1,025 / 1,544
第十六部・クリスマス 編
普通あり得ないでしょう
しおりを挟む
「だーかーら。ミサトが俺たちを好きになってくれてからでいいから、今は構えなくていいよ」
アロイスがクスクス笑い、お茶を飲む。
「……その……。まだ色々決まっていないですが、…………恥ずかしい話、最終的にはどうするつもりなんですか? 二人対一人って、普通あり得ないでしょう」
我ながらはしたない質問だと思いながら、美里はどうしても気になっている事を聞く。
それにクラウスがケロッと返事をする。
「えー? 普通にできるじゃん。なんも拡張して二本一気になんて言ってないんだから」
質問しておきながら、あまりにど直球な返事がきてギョッとする。
「そうそう。なんなら別の場所を開発してもいいし」
アロイスも言い、美里は一気に後悔した。
「……聞かなきゃ良かった……」
両手で顔を押さえうなったが、二人はケラケラ笑っている。
「僕たち、ベッドだと優しいよ。痛い事はまずしないしね」
「そうそう。相手が感じてトロトロになってるの見るの好きだし」
言われて安心するものの、彼らが何人もの女性と関係したのだと思うと微妙な気持ちになった。
「そういう……事もしてたんですか? 色んな女性と」
「気になる?」
尋ねられ、思わず黙る。
すると、テーブルに頬杖をついたアロイスが微笑んだ。
「んー、隠さずに言えば、いろーんなプレイはしたかもね。複数も当たり前にしたし、性的にはだらしなかった。知ってる通り、全員と手を切ったから、『もう過去の事だから許してほしい』としか言えないんだけど」
確かに彼の言うとおり、過去は変えられない。
「……子供ってできなかったんですか?」
「それはないね。僕ら、子供を作るつもりは絶対になかった。〝色んな事〟はしたけど、避妊と、命の危険がある事はしなかった。こう見えて、首絞めとか好きじゃないんだ。スパンキングならするけど」
「く、首……!? す、すぱ……」
あまりに過激な単語に、美里はまたギョッとする。
驚かせたと知ったクラウスは、ペロッと舌を出し「忘れて」と笑う。
「引かないで。ミサトがNGって言った事は絶対にしない。気持ちいい事は好きでも、自分の欲はコントロールできるつもりだ」
アロイスが優しく言い含めるように言うが、美里は自分が二人と交わっている姿を想像し、……しきれないでいる。
「…………相手が二人っていうだけで羞恥心が二倍で、絶望しかありません」
頭を抱えたままボソッと呟くが、アロイスはめげない。
「なんだー。想像できてるって事は、アリなんじゃん」
「そ、そうじゃなくて……」
「まぁまぁ。今晩ヤるって言ってるんじゃないから、ゆっくり覚悟決めてって」
溜め息混じりにデザートを食べ終えると、満腹になって少し眠たくなった。
「残り時間どうしよっか」
「せっかくミサトの職場近くまで来たんだから、離れるのは避けたいよね」
双子が相談し始め、美里もいい場所がないか考え始める。
「どうせなら同じホテルだし、僕らの部屋にこない?」
「あっ、それいいね! ゆっくりできるし、ミサトはすぐ職場に行けるし」
「そもそも、札幌に家を買ったって言ってるのに、どうしてホテルのスイートルームを取る必要があるんですか」
呆れて言えば、アロイスが当然という顔で答える。
「そんなん、ミサトと一分一秒でも長く一緒にいたいからに決まってるじゃん」
真正面から言われると、思わず照れてしまう。
「……はぁ……。本当に何もしないんですか?」
「しないよ。もっと話したいとは思ってるけど」
「話すだけですからね」
「分かってるよ。俺たちはどっかの精神的童貞みたいにがっつかないから」
「?」
彼らにしか分からない言葉に首を捻ったあと、レストランをあとにした。
**
場所は変わって東京。
香澄は普段通り仕事をし、佑と変わらない日常を送っていた。
例の三人組ともプレ・クリスマス女子会をしたし、澪や陽菜、アンネたちともランチ、プレゼント交換をした。
マティアスはすき焼きで会って以降、単独行動をしているようだ。
香澄は彼から写真が送られてくるのを興味深く見る。
マティアスから見た〝日本〟〝東京〟の写真は、どこか新鮮に思えた。
アロイスがクスクス笑い、お茶を飲む。
「……その……。まだ色々決まっていないですが、…………恥ずかしい話、最終的にはどうするつもりなんですか? 二人対一人って、普通あり得ないでしょう」
我ながらはしたない質問だと思いながら、美里はどうしても気になっている事を聞く。
それにクラウスがケロッと返事をする。
「えー? 普通にできるじゃん。なんも拡張して二本一気になんて言ってないんだから」
質問しておきながら、あまりにど直球な返事がきてギョッとする。
「そうそう。なんなら別の場所を開発してもいいし」
アロイスも言い、美里は一気に後悔した。
「……聞かなきゃ良かった……」
両手で顔を押さえうなったが、二人はケラケラ笑っている。
「僕たち、ベッドだと優しいよ。痛い事はまずしないしね」
「そうそう。相手が感じてトロトロになってるの見るの好きだし」
言われて安心するものの、彼らが何人もの女性と関係したのだと思うと微妙な気持ちになった。
「そういう……事もしてたんですか? 色んな女性と」
「気になる?」
尋ねられ、思わず黙る。
すると、テーブルに頬杖をついたアロイスが微笑んだ。
「んー、隠さずに言えば、いろーんなプレイはしたかもね。複数も当たり前にしたし、性的にはだらしなかった。知ってる通り、全員と手を切ったから、『もう過去の事だから許してほしい』としか言えないんだけど」
確かに彼の言うとおり、過去は変えられない。
「……子供ってできなかったんですか?」
「それはないね。僕ら、子供を作るつもりは絶対になかった。〝色んな事〟はしたけど、避妊と、命の危険がある事はしなかった。こう見えて、首絞めとか好きじゃないんだ。スパンキングならするけど」
「く、首……!? す、すぱ……」
あまりに過激な単語に、美里はまたギョッとする。
驚かせたと知ったクラウスは、ペロッと舌を出し「忘れて」と笑う。
「引かないで。ミサトがNGって言った事は絶対にしない。気持ちいい事は好きでも、自分の欲はコントロールできるつもりだ」
アロイスが優しく言い含めるように言うが、美里は自分が二人と交わっている姿を想像し、……しきれないでいる。
「…………相手が二人っていうだけで羞恥心が二倍で、絶望しかありません」
頭を抱えたままボソッと呟くが、アロイスはめげない。
「なんだー。想像できてるって事は、アリなんじゃん」
「そ、そうじゃなくて……」
「まぁまぁ。今晩ヤるって言ってるんじゃないから、ゆっくり覚悟決めてって」
溜め息混じりにデザートを食べ終えると、満腹になって少し眠たくなった。
「残り時間どうしよっか」
「せっかくミサトの職場近くまで来たんだから、離れるのは避けたいよね」
双子が相談し始め、美里もいい場所がないか考え始める。
「どうせなら同じホテルだし、僕らの部屋にこない?」
「あっ、それいいね! ゆっくりできるし、ミサトはすぐ職場に行けるし」
「そもそも、札幌に家を買ったって言ってるのに、どうしてホテルのスイートルームを取る必要があるんですか」
呆れて言えば、アロイスが当然という顔で答える。
「そんなん、ミサトと一分一秒でも長く一緒にいたいからに決まってるじゃん」
真正面から言われると、思わず照れてしまう。
「……はぁ……。本当に何もしないんですか?」
「しないよ。もっと話したいとは思ってるけど」
「話すだけですからね」
「分かってるよ。俺たちはどっかの精神的童貞みたいにがっつかないから」
「?」
彼らにしか分からない言葉に首を捻ったあと、レストランをあとにした。
**
場所は変わって東京。
香澄は普段通り仕事をし、佑と変わらない日常を送っていた。
例の三人組ともプレ・クリスマス女子会をしたし、澪や陽菜、アンネたちともランチ、プレゼント交換をした。
マティアスはすき焼きで会って以降、単独行動をしているようだ。
香澄は彼から写真が送られてくるのを興味深く見る。
マティアスから見た〝日本〟〝東京〟の写真は、どこか新鮮に思えた。
13
お気に入りに追加
2,511
あなたにおすすめの小説
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
なりゆきで、君の体を調教中
星野しずく
恋愛
教師を目指す真が、ひょんなことからメイド喫茶で働く現役女子高生の優菜の特異体質を治す羽目に。毎夜行われるマッサージに悶える優菜と、自分の理性と戦う真面目な真の葛藤の日々が続く。やがて二人の心境には、徐々に変化が訪れ…。
ミックスド★バス~家のお風呂なら誰にも迷惑をかけずにイチャイチャ?~
taki
恋愛
【R18】恋人同士となった入浴剤開発者の温子と営業部の水川。
お互いの部屋のお風呂で、人目も気にせず……♥
えっちめシーンの話には♥マークを付けています。
ミックスド★バスの第5弾です。
社長の奴隷
星野しずく
恋愛
セクシー系の商品を販売するネットショップを経営する若手イケメン社長、茂手木寛成のもとで、大のイケメン好き藤巻美緒は仕事と称して、毎日エッチな人体実験をされていた。そんな二人だけの空間にある日、こちらもイケメン大学生である信楽誠之助がアルバイトとして入社する。ただでさえ異常な空間だった社内は、信楽が入ったことでさらに混乱を極めていくことに・・・。(途中、ごくごく軽いBL要素が入ります。念のため)
【R-18】悪役令嬢ですが、罠に嵌まって張型つき木馬に跨がる事になりました!
臣桜
恋愛
悪役令嬢エトラは、王女と聖女とお茶会をしたあと、真っ白な空間にいた。
そこには張型のついた木馬があり『ご自由に跨がってください。絶頂すれば元の世界に戻れます』の文字が……。
※ムーンライトノベルズ様にも重複投稿しています
※表紙はニジジャーニーで生成しました
【R18】エリートビジネスマンの裏の顔
白波瀬 綾音
恋愛
御社のエース、危険人物すぎます───。
私、高瀬緋莉(27)は、思いを寄せていた業界最大手の同業他社勤務のエリート営業マン檜垣瑤太(30)に執着され、軟禁されてしまう。
同じチームの後輩、石橋蓮(25)が異変に気付くが……
この生活に果たして救いはあるのか。
※サムネにAI生成画像を使用しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる