上 下
1,013 / 1,549
第十六部・クリスマス 編

その頃の二人 ☆

しおりを挟む
(あ……。ああ……。やっちゃった。気が付けばこんな事に……)

「どうしよう」と思いつつ、美里は次々にオーダーされた酒を作る。

 前回双子たちが来た時も、ホールスタッフは彼らを興味深そうに見ていた。

(今回も『話を聞かせてください!』って言われるなぁ……)

 美里は内心で溜め息をつき、トールグラスのカクテルをマドラーでステアし、カウンターに置く。
 そして手元を台ふきんで拭きながら、チラッと双子を盗み見した。

(本当に綺麗な顔。眉毛と睫毛まで金色なんだ。これで『アロクラ』のデザイナーで大金持ちって……)

 着ている服はスマートカジュアルだが、身に纏っている物一つ一つが高級品だと分かる。
 有名なハイブランドのロゴがなくても、光沢や細部の縫い目、シルエットが違う。
 双子のスタイルがいいだけでなく、彼らの体を際立たせる服そのものが上等なのだ。

(えらい事になったな……)

 そっと息をつきながら、美里は次の休みがいつだったか思いだそうとした。



**



「ん……、ん……っ」

 テレビを見ながら、香澄はむずむずと腰を揺らす。

 マティアスと食事をしてから帰宅し、風呂に入ってあとは寝るだけだ。

 麦茶を飲みながら夜の情報番組を見ていたのだが、その位置が悪かった。

 佑がカウチソファの上に脚を投げだして座り、香澄は彼の脚の間に座ってもたれ掛かっていた。

 いつもの体勢だったのだが、そのうち佑の手がルームウェア越しに香澄の乳首をカリカリと引っ掻いてくる。

 そのうち掻痒感にも似た快楽が体の内側に溜まり、下腹部がジンジンしてくる。
 その熱を逃がそうと腰を揺らすと、香澄を煽るように佑が乳首を摘まみ、指先で転がしてくる。

「んーっ、も……もぉっ、悪い手!」

 堪らず佑の手首を掴むが、がっしりとした手は香澄が掴んだぐらいで止まらない。

「悪い手だよ? 手だけになっても自立して意志を持ってるかも」

 佑の減らず口に、香澄は思わず笑いだす。

「んふふっ。『アダムス・ファミリー』!」

 そう言って香澄は「タラララッ」とテーマ曲を口ずさみ、指を二回鳴らす。
 けれどスカッスカッと指が擦れ合う音がするだけだ。

 それを見て佑が噴きだした。

「あ! もーっ。仕方がないじゃない。指パッチン慣れてないんだもの」

「一パッチンできたら、俺が一枚脱ごうか?」

「え……?」

 佑の冗談を聞いて香澄は真顔になり、本気でやってみようかと乗り気になる。

 そして一生懸命親指と中指を擦り始めた時、佑が「ストップ」と笑って手を握ってきた。

「冗談だよ。無理にしなくていい。香澄のすんなりした指がどうかなったら困る」

「できるようになりたいんだけど……」

 尚もスカッスカッと指鳴らしをしていると、佑がその手をぱくんと口に入れてきた。

「えっ」

 ねろり、と指を舐められて腰に震えが走る。

 とっさに手を引こうとしたが、彼は香澄の手首を掴んで離してくれない。

 佑はヘーゼルの目で香澄を見つめたまま、顔を前後させる。
 まるでフェラチオでもしているかのようだ。

 温かで柔らかい口内と舌に指が包まれ、全身の力が抜けてしまいそうだ。

「んぁ……っ、あ、や、……っだめ……っ」

 指の股を舐められて香澄はブルッと震える。

 思わず距離を取ろうとしたが、その時にはすでに腹部に腕が回り、抱き込まれたあとだった。
 おまけに脚を絡められ、逃げられなくなっている。

「やだっ、やっ……こんなの……っ」

 身動きの取れない状態になり、香澄はジタバタと暴れる。

 その間も指は温かな舌にねっとりとなぶられ、舐められているだけなのに下腹部が疼いてしまう。
 佑は香澄の手を離し、ショートパンツの股間をクニクニと指で押してきた。

「ん……っ、ん……、ぅ」

 逃げたいのに、腰が勝手にくねって刺激を求めてしまう。

(駄目……っ、なのに……っ)

 いつの間にか香澄の口は半開きになっていて、ピンクの唇に透明なものが垂れかける。
 それをペロリと舐め、股間をまさぐる佑の手を押さえた。

「あ……っ!」

 だが佑の指はショートパンツの隙間から侵入し、パンティのクロッチ越しに肉芽を探り始める。
しおりを挟む
感想 556

あなたにおすすめの小説

『逃れられない淫らな三角関係』番外編 ヘルプラインを活用せよ!

臣桜
恋愛
『逃れられない淫らな三角関係』の番外編です。 やりとりのある特定の読者さまに向けた番外編(小冊子)です。 他にも色々あるのですが、差し障りのなさそうなものなので公開します。 (他の番外編は、リアルブランド名とかを出してしまっている配慮していないものなので、ここに載せるかは検討中)

地味女で喪女でもよく濡れる。~俺様海運王に開発されました~

あこや(亜胡夜カイ)
恋愛
新米学芸員の工藤貴奈(くどうあてな)は、自他ともに認める地味女で喪女だが、素敵な思い出がある。卒業旅行で訪れたギリシャで出会った美麗な男とのワンナイトラブだ。文字通り「ワンナイト」のつもりだったのに、なぜか貴奈に執着した男は日本へやってきた。貴奈が所属する博物館を含むグループ企業を丸ごと買収、CEOとして乗り込んできたのだ。「お前は俺が開発する」と宣言して、貴奈を学芸員兼秘書として側に置くという。彼氏いない歴=年齢、好きな相手は壁画の住人、「だったはず」の貴奈は、昼も夜も彼の執着に翻弄され、やがて体が応えるように……

ハイスペック上司からのドSな溺愛

鳴宮鶉子
恋愛
ハイスペック上司からのドSな溺愛

【R18】深層のご令嬢は、婚約破棄して愛しのお兄様に花弁を散らされる

奏音 美都
恋愛
バトワール財閥の令嬢であるクリスティーナは血の繋がらない兄、ウィンストンを密かに慕っていた。だが、貴族院議員であり、ノルウェールズ侯爵家の三男であるコンラッドとの婚姻話が持ち上がり、バトワール財閥、ひいては会社の経営に携わる兄のために、お見合いを受ける覚悟をする。 だが、今目の前では兄のウィンストンに迫られていた。 「ノルウェールズ侯爵の御曹司とのお見合いが決まったって聞いたんだが、本当なのか?」」  どう尋ねる兄の真意は……

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

義兄に甘えまくっていたらいつの間にか執着されまくっていた話

よしゆき
恋愛
乙女ゲームのヒロインに意地悪をする攻略対象者のユリウスの義妹、マリナに転生した。大好きな推しであるユリウスと自分が結ばれることはない。ならば義妹として目一杯甘えまくって楽しもうと考えたのだが、気づけばユリウスにめちゃくちゃ執着されていた話。 「義兄に嫌われようとした行動が裏目に出て逆に執着されることになった話」のifストーリーですが繋がりはなにもありません。

辣腕同期が終業後に淫獣になって襲ってきます

鳴宮鶉子
恋愛
辣腕同期が終業後に淫獣になって襲ってきます

処理中です...