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第十七部・クリスマスパーティー 編
第十七部・序章 クリスマスパーティーの準備
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四人で帰宅したあと、香澄は家の中をクリスマス仕様にしていた。
三人はすでにクリスマスプレゼントを買ったようで、「ここに置いておくね」と大きなクリスマスツリーの下にプレゼントを幾つも置く。
そのあと、やはり双子が買い込んでいたクリスマスの飾り付けを四人で配置し、御劔邸のリビングはクリスマスの置物やキャンドルなどで飾られていた。
「これはカスミにね」とその場で開けるよう言われたのは、クリスタルでできたうさぎ柄のオーナメントボールだ。
「わあ、ありがとうございます!」
相変わらず、〝うさぎ〟には少しピクッとしてしまうが、黙っていれば分からない。
(でも、可愛い……)
照明を受けてキラキラと光るオーナメントボールを見て、香澄は目を輝かせる。
「さっそく飾りますね」
香澄は玄関ホールに行き、自分の身長が届く範囲の場所にオーナメントボールをつけた。
ツリーはイルミネーションでピカピカと光り、一般家庭では考えられない大きさもあり、幻想的な美しさを醸し出している。
キッチンでは斎藤がアシスタント二人と一緒に、素晴らしい連携で料理を作っている。
彼女の話では昨日から大量の食料が届き、下ごしらえをしていたそうだ。
「シャンパン飲もうよ」
「いいのかな」
斎藤は香澄たちが待ちぼうけしないように、すぐにつまめる物を何品か作ってくれていた。
香澄としては佑がまだ働いているのに、シャンパンを開けて楽しんでいてもいいのだろうか? という不安がある。
「じゃーさ、僕らにつきあってよ。それならいいでしょ? コンパニオンやって」
「あはは……。さすがに、サンタコスはもうしたくないですけど」
「コスプレはしなくていいから、パーティー用にオシャレしなよ。俺たちも着替えてくるから」
「え? 自宅なのにドレスアップするんですか?」
「ドレスアップってほどじゃないけど、まったくの普段着よりいいじゃん」
「そうですね」
「じゃあ、僕らが洋服選んであげる。クリスマスっぽいのがいいよね」
「そうそう。そんでさ、ヘアメイクもやらせて。タスクのいない時に、カスミの事いじりたかったんだよねー」
「い……いいですけど……。でもちゃんと着替えてからですよ? のぞき、ダメ、絶対」
「あはは! なーんでカタコトになるのさ!」
「じゃあカスミのウォークインクローゼット行こうか」
双子は先に階段に向かい、香澄もあとを追う。遅れてマティアスもついてきた。
そして双子は勝手知ったる……という感じで香澄のウォークインクローゼットに入り、ハンガーに掛かった洋服を見始める。
「ふーん、ちゃんと冬物だけになってるんだね」
「そうなんです。たくさん服があるので、全部置いておけなくて。シーズン外のは、別の部屋にあります」
「カスミ、これにこれは?」
直感で選んだのか、クラウスの手には白いシャギーニットと、リブニットのスカートがある。
シャギーニットはVネックになっていて、その下に真珠色のボタンが続いている。一度試着した事があるが、袖が少し長めで萌え袖のようになる。
「あ……えっと。可愛いんですが、ご飯も食べますし白は汚しそうで。それでスカートもそれ、タイトですしちょっと……佑さんが怖いっていうか」
「ぶー。男の目を気にして好きな服も着られないって不自由だねー」
「じゃあこっちは? ブルーグレーのタートルネックに、レオパードのロングスカート。マーメイドスカートだから可愛いよ」
アロイスが出してきた組み合わせを見て、香澄は「これならいいかも」と考える。
そうすると負けじとクラウスが別の組み合わせを出してきた。
「この赤いニットに、赤いチェックの変形スカートはどう? シルエット可愛いよ?」
「マティアス、お前はどうよ? まー、お前の事だから女の子の服を選ぶなんて、しないかなー?」
アロイスがマティアスをからかうが、その時にマティアスが透明ケースの中から、モコモコの布地を取りだした。
「これはどうだろうか? 素材が可愛……」
両手で持った途端、布地がぴらんと垂れ下がり――プリン・パルフェのうさぎの耳がついたルームウェアが露わになった。
「「それ!!」」
双子の声が見事にハモり、香澄は内心頭を抱えて「ああああああ!!」と絶望する。
女子に人気のルームウェアブランド、プリン・パルフェでフードに動物の耳がついたシリーズが出て、香澄は思わずこっそり買ってしまったのだ。
佑にお披露目する機会を窺っていたところ、忙しくて忘れてしまい、いま発掘されたところだ。
三人はすでにクリスマスプレゼントを買ったようで、「ここに置いておくね」と大きなクリスマスツリーの下にプレゼントを幾つも置く。
そのあと、やはり双子が買い込んでいたクリスマスの飾り付けを四人で配置し、御劔邸のリビングはクリスマスの置物やキャンドルなどで飾られていた。
「これはカスミにね」とその場で開けるよう言われたのは、クリスタルでできたうさぎ柄のオーナメントボールだ。
「わあ、ありがとうございます!」
相変わらず、〝うさぎ〟には少しピクッとしてしまうが、黙っていれば分からない。
(でも、可愛い……)
照明を受けてキラキラと光るオーナメントボールを見て、香澄は目を輝かせる。
「さっそく飾りますね」
香澄は玄関ホールに行き、自分の身長が届く範囲の場所にオーナメントボールをつけた。
ツリーはイルミネーションでピカピカと光り、一般家庭では考えられない大きさもあり、幻想的な美しさを醸し出している。
キッチンでは斎藤がアシスタント二人と一緒に、素晴らしい連携で料理を作っている。
彼女の話では昨日から大量の食料が届き、下ごしらえをしていたそうだ。
「シャンパン飲もうよ」
「いいのかな」
斎藤は香澄たちが待ちぼうけしないように、すぐにつまめる物を何品か作ってくれていた。
香澄としては佑がまだ働いているのに、シャンパンを開けて楽しんでいてもいいのだろうか? という不安がある。
「じゃーさ、僕らにつきあってよ。それならいいでしょ? コンパニオンやって」
「あはは……。さすがに、サンタコスはもうしたくないですけど」
「コスプレはしなくていいから、パーティー用にオシャレしなよ。俺たちも着替えてくるから」
「え? 自宅なのにドレスアップするんですか?」
「ドレスアップってほどじゃないけど、まったくの普段着よりいいじゃん」
「そうですね」
「じゃあ、僕らが洋服選んであげる。クリスマスっぽいのがいいよね」
「そうそう。そんでさ、ヘアメイクもやらせて。タスクのいない時に、カスミの事いじりたかったんだよねー」
「い……いいですけど……。でもちゃんと着替えてからですよ? のぞき、ダメ、絶対」
「あはは! なーんでカタコトになるのさ!」
「じゃあカスミのウォークインクローゼット行こうか」
双子は先に階段に向かい、香澄もあとを追う。遅れてマティアスもついてきた。
そして双子は勝手知ったる……という感じで香澄のウォークインクローゼットに入り、ハンガーに掛かった洋服を見始める。
「ふーん、ちゃんと冬物だけになってるんだね」
「そうなんです。たくさん服があるので、全部置いておけなくて。シーズン外のは、別の部屋にあります」
「カスミ、これにこれは?」
直感で選んだのか、クラウスの手には白いシャギーニットと、リブニットのスカートがある。
シャギーニットはVネックになっていて、その下に真珠色のボタンが続いている。一度試着した事があるが、袖が少し長めで萌え袖のようになる。
「あ……えっと。可愛いんですが、ご飯も食べますし白は汚しそうで。それでスカートもそれ、タイトですしちょっと……佑さんが怖いっていうか」
「ぶー。男の目を気にして好きな服も着られないって不自由だねー」
「じゃあこっちは? ブルーグレーのタートルネックに、レオパードのロングスカート。マーメイドスカートだから可愛いよ」
アロイスが出してきた組み合わせを見て、香澄は「これならいいかも」と考える。
そうすると負けじとクラウスが別の組み合わせを出してきた。
「この赤いニットに、赤いチェックの変形スカートはどう? シルエット可愛いよ?」
「マティアス、お前はどうよ? まー、お前の事だから女の子の服を選ぶなんて、しないかなー?」
アロイスがマティアスをからかうが、その時にマティアスが透明ケースの中から、モコモコの布地を取りだした。
「これはどうだろうか? 素材が可愛……」
両手で持った途端、布地がぴらんと垂れ下がり――プリン・パルフェのうさぎの耳がついたルームウェアが露わになった。
「「それ!!」」
双子の声が見事にハモり、香澄は内心頭を抱えて「ああああああ!!」と絶望する。
女子に人気のルームウェアブランド、プリン・パルフェでフードに動物の耳がついたシリーズが出て、香澄は思わずこっそり買ってしまったのだ。
佑にお披露目する機会を窺っていたところ、忙しくて忘れてしまい、いま発掘されたところだ。
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