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第十五部・針山夫婦 編
危なっかしそうだもんね
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「やだぁ、香澄ちゃん家庭的! いいなぁ、私にも作ってほしい。可愛い女の子が作る手料理ったら最高じゃない」
美鈴が心底羨ましそうに言い、出雲がつっこむ。
「美鈴は料理しないから、家政婦さん頼みだな。俺もしない事はないんだけど、忙しくて……」
(あ、料理しないんだ)
ついそう思ってしまった直後、猛省する。
(お嬢様だから、料理する必要がないだけじゃない)
美人で明るく、カラリとした美鈴がとても完璧に見えたので、彼女が料理をしないと知って安心してしまった自分がいる。
その醜い感情を、とても恥じた。
そんな香澄の心境を知らず、美鈴は恥じた様子もなく言う。
「忙しいしねー。お金ならがっつり稼いでるし、そのお金で家政婦さんを雇えばこっちのもんよ。お金で解決するなら、苦手な事をあえてする必要はないのよ」
そういう考えは、アンネに似ていると思った。
「私、学生時代から家庭科って大嫌いだったのよね。料理やったら手切るし、ミシンは訳が分からないし『あー、向いてないわ』って悟ったもの。出雲が『家庭的な女性じゃなきゃ……』とか、たわけた事を言わなくて安心したわ」
そう言って美鈴は豪快に笑い、美しい箸使いでカルパッチョを食べる。
「俺は結婚するにあたって〝一緒に戦ってくれる女〟を求めていたから、バッチリ気が合ったんだと思う」
「確かに美鈴さんは、戦闘力バカ高そうだな」
佑の言葉を聞き、美鈴が力こぶを作る。
「任せて! 空手もやってるし、体鍛える時はリングに上がってスパーリングよ! それに今、パルクールにめっちゃ興味があるのよねぇ」
「それはやめてくれ」
げんなりする出雲を見て、美鈴は「今はやらないわよ~」とケラケラ笑う。
「〝今は〟かよ!」
突っ込んでシャンパンを呷った出雲を見て、香澄は笑う。
続いて様々な野菜やニョッキを使った温野菜サラダ、かぼちゃのポタージュが出される。
それらを美味しく食べていると、佑が美鈴に話しかけた。
「落ち着いてからでいいから、香澄に護身術を教えてくれないか?」
「いいわよ! 香澄ちゃんって危なっかしそうだもんね。人がいいから、争う間もなく促されて車に乗ってスルーッと誘拐されそう」
「そ、そんな事ありません!」
慌てて否定するものの、佑が深刻そうな顔をして見つめてくるので、自信がなくなってしまう。
「香澄は本当にお人好しなんだ。本人はしっかりしてるつもりらしいけど、自分を傷付ける相手にも情けをかけて、事情を汲み取ろうとする。正直、いつ襲われるか分からない。せめて逃げられるようになってほしい」
佑が真剣に悩んでいるのを察し、美鈴もまじめな表情で頷く。
「分かったわ。けど、佑くんのところで雇ってる護衛に習うのもアリだと思うわよ。アマチュアの私より、専門家のほうがきちんと教えてくれるだろうし」
「確かにそうだな」
ふむ、と佑が頷く。
とはいえ、こうして美鈴に頼んだのは〝女性だから〟という理由が大きいのだろう。
自分がボーッとしているせいでこんな話になり、申し訳なくなる。
話している間、キッチンからは肉を焼く香ばしい香りが漂ってくる。
真剣な話をしているのに、手作りのソースで絡められた温野菜サラダもスープも美味しくて、幸せ一杯だ。
(黙って食べよう……)
自分に言い聞かせ、残ったスープをパンで拭おうとした時、美鈴に話しかけられる。
「そうだ。香澄ちゃん、誕生日だったんでしょ? おめでとう! ささやかだけどプレゼントを用意したの。あとで渡すわね」
「えっ!? そ、そんな……! 申し訳ないです。……ありがとうございます……」
今日が初対面なのに誕生日プレゼントと言われ、恐縮してしまう。
「私、何も用意していなくて……。美鈴さん、お誕生日いつですか?」
「あはは! 私はまだまだ先よ。夏生まれなの。しし座のB型って言ったら、聞いた人全員納得するわね」
確かにイメージぴったりだ。
それに合わせて佑も笑う。
「俺は星占いとか詳しくないけど、確かに美鈴さんは夏生まれっぽいな」
言われて、美鈴は目を瞬かせる。
「あれ? 佑くん、毎年プレゼント用意してくれるじゃない。あれは何だったの? 私の誕生日、覚えてないの?」
「一か月前にスケジュールアプリの通知がくるから、そのタイミングで手配してる」
「やだぁ、ネタバレしないでよ。一応イケメンだから、プレゼントをもらって嬉しかったのに」
悔しがる美鈴を見て、佑と出雲が笑う。
新年あけましておめでとうございます。2023年もバニーガール、臣桜を宜しくお願いいたします。
イラストの佑と香澄以外の生物は、オリジナルマスコット(?)でうさぎ秘書と言います。
香澄イメージから発生した存在なのですが、独立した性質を持っていまして、普段は社長室にあるカゴベッドでお休み、佑が仕事のストレスが溜まったら『うさぎ吸い』をさせてお給料をもらってる存在です。
お金にがめつくて、美味しい物が大好き。
何かと理由をつけてお金をとっては、趣味の食べ歩きブログを充実させるという目標を持っています。
基本、陽気でおバカ、どや顔がデフォです。
自分一人でTwitterの趣味垢(鍵)でネタを呟いて満足してる存在なのですが、たまに表でもチラッと呟く事があったら、「ああ、これの事なんだな」と思っていてください(笑)
たまにpixivとかにもらくがきで登場しています。
私のレポ漫画とかでも、本人(おみさく)代行としてうさぎ秘書が現れる事もあります。
なお、「うさぎ秘書/人間の秘書」という分け方をしています。(どうでもいい情報)
毛が茶色いので夏毛だと思うのですが、常に茶色くて冬毛(白)バージョンを描いた事がありません。
多分冬毛バージョンでもっふ……とかさまししてそう。
そんなこんなで、佑、香澄、うさぎ秘書ともに2023年も宜しくお願いいたします!🐰
美鈴が心底羨ましそうに言い、出雲がつっこむ。
「美鈴は料理しないから、家政婦さん頼みだな。俺もしない事はないんだけど、忙しくて……」
(あ、料理しないんだ)
ついそう思ってしまった直後、猛省する。
(お嬢様だから、料理する必要がないだけじゃない)
美人で明るく、カラリとした美鈴がとても完璧に見えたので、彼女が料理をしないと知って安心してしまった自分がいる。
その醜い感情を、とても恥じた。
そんな香澄の心境を知らず、美鈴は恥じた様子もなく言う。
「忙しいしねー。お金ならがっつり稼いでるし、そのお金で家政婦さんを雇えばこっちのもんよ。お金で解決するなら、苦手な事をあえてする必要はないのよ」
そういう考えは、アンネに似ていると思った。
「私、学生時代から家庭科って大嫌いだったのよね。料理やったら手切るし、ミシンは訳が分からないし『あー、向いてないわ』って悟ったもの。出雲が『家庭的な女性じゃなきゃ……』とか、たわけた事を言わなくて安心したわ」
そう言って美鈴は豪快に笑い、美しい箸使いでカルパッチョを食べる。
「俺は結婚するにあたって〝一緒に戦ってくれる女〟を求めていたから、バッチリ気が合ったんだと思う」
「確かに美鈴さんは、戦闘力バカ高そうだな」
佑の言葉を聞き、美鈴が力こぶを作る。
「任せて! 空手もやってるし、体鍛える時はリングに上がってスパーリングよ! それに今、パルクールにめっちゃ興味があるのよねぇ」
「それはやめてくれ」
げんなりする出雲を見て、美鈴は「今はやらないわよ~」とケラケラ笑う。
「〝今は〟かよ!」
突っ込んでシャンパンを呷った出雲を見て、香澄は笑う。
続いて様々な野菜やニョッキを使った温野菜サラダ、かぼちゃのポタージュが出される。
それらを美味しく食べていると、佑が美鈴に話しかけた。
「落ち着いてからでいいから、香澄に護身術を教えてくれないか?」
「いいわよ! 香澄ちゃんって危なっかしそうだもんね。人がいいから、争う間もなく促されて車に乗ってスルーッと誘拐されそう」
「そ、そんな事ありません!」
慌てて否定するものの、佑が深刻そうな顔をして見つめてくるので、自信がなくなってしまう。
「香澄は本当にお人好しなんだ。本人はしっかりしてるつもりらしいけど、自分を傷付ける相手にも情けをかけて、事情を汲み取ろうとする。正直、いつ襲われるか分からない。せめて逃げられるようになってほしい」
佑が真剣に悩んでいるのを察し、美鈴もまじめな表情で頷く。
「分かったわ。けど、佑くんのところで雇ってる護衛に習うのもアリだと思うわよ。アマチュアの私より、専門家のほうがきちんと教えてくれるだろうし」
「確かにそうだな」
ふむ、と佑が頷く。
とはいえ、こうして美鈴に頼んだのは〝女性だから〟という理由が大きいのだろう。
自分がボーッとしているせいでこんな話になり、申し訳なくなる。
話している間、キッチンからは肉を焼く香ばしい香りが漂ってくる。
真剣な話をしているのに、手作りのソースで絡められた温野菜サラダもスープも美味しくて、幸せ一杯だ。
(黙って食べよう……)
自分に言い聞かせ、残ったスープをパンで拭おうとした時、美鈴に話しかけられる。
「そうだ。香澄ちゃん、誕生日だったんでしょ? おめでとう! ささやかだけどプレゼントを用意したの。あとで渡すわね」
「えっ!? そ、そんな……! 申し訳ないです。……ありがとうございます……」
今日が初対面なのに誕生日プレゼントと言われ、恐縮してしまう。
「私、何も用意していなくて……。美鈴さん、お誕生日いつですか?」
「あはは! 私はまだまだ先よ。夏生まれなの。しし座のB型って言ったら、聞いた人全員納得するわね」
確かにイメージぴったりだ。
それに合わせて佑も笑う。
「俺は星占いとか詳しくないけど、確かに美鈴さんは夏生まれっぽいな」
言われて、美鈴は目を瞬かせる。
「あれ? 佑くん、毎年プレゼント用意してくれるじゃない。あれは何だったの? 私の誕生日、覚えてないの?」
「一か月前にスケジュールアプリの通知がくるから、そのタイミングで手配してる」
「やだぁ、ネタバレしないでよ。一応イケメンだから、プレゼントをもらって嬉しかったのに」
悔しがる美鈴を見て、佑と出雲が笑う。
新年あけましておめでとうございます。2023年もバニーガール、臣桜を宜しくお願いいたします。
イラストの佑と香澄以外の生物は、オリジナルマスコット(?)でうさぎ秘書と言います。
香澄イメージから発生した存在なのですが、独立した性質を持っていまして、普段は社長室にあるカゴベッドでお休み、佑が仕事のストレスが溜まったら『うさぎ吸い』をさせてお給料をもらってる存在です。
お金にがめつくて、美味しい物が大好き。
何かと理由をつけてお金をとっては、趣味の食べ歩きブログを充実させるという目標を持っています。
基本、陽気でおバカ、どや顔がデフォです。
自分一人でTwitterの趣味垢(鍵)でネタを呟いて満足してる存在なのですが、たまに表でもチラッと呟く事があったら、「ああ、これの事なんだな」と思っていてください(笑)
たまにpixivとかにもらくがきで登場しています。
私のレポ漫画とかでも、本人(おみさく)代行としてうさぎ秘書が現れる事もあります。
なお、「うさぎ秘書/人間の秘書」という分け方をしています。(どうでもいい情報)
毛が茶色いので夏毛だと思うのですが、常に茶色くて冬毛(白)バージョンを描いた事がありません。
多分冬毛バージョンでもっふ……とかさまししてそう。
そんなこんなで、佑、香澄、うさぎ秘書ともに2023年も宜しくお願いいたします!🐰
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