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第十四部・東京日常 編
(墓)穴掘りうさぎ
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「赤松さんと社長は体格差があるし、ちょっとMっぽいから、ロールスロイスとかいいんじゃない?」
「あー! いいかもね! 社長も赤松さんも好きそう!」
「ろーるすろいす……」
(車……だよね……?)
頭の中に「?」を幾つも飛ばし、香澄は固まったまま笑顔をキープさせている。
「私なら、赤松さんにはコスプレしながら後ろを開発されてほしいなぁ」
水木がニヤニヤ笑い、成瀬が拍手する。
先ほど水木は成瀬を「オヤジのような絡み方をする」と言ったが、似たもの同士で自分も大差ない。
荒野にも言える事だが、香澄はもう突っ込む気力を失っている。
「荒野って、後ろ開発中だっけ? その後どう?」
成瀬が荒野にサラリと話題を振り、香澄はブフッと紅茶を噴いた。
「赤松さん大丈夫? 後ろ開発ってそんな驚く? てか、エッチ好きなら一度はやった事あると思ってるけど」
荒野はテーブルの上にあったおしぼりを香澄に渡し、あっけらかんと言う。
「私は痛くて駄目だったなー。彼氏も乗り気じゃなかったし」
「私もー。コスプレの一環でアナルプラグ入れるぐらいが限度かな?」
「み、水木さん尻尾入れたんですか?」
香澄が仲間意識を感じて水木を見ると、三人の目がキラーンと光った。
「えええ? 私、アナルプラグって言っただけで、尻尾なんて言ってないけど? ははーん、社長は尻尾型のお客様ですかぁ」
「えっ? えっ?」
香澄にとってお尻に入れる異物と言えば、うさぎの尻尾がついているアレだ。
どうやら盛大に墓穴を掘ったと気づいた香澄は、バッと横を向いて真っ青になる。
「社長はきっとコスなプレイが好きだろうなぁ。Chief Everyの社長だもんねぇ。その気になったら恋人の衣装も自分で作りそう」
「だよねぇ。っていうか、天下の御劔佑が手ずから作ったコスプレ衣装とか、めっちゃレアでない? 社長のファンなら『私が着ます!』って立候補しそう」
「ていうか社長なら、海外のめっちゃ高い下着のエロい奴とか赤松さんに着せてそう」
身に覚えがありすぎて、胃が痛い。
「こないだ、海外のハーネスブランド教えたでしょ? あれ赤松さんに似合うと思うなぁ……」
「あー! あれね! 赤松さんって色白だし、柔肌にレザーが食い込んでいい写真になりそう。赤松さんにハーネスつけて、社長の前に転がしておいたら美味しく食べるんじゃない?」
もはや話題の中で香澄の人権がない。
「待って? ハーネスつけるなら、ニップルリングとラビアリングもつけたくない?」
「もー! 水木だよー! そういうネタ詳しいよね?」
その時、成瀬が「ちょっと待って!」と言ってバッグからスケッチブックを取りだした。
そして鉛筆をザカザカと動かし、香澄に着せたいスタイルを描いていく。
「ちょ、ちょお……っ!? ま、待ってください!?」
「赤松さん、任せて。私、学生時代、ずっと美術は5だったの。デッサンもトップクラスだったよ!」
成瀬が鉛筆を握ったまま、いい顔をする。
そして真剣な顔で、香澄を見ながら全裸の絵を描いていった。
香澄は服を着ているのに、成瀬は目の前に全裸の彼女がいるように精巧なスケッチを描いていく。
絵心のない香澄は神業に見入り、自分の顔をしたモデルが卑猥な衣装を着せられるのをぼんやり見守る。
「わああ……」
おまけに成瀬は、ラビアリングが付けられている女性器を描き始める。
普通なら十八禁な代物だが、そういう絵を普段見ない香澄は、逆に感心して声を漏らす。
「どうしてこんなに詳細に女性器が描けるんですか? 鏡で見るの、大変じゃないです?」
「私、ヌードスケッチにも行ってたの。そもそも描く事が好きだから、人体の描けない部分なんてない、ってぐらい極めたかったんだけど……。いやぁ、難しくてねー。アオリやフカンで全然違うし、美術解剖学の本を買ってめちゃくちゃ練習したわー」
「はぁ……。凄いですね……」
成瀬の意識の高さに溜め息をついた時、ピンポーンとチャイムが鳴って問答無用でドアが開いた。
「!!」
当たり前のように入ってくるのは、佑しかいない。
びっくぅ! と背筋を伸ばした香澄は、「それ隠してください!」と成瀬に言い、時間を稼ぐためにドアのほうへ向かった。
「お、おかえりなさい」
「ただいま。ん? 来てるのか」
そのやり取りを聞いて、三人が「きゃぁああぁっ!!」と黄色い悲鳴を上げた。
「あー! いいかもね! 社長も赤松さんも好きそう!」
「ろーるすろいす……」
(車……だよね……?)
頭の中に「?」を幾つも飛ばし、香澄は固まったまま笑顔をキープさせている。
「私なら、赤松さんにはコスプレしながら後ろを開発されてほしいなぁ」
水木がニヤニヤ笑い、成瀬が拍手する。
先ほど水木は成瀬を「オヤジのような絡み方をする」と言ったが、似たもの同士で自分も大差ない。
荒野にも言える事だが、香澄はもう突っ込む気力を失っている。
「荒野って、後ろ開発中だっけ? その後どう?」
成瀬が荒野にサラリと話題を振り、香澄はブフッと紅茶を噴いた。
「赤松さん大丈夫? 後ろ開発ってそんな驚く? てか、エッチ好きなら一度はやった事あると思ってるけど」
荒野はテーブルの上にあったおしぼりを香澄に渡し、あっけらかんと言う。
「私は痛くて駄目だったなー。彼氏も乗り気じゃなかったし」
「私もー。コスプレの一環でアナルプラグ入れるぐらいが限度かな?」
「み、水木さん尻尾入れたんですか?」
香澄が仲間意識を感じて水木を見ると、三人の目がキラーンと光った。
「えええ? 私、アナルプラグって言っただけで、尻尾なんて言ってないけど? ははーん、社長は尻尾型のお客様ですかぁ」
「えっ? えっ?」
香澄にとってお尻に入れる異物と言えば、うさぎの尻尾がついているアレだ。
どうやら盛大に墓穴を掘ったと気づいた香澄は、バッと横を向いて真っ青になる。
「社長はきっとコスなプレイが好きだろうなぁ。Chief Everyの社長だもんねぇ。その気になったら恋人の衣装も自分で作りそう」
「だよねぇ。っていうか、天下の御劔佑が手ずから作ったコスプレ衣装とか、めっちゃレアでない? 社長のファンなら『私が着ます!』って立候補しそう」
「ていうか社長なら、海外のめっちゃ高い下着のエロい奴とか赤松さんに着せてそう」
身に覚えがありすぎて、胃が痛い。
「こないだ、海外のハーネスブランド教えたでしょ? あれ赤松さんに似合うと思うなぁ……」
「あー! あれね! 赤松さんって色白だし、柔肌にレザーが食い込んでいい写真になりそう。赤松さんにハーネスつけて、社長の前に転がしておいたら美味しく食べるんじゃない?」
もはや話題の中で香澄の人権がない。
「待って? ハーネスつけるなら、ニップルリングとラビアリングもつけたくない?」
「もー! 水木だよー! そういうネタ詳しいよね?」
その時、成瀬が「ちょっと待って!」と言ってバッグからスケッチブックを取りだした。
そして鉛筆をザカザカと動かし、香澄に着せたいスタイルを描いていく。
「ちょ、ちょお……っ!? ま、待ってください!?」
「赤松さん、任せて。私、学生時代、ずっと美術は5だったの。デッサンもトップクラスだったよ!」
成瀬が鉛筆を握ったまま、いい顔をする。
そして真剣な顔で、香澄を見ながら全裸の絵を描いていった。
香澄は服を着ているのに、成瀬は目の前に全裸の彼女がいるように精巧なスケッチを描いていく。
絵心のない香澄は神業に見入り、自分の顔をしたモデルが卑猥な衣装を着せられるのをぼんやり見守る。
「わああ……」
おまけに成瀬は、ラビアリングが付けられている女性器を描き始める。
普通なら十八禁な代物だが、そういう絵を普段見ない香澄は、逆に感心して声を漏らす。
「どうしてこんなに詳細に女性器が描けるんですか? 鏡で見るの、大変じゃないです?」
「私、ヌードスケッチにも行ってたの。そもそも描く事が好きだから、人体の描けない部分なんてない、ってぐらい極めたかったんだけど……。いやぁ、難しくてねー。アオリやフカンで全然違うし、美術解剖学の本を買ってめちゃくちゃ練習したわー」
「はぁ……。凄いですね……」
成瀬の意識の高さに溜め息をついた時、ピンポーンとチャイムが鳴って問答無用でドアが開いた。
「!!」
当たり前のように入ってくるのは、佑しかいない。
びっくぅ! と背筋を伸ばした香澄は、「それ隠してください!」と成瀬に言い、時間を稼ぐためにドアのほうへ向かった。
「お、おかえりなさい」
「ただいま。ん? 来てるのか」
そのやり取りを聞いて、三人が「きゃぁああぁっ!!」と黄色い悲鳴を上げた。
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