んでくれた少しエレガントな形だが、それも木製なので部屋で浮いているという事はない。
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