953 / 1,544
第十五部・針山夫婦 編
針山出雲
しおりを挟む
下唇の輪郭をつぅっと辿られ、香澄の表情から緊張がとれていく。
「セックスを楽しんでいこう? 気持ちよくて理性が飛ぶと怖いかもしれない。でも側に俺がいる。俺だって最中は我を失っているし、お互い様だ。とろけている姿を『可愛い』とは思っても、嗤ったりしないよ」
本能的に恐れていた事を指摘され、香澄は小さく息をつく。
「……流石だね。何も言わなくても、何に怯えているか筒抜けなんだね」
「香澄ソムリエだから」
「っふふ、なにそれ」
クスクス笑った香澄を抱き締めてから、佑は濡れた手で髪を掻き上げた。
「体流して、そろそろ出ようか。香澄が逆上せたら困る」
「ん……。そうだね。そろそろ……」
香澄はバスタブに両手を着いて腰を上げ、繋がりを解く。
そのあとへたりこんでしまった彼女の秘部に、佑が触れてきた。
「綺麗にしてあげる。なんなら、シャワーで洗い流そうか」
佑は香澄の体を支えたまま立ち上がり、洗い場のバスチェアに座らせると脚を開かせる。
「ん、もう……っ。そういうのはいいって」
「最後まで面倒みてあげるから」
恥ずかしいので必死に遠慮するが、佑は嬉しそうに笑うだけだ。
そして彼は香澄の秘部にシャワーを当て、指で蜜洞を掻き回してくるのだった。
**
翌日から佑はシンガポールに出張になり、河野が同行する事になった。
香澄は松井と一緒にオフィス勤務で、いつも通りメール処理や事務仕事をこなす。
土曜日の午前中に佑が帰ってきて、日中は大人しく休んでもらう。
件の針山家には、土曜日の夕方にお邪魔する予定だった。
佑は「大丈夫」と言い張るので、香澄は「休んで」とベッドに押し込む。
そのあと、抱き枕になる事を承諾して、午後まで休んでもらった。
夕方になり、香澄はフューシャピンクのニットにベージュのマーメイドスカートを穿き、黒いコートを羽織る。
佑はオリーブ色のセーターを着て、裾から下に着た白いロングTシャツの裾をチラリと見せ、黒い細身のパンツを穿いている。
その上に黒いチェスターコートを羽織り、ライトグレーのスヌードを巻いた。
手土産は妊婦の美鈴を気遣い、ヴィーガンスイーツにした。
二人は小金井が運転する車に乗り、南麻布にある出雲と美鈴の家に向かった。
目的地は、白金台からは車に乗って十分も掛からない距離になる。
それでも週末はただでさえ賑わっているので、外を歩くデメリットを考えると、車で行ったほうがいいと判断した。
針山家の周りはグルリと塀に囲まれている。
門の前に車が停まると、自動で門が開き、敷地内に入ると玄関から男性が出迎えているのが見えた。
「彼が出雲だよ」
彼の名前や、佑の親友だという事、『美人堂』の御曹司で社長などの情報は事前に聞かされていて、香澄は「凄い人なんだろうな」と思っていた。
佑のように見るも眩しい、完璧御曹司を想像して構えていたのだが……。
「おー、来た来た」
車から降りると、明るい声が聞こえる。
実際の出雲は、思っていたよりもずっとカジュアルな雰囲気だった。
爽やかでスポーツ万能、エリート! という感じで、顔立ちは間違いなく美形だ。
佑が優しげで微かに色気のある美形だとするなら、出雲は思っている事をストレートに言いそうな、明朗な雰囲気があった。
髪型はスッキリとした黒髪のショートヘアで、服はデザインより品質にこだわっているらしい、シンプルなシャツにテーパードパンツだ。
目にはキラキラと悪戯っぽい光が宿り、表情が生き生きしている人だと思った。
どことなく双子と似たものを感じ、香澄は「佑さんってこういうタイプの人に好かれるのかな?」と思った。
手を振る彼に、佑が挨拶をして香澄を紹介する。
「外まで来てくれてありがとうな。出雲、彼女が香澄だ」
「初めまして。赤松香澄です」
佑に照会され、香澄はぺこりとお辞儀をした。
「はい、初めまして。可愛いね、香澄ちゃん」
出雲はニッコリ笑いながら手を差しだし、香澄はおずおずと握手する。
ギュッと力強く握られた手をブンブンと上下に振られる。
挨拶が終わったあと、出雲が「さみぃ!」と大きめの声を出して玄関に向かった。
「セックスを楽しんでいこう? 気持ちよくて理性が飛ぶと怖いかもしれない。でも側に俺がいる。俺だって最中は我を失っているし、お互い様だ。とろけている姿を『可愛い』とは思っても、嗤ったりしないよ」
本能的に恐れていた事を指摘され、香澄は小さく息をつく。
「……流石だね。何も言わなくても、何に怯えているか筒抜けなんだね」
「香澄ソムリエだから」
「っふふ、なにそれ」
クスクス笑った香澄を抱き締めてから、佑は濡れた手で髪を掻き上げた。
「体流して、そろそろ出ようか。香澄が逆上せたら困る」
「ん……。そうだね。そろそろ……」
香澄はバスタブに両手を着いて腰を上げ、繋がりを解く。
そのあとへたりこんでしまった彼女の秘部に、佑が触れてきた。
「綺麗にしてあげる。なんなら、シャワーで洗い流そうか」
佑は香澄の体を支えたまま立ち上がり、洗い場のバスチェアに座らせると脚を開かせる。
「ん、もう……っ。そういうのはいいって」
「最後まで面倒みてあげるから」
恥ずかしいので必死に遠慮するが、佑は嬉しそうに笑うだけだ。
そして彼は香澄の秘部にシャワーを当て、指で蜜洞を掻き回してくるのだった。
**
翌日から佑はシンガポールに出張になり、河野が同行する事になった。
香澄は松井と一緒にオフィス勤務で、いつも通りメール処理や事務仕事をこなす。
土曜日の午前中に佑が帰ってきて、日中は大人しく休んでもらう。
件の針山家には、土曜日の夕方にお邪魔する予定だった。
佑は「大丈夫」と言い張るので、香澄は「休んで」とベッドに押し込む。
そのあと、抱き枕になる事を承諾して、午後まで休んでもらった。
夕方になり、香澄はフューシャピンクのニットにベージュのマーメイドスカートを穿き、黒いコートを羽織る。
佑はオリーブ色のセーターを着て、裾から下に着た白いロングTシャツの裾をチラリと見せ、黒い細身のパンツを穿いている。
その上に黒いチェスターコートを羽織り、ライトグレーのスヌードを巻いた。
手土産は妊婦の美鈴を気遣い、ヴィーガンスイーツにした。
二人は小金井が運転する車に乗り、南麻布にある出雲と美鈴の家に向かった。
目的地は、白金台からは車に乗って十分も掛からない距離になる。
それでも週末はただでさえ賑わっているので、外を歩くデメリットを考えると、車で行ったほうがいいと判断した。
針山家の周りはグルリと塀に囲まれている。
門の前に車が停まると、自動で門が開き、敷地内に入ると玄関から男性が出迎えているのが見えた。
「彼が出雲だよ」
彼の名前や、佑の親友だという事、『美人堂』の御曹司で社長などの情報は事前に聞かされていて、香澄は「凄い人なんだろうな」と思っていた。
佑のように見るも眩しい、完璧御曹司を想像して構えていたのだが……。
「おー、来た来た」
車から降りると、明るい声が聞こえる。
実際の出雲は、思っていたよりもずっとカジュアルな雰囲気だった。
爽やかでスポーツ万能、エリート! という感じで、顔立ちは間違いなく美形だ。
佑が優しげで微かに色気のある美形だとするなら、出雲は思っている事をストレートに言いそうな、明朗な雰囲気があった。
髪型はスッキリとした黒髪のショートヘアで、服はデザインより品質にこだわっているらしい、シンプルなシャツにテーパードパンツだ。
目にはキラキラと悪戯っぽい光が宿り、表情が生き生きしている人だと思った。
どことなく双子と似たものを感じ、香澄は「佑さんってこういうタイプの人に好かれるのかな?」と思った。
手を振る彼に、佑が挨拶をして香澄を紹介する。
「外まで来てくれてありがとうな。出雲、彼女が香澄だ」
「初めまして。赤松香澄です」
佑に照会され、香澄はぺこりとお辞儀をした。
「はい、初めまして。可愛いね、香澄ちゃん」
出雲はニッコリ笑いながら手を差しだし、香澄はおずおずと握手する。
ギュッと力強く握られた手をブンブンと上下に振られる。
挨拶が終わったあと、出雲が「さみぃ!」と大きめの声を出して玄関に向かった。
23
お気に入りに追加
2,511
あなたにおすすめの小説
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
なりゆきで、君の体を調教中
星野しずく
恋愛
教師を目指す真が、ひょんなことからメイド喫茶で働く現役女子高生の優菜の特異体質を治す羽目に。毎夜行われるマッサージに悶える優菜と、自分の理性と戦う真面目な真の葛藤の日々が続く。やがて二人の心境には、徐々に変化が訪れ…。
ミックスド★バス~家のお風呂なら誰にも迷惑をかけずにイチャイチャ?~
taki
恋愛
【R18】恋人同士となった入浴剤開発者の温子と営業部の水川。
お互いの部屋のお風呂で、人目も気にせず……♥
えっちめシーンの話には♥マークを付けています。
ミックスド★バスの第5弾です。
社長の奴隷
星野しずく
恋愛
セクシー系の商品を販売するネットショップを経営する若手イケメン社長、茂手木寛成のもとで、大のイケメン好き藤巻美緒は仕事と称して、毎日エッチな人体実験をされていた。そんな二人だけの空間にある日、こちらもイケメン大学生である信楽誠之助がアルバイトとして入社する。ただでさえ異常な空間だった社内は、信楽が入ったことでさらに混乱を極めていくことに・・・。(途中、ごくごく軽いBL要素が入ります。念のため)
【R-18】悪役令嬢ですが、罠に嵌まって張型つき木馬に跨がる事になりました!
臣桜
恋愛
悪役令嬢エトラは、王女と聖女とお茶会をしたあと、真っ白な空間にいた。
そこには張型のついた木馬があり『ご自由に跨がってください。絶頂すれば元の世界に戻れます』の文字が……。
※ムーンライトノベルズ様にも重複投稿しています
※表紙はニジジャーニーで生成しました
【R18】エリートビジネスマンの裏の顔
白波瀬 綾音
恋愛
御社のエース、危険人物すぎます───。
私、高瀬緋莉(27)は、思いを寄せていた業界最大手の同業他社勤務のエリート営業マン檜垣瑤太(30)に執着され、軟禁されてしまう。
同じチームの後輩、石橋蓮(25)が異変に気付くが……
この生活に果たして救いはあるのか。
※サムネにAI生成画像を使用しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる