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第十五部・針山夫婦 編
針山夫婦からの誘い
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斎藤が休みなので、帰宅したあとは二人で夕食を作った。
今日は中華でいこうという事になり、佑がキュウリとクラゲの中華サラダを作る。
その傍ら、香澄は油淋鶏のタレを作り、ネギがタレに馴染むのを待つ間、鶏もも肉を観音開きにして下味をつけ、片栗粉をまぶしてパリッと揚げていく。
大皿に野菜をたっぷり敷き詰めてカットした鶏肉を並べ、タレをかけるとジュッといい音がした。
「香澄、スープもできたよ」
「ありがとう」
スープを見ると、溶き卵がふんわりと浮いていて美味しそうだ。
「鶏肉大好き! 炭水化物とお肉のコンボでご飯が進んじゃう」
「俺も好きだよ。本当に白米と合うよな」
キッチンで笑い合い、ダイニングに運んだあと「いただきます」を言った。
「ん~! 美味しい! 幾らでも入っちゃう」
もぐもぐと口を動かしたあと、ハッと今ダイエット中である事を思いだした。
それを察したのか、向かいで佑が笑う。
「香澄、楽しく食べよう? ショウコさんだって『今まで通りのトレーニングをすればすぐ元の体重に戻ります』と言っていた。一か月に落ちる体重の限度だってあるし、無理や我慢をする必要はない」
「……悪い人だなぁ」
テーブルの下でつんつんと佑の足をつつくと、逆にスルリとふくらはぎを足で撫でられた。
「香澄が幸せに食べてくれるなら、どんな事だってするよ?」
スリスリと足でふくらはぎを撫でられ、食事中だというのに変な気持ちになってしまう。
「四キロって言っても、増えたように見えないよ。俺もつきあうから、一緒にトレーニングして無理なく戻していこう」
「うん、ありがとう」
「カップルトレーニングってやってみたいってずっと思ってたんだ」
「あー……。なんか聞いた事ある」
いきなり佑の目的が不純な方面に向かった。
「腹筋一回するごとにキスできるって、役得だろう?」
「もぉぉ……」
それまでちょっと怒った顔をしてみせていたが、堪らず香澄は笑み崩れた。
食事が終わってお腹がこなれたあと、二人で風呂に入る。
髪と体を洗ってからジェットバスで温まっている時、佑が言った。
「そのうちでいいんだけど、俺の友達に会ってくれないか?」
「友達?」
後ろから彼に抱かれて、胸を揉まれていた香澄は、「ん?」と振り向く。
「前にちょっと話題にした、針山出雲っていう友達がいるんだけど」
香澄の胸の先端をカリカリと引っ掻き、佑が言う。
「うん。『美人堂』の社長さんだっけ。今月奥さんがお子さんを産んだ……」
「そう。で、美鈴さんも落ち着いたみたいだし、『遊びに来ないか』って言われてて。美鈴さんも、たまには新顔と話したいみたいだ」
「赤ちゃん産まれたばっかりなんでしょう? 大丈夫なのかな? 美鈴さん? も、大変じゃないかな……」
SNSを見たりニュースを読むだけでも、子育ては大変だと知っている。
意思の疎通ができてもまだまだ大変なのに、生まれたてなら想像できないぐらい大変なのでは……と、思った。
「いや、家政婦さんとシッターさんがいるから、香澄が思っているほどストレスは溜まっていないと思う。あまりに大変だったら誘ってこないと思うし」
「そっか」
香澄のイメージではいわゆるワンオペが浮かんでいたのだが、考えてみれば佑の周囲の人は〝大変〟を金で解決できる人ばかりだ。
「香澄にも手助けしてくれる人は、沢山いるからな?」
「んっ……、もぉ……。気が早い……」
くに、と乳首を摘ままれ、コリコリと左右に揺さぶられてうわずった声が出る。
「んー……。それで……、出雲さんと美鈴さん? ご招待があるの?」
先ほどから佑の好きなように胸を弄られていて、いつのまにか下腹部に快楽の熾火ができている。
それでも会話は続いているので、一人で発情するのは恥ずかしい。
だからできるだけ平静を保って話を促した。
「いつでも来てくれって言われているけど、……週末の方がいいかな? 来る日にちが分かったら、美鈴さんが松阪牛を仕入れておくって鼻息荒く言ってた」
「まっ、松阪牛? そ、そんないいお肉用意しなくても……」
ブランド牛と言えばの名前が出て、香澄は思わずビビる。
今日は中華でいこうという事になり、佑がキュウリとクラゲの中華サラダを作る。
その傍ら、香澄は油淋鶏のタレを作り、ネギがタレに馴染むのを待つ間、鶏もも肉を観音開きにして下味をつけ、片栗粉をまぶしてパリッと揚げていく。
大皿に野菜をたっぷり敷き詰めてカットした鶏肉を並べ、タレをかけるとジュッといい音がした。
「香澄、スープもできたよ」
「ありがとう」
スープを見ると、溶き卵がふんわりと浮いていて美味しそうだ。
「鶏肉大好き! 炭水化物とお肉のコンボでご飯が進んじゃう」
「俺も好きだよ。本当に白米と合うよな」
キッチンで笑い合い、ダイニングに運んだあと「いただきます」を言った。
「ん~! 美味しい! 幾らでも入っちゃう」
もぐもぐと口を動かしたあと、ハッと今ダイエット中である事を思いだした。
それを察したのか、向かいで佑が笑う。
「香澄、楽しく食べよう? ショウコさんだって『今まで通りのトレーニングをすればすぐ元の体重に戻ります』と言っていた。一か月に落ちる体重の限度だってあるし、無理や我慢をする必要はない」
「……悪い人だなぁ」
テーブルの下でつんつんと佑の足をつつくと、逆にスルリとふくらはぎを足で撫でられた。
「香澄が幸せに食べてくれるなら、どんな事だってするよ?」
スリスリと足でふくらはぎを撫でられ、食事中だというのに変な気持ちになってしまう。
「四キロって言っても、増えたように見えないよ。俺もつきあうから、一緒にトレーニングして無理なく戻していこう」
「うん、ありがとう」
「カップルトレーニングってやってみたいってずっと思ってたんだ」
「あー……。なんか聞いた事ある」
いきなり佑の目的が不純な方面に向かった。
「腹筋一回するごとにキスできるって、役得だろう?」
「もぉぉ……」
それまでちょっと怒った顔をしてみせていたが、堪らず香澄は笑み崩れた。
食事が終わってお腹がこなれたあと、二人で風呂に入る。
髪と体を洗ってからジェットバスで温まっている時、佑が言った。
「そのうちでいいんだけど、俺の友達に会ってくれないか?」
「友達?」
後ろから彼に抱かれて、胸を揉まれていた香澄は、「ん?」と振り向く。
「前にちょっと話題にした、針山出雲っていう友達がいるんだけど」
香澄の胸の先端をカリカリと引っ掻き、佑が言う。
「うん。『美人堂』の社長さんだっけ。今月奥さんがお子さんを産んだ……」
「そう。で、美鈴さんも落ち着いたみたいだし、『遊びに来ないか』って言われてて。美鈴さんも、たまには新顔と話したいみたいだ」
「赤ちゃん産まれたばっかりなんでしょう? 大丈夫なのかな? 美鈴さん? も、大変じゃないかな……」
SNSを見たりニュースを読むだけでも、子育ては大変だと知っている。
意思の疎通ができてもまだまだ大変なのに、生まれたてなら想像できないぐらい大変なのでは……と、思った。
「いや、家政婦さんとシッターさんがいるから、香澄が思っているほどストレスは溜まっていないと思う。あまりに大変だったら誘ってこないと思うし」
「そっか」
香澄のイメージではいわゆるワンオペが浮かんでいたのだが、考えてみれば佑の周囲の人は〝大変〟を金で解決できる人ばかりだ。
「香澄にも手助けしてくれる人は、沢山いるからな?」
「んっ……、もぉ……。気が早い……」
くに、と乳首を摘ままれ、コリコリと左右に揺さぶられてうわずった声が出る。
「んー……。それで……、出雲さんと美鈴さん? ご招待があるの?」
先ほどから佑の好きなように胸を弄られていて、いつのまにか下腹部に快楽の熾火ができている。
それでも会話は続いているので、一人で発情するのは恥ずかしい。
だからできるだけ平静を保って話を促した。
「いつでも来てくれって言われているけど、……週末の方がいいかな? 来る日にちが分かったら、美鈴さんが松阪牛を仕入れておくって鼻息荒く言ってた」
「まっ、松阪牛? そ、そんないいお肉用意しなくても……」
ブランド牛と言えばの名前が出て、香澄は思わずビビる。
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