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第十四部・東京日常 編

風邪を引いてもしてしまう二人 ☆

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「あ……、きもち……」

 佑は香澄の両脚を抱えたまま呟き、目を閉じて腰を動かし続ける。

「んぅっ、う、う、っ……あぁ、あ……っ、ん、んっ」

 香澄は性器を擦られ、ビクビクと腰を跳ねさせ感じてしまう。
 そして自然と太腿に力を入れ、佑の肉棒を締め付けた。

「やだ……っ、やだ、もぉ……っ」

 真っ赤になった香澄の視線の先には、太腿の隙間をぬって出入りする肉棒がある。
 薄ピンクの被膜に守られたそれは、大きく膨張していて今にも果ててしまいそうだ。

(達く……っ、アソコ、擦られて、……っ達っちゃ……)

 香澄はきゅうっと眉根を寄せ、シーツを掴むとガクガクと体を震わせた。

 彼女が達った事を察した佑は、激しく腰を叩きつけて行為を終わらせる。

(あ……)

「香澄……っ」

 うっすらと目を開いた先、避妊具の先端が真っ白に塗り潰されるのが見えた。
 勢いよく出た精液は避妊具の先端を微かに膨らませ、佑の欲を受け止めていく。

(……あれ、いっつも……お腹の中に出されて……)

 そう思うと、たまらなくいやらしい気持ちになり、香澄は膣奥を震わせた。

 行為が終わり、二人は荒くなった呼吸を落ち着かせていく。

 佑は慣れた手つきで避妊具を処理し、香澄の隣に横たわる。
 二人でハァハァと呼吸を繰り返したあと、香澄が口を開いた。

「結局、ゴムしてもアウトだよね。佑さん舐めちゃったし……」

「あ」

 言われて初めて気づいたのか、佑が素の声を出す。

 風邪がうつらないように気をつけていても、結局イチャイチャすればこうなってしまう。

「私、健康優良児だし、風邪引いても悪化しない自信あるけど」

「ならいいけど」

 佑は香澄に向かってゴロリと寝返りをうち、頭を撫でてくる。

「すぐ夢中になってごめん。風邪を引いたら俺のせいだ」

「いいよ。気持ち良かったもん。お互い様にしよう?」

「香澄が風邪を引いて熱を出したら、俺が看病してあげるからな?」

「いいよ。佑さんはお仕事してて」

 そのように、しばらくうだうだしていたが、やがて佑がムクリと起き上がった。

「……仕事しないと」

「うん、行って。私はもうちょっと休憩してから起きるから」

「ん」

 佑は裸のままベッドから下り、伸びをしてから下着を穿き、スーツ類を手にして寝室を出ていった。

「……はぁ……」

 まだ気だるさが抜けない香澄は、ゴロンと仰向けになり溜め息をつく。

(幸せだな……。喧嘩しても佑さんが相手だと仲直りできる)

 またゴロンと横向きになり、佑の匂いを思いきり吸う。

(……月曜日から、復帰してちゃんと働かないと。何か月も休んで色々変わっているかもだし、松井さんと河野さんに聞かないと)

 事務仕事の手順は変わっていないだろう。

 佑は十二月の上旬に海外出張があると言っていたが、それ以外は国内出張だけで済むように調整済みらしい。

 あと一か月で年末年始だと思うと、クリスマスに麻衣、双子、マティアスを招いての年越しパーティーにワクワクしてくる。

(クリスマスプレゼント、どうしようかな。麻衣のも買っておきたい。あ、お二人がリアルタイムプレゼントを用意するって言っていたの本当かな? だとしたら、こっちからもお礼のプレゼントを考えておかないと)

 そこまで思考を進め、「男の人って何をプレゼントしたら喜ぶんだろう?」という疑問に至る。

(えぇ……? 難しくない? お父さんにはちょっといいネクタイをあげたけど、佑さんたちってネクタイ沢山持ってるし、こだわりが強そうだし……。うん、ファッションアイテムはナシ)

 顔の前でパタパタと手を振り、香澄は裸のままゴロゴロする。
 そこに佑がひょこっと顔をのぞかせた。

「一人会議か?」

 笑いを含めて言われ、香澄は赤面する。

「ちょ、ちょっと……。その。クリスマスプレゼントに欲しい物ある?」

「え?」

 話題が一か月先になり、佑は軽く瞠目する。

 考えるようにその目が右上を向き、少し沈黙したあと彼は笑った。
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