881 / 1,549
第十四部・東京日常 編
さあ話して!
しおりを挟む
「な、成瀬さん酔ってません?」
「んーん、酔ってないよ?」
「成瀬ってすぐ酔うけど、全然潰れなくて、オヤジみたいな絡み方してくるから気を付けてね」
「水木さん、注意が遅いです……」
香澄は「うう……」とうなりながら突っ込みを入れ、さりげなく成瀬から視線を逸らす。
「流石にレストランで猥談は避けるけど、あとで部屋に遊びにいったら、強制的に猥談だからね?」
「んっぷ」
気を紛らわせるために水を飲もうとしたがさらに噎せ、香澄は涙目だ。
「も、目的はケーキですよ?」
「はいはい、高級ケーキもたっぷり堪能させてもらいますよー」
軽くあしらわれ、頭が痛い。
それでも、こうやって同年代の女性と過ごせる時間はとても楽しい。
現在、東京に友達と言える人はほとんどいない。
札幌時代の友人が東京にいるとしても、年賀状を交わす程度なので、「会おうか」とはならない。
なのでこうして、成瀬たちと食事ができるのが純粋に嬉しかった。
やがて国産A5ランクのステーキがきて、全員で歓声を上げる。
成瀬が「リア充みたいに記念写真撮ろう!」と言い、四人で赤ワインのグラスを片手に、ステーキと一緒に写真に写った。
メインを平らげたあと、デザートをペロッと食べ、四人は早々にレストランを後にする。
そしてスイートルームに向かった。
**
「うわぁー! すっごい!」
「何部屋あるの!?」
「夜景すごーい!」
部屋に入った途端、三人が歓声を上げる。
「部屋、探険してもいい?」
「どうぞ! 私、お茶淹れますね」
「あー、気にしなくていいよ!」
「っていうか、社長が払ってくれるなら、ルームサービスって頼んでみたい! 紅茶だけでいいから! お願い!」
荒野に手を合わせられ、香澄は「分かりました」と笑って頷く。
なんでも佑に甘えるのはいけないが、ルームサービスの紅茶代ぐらい、あとで自分で払える。
そう思い、香澄は三人がスイートルームを探険している間に、コンシェルジュに紅茶を頼んでおいた。
「赤松さーん」
「はぁい!」
呼ばれてパタパタと三人を探しにあちこちの部屋をまわると、マスターベッドルームに三人がいるのを見てギョッとした。
「ここでお泊まりしてるの?」
「え……いや……その……」
まさか「そのベッドで昨晩〝致し〟ました」など言えない。
答えに詰まった香澄は、視線をあちこちに泳がせ赤面する。
その反応で察した三人は「キャーッ!」と黄色い悲鳴を上げ、香澄の手を引っ張ってリビングに戻った。
「ねぇ、社長ってやっぱりベッドだとケダモノなの?」
「え!?」
「社長って夜強い? 早い? 遅い?」
「っていうか、社長って鍛えてるし体力がありそうだけど、逆に赤松さんは何回までOKなの?」
「ま……ままま……待って? 待ってください……! そ、そこまで突っ込みます?」
「突っ込むよぉ! だって居酒屋とかバーで猥談できないでしょ? ここならどれだけ騒いでも大丈夫! でも社長が戻ってくる間まで! さあ話して!」
水木が鼻息荒く迫り、ギュッと両手を握ってくる。
残る二人もソファに座り、香澄が口を開くのを今か今かと待ち詫びていた。
「え……えっと……」
果たしてどこまで言っていいものか、香澄は悩みに悩む。
単なるノロケなら、麻衣を相手にした時のように自由に言いたい。
けれど佑は三人の雇用主で、へたにプライベートを明かすのは良くないのでは……と怖くなる。
それを察して、荒野がもう一声かけてくる。
「大丈夫。絶対誰にも言わないから。彼氏にも家族にも言わない。この四人だけの秘密」
残る二人も、うんうんと頷く。
「んーん、酔ってないよ?」
「成瀬ってすぐ酔うけど、全然潰れなくて、オヤジみたいな絡み方してくるから気を付けてね」
「水木さん、注意が遅いです……」
香澄は「うう……」とうなりながら突っ込みを入れ、さりげなく成瀬から視線を逸らす。
「流石にレストランで猥談は避けるけど、あとで部屋に遊びにいったら、強制的に猥談だからね?」
「んっぷ」
気を紛らわせるために水を飲もうとしたがさらに噎せ、香澄は涙目だ。
「も、目的はケーキですよ?」
「はいはい、高級ケーキもたっぷり堪能させてもらいますよー」
軽くあしらわれ、頭が痛い。
それでも、こうやって同年代の女性と過ごせる時間はとても楽しい。
現在、東京に友達と言える人はほとんどいない。
札幌時代の友人が東京にいるとしても、年賀状を交わす程度なので、「会おうか」とはならない。
なのでこうして、成瀬たちと食事ができるのが純粋に嬉しかった。
やがて国産A5ランクのステーキがきて、全員で歓声を上げる。
成瀬が「リア充みたいに記念写真撮ろう!」と言い、四人で赤ワインのグラスを片手に、ステーキと一緒に写真に写った。
メインを平らげたあと、デザートをペロッと食べ、四人は早々にレストランを後にする。
そしてスイートルームに向かった。
**
「うわぁー! すっごい!」
「何部屋あるの!?」
「夜景すごーい!」
部屋に入った途端、三人が歓声を上げる。
「部屋、探険してもいい?」
「どうぞ! 私、お茶淹れますね」
「あー、気にしなくていいよ!」
「っていうか、社長が払ってくれるなら、ルームサービスって頼んでみたい! 紅茶だけでいいから! お願い!」
荒野に手を合わせられ、香澄は「分かりました」と笑って頷く。
なんでも佑に甘えるのはいけないが、ルームサービスの紅茶代ぐらい、あとで自分で払える。
そう思い、香澄は三人がスイートルームを探険している間に、コンシェルジュに紅茶を頼んでおいた。
「赤松さーん」
「はぁい!」
呼ばれてパタパタと三人を探しにあちこちの部屋をまわると、マスターベッドルームに三人がいるのを見てギョッとした。
「ここでお泊まりしてるの?」
「え……いや……その……」
まさか「そのベッドで昨晩〝致し〟ました」など言えない。
答えに詰まった香澄は、視線をあちこちに泳がせ赤面する。
その反応で察した三人は「キャーッ!」と黄色い悲鳴を上げ、香澄の手を引っ張ってリビングに戻った。
「ねぇ、社長ってやっぱりベッドだとケダモノなの?」
「え!?」
「社長って夜強い? 早い? 遅い?」
「っていうか、社長って鍛えてるし体力がありそうだけど、逆に赤松さんは何回までOKなの?」
「ま……ままま……待って? 待ってください……! そ、そこまで突っ込みます?」
「突っ込むよぉ! だって居酒屋とかバーで猥談できないでしょ? ここならどれだけ騒いでも大丈夫! でも社長が戻ってくる間まで! さあ話して!」
水木が鼻息荒く迫り、ギュッと両手を握ってくる。
残る二人もソファに座り、香澄が口を開くのを今か今かと待ち詫びていた。
「え……えっと……」
果たしてどこまで言っていいものか、香澄は悩みに悩む。
単なるノロケなら、麻衣を相手にした時のように自由に言いたい。
けれど佑は三人の雇用主で、へたにプライベートを明かすのは良くないのでは……と怖くなる。
それを察して、荒野がもう一声かけてくる。
「大丈夫。絶対誰にも言わないから。彼氏にも家族にも言わない。この四人だけの秘密」
残る二人も、うんうんと頷く。
33
お気に入りに追加
2,546
あなたにおすすめの小説
『逃れられない淫らな三角関係』番外編 ヘルプラインを活用せよ!
臣桜
恋愛
『逃れられない淫らな三角関係』の番外編です。
やりとりのある特定の読者さまに向けた番外編(小冊子)です。
他にも色々あるのですが、差し障りのなさそうなものなので公開します。
(他の番外編は、リアルブランド名とかを出してしまっている配慮していないものなので、ここに載せるかは検討中)
地味女で喪女でもよく濡れる。~俺様海運王に開発されました~
あこや(亜胡夜カイ)
恋愛
新米学芸員の工藤貴奈(くどうあてな)は、自他ともに認める地味女で喪女だが、素敵な思い出がある。卒業旅行で訪れたギリシャで出会った美麗な男とのワンナイトラブだ。文字通り「ワンナイト」のつもりだったのに、なぜか貴奈に執着した男は日本へやってきた。貴奈が所属する博物館を含むグループ企業を丸ごと買収、CEOとして乗り込んできたのだ。「お前は俺が開発する」と宣言して、貴奈を学芸員兼秘書として側に置くという。彼氏いない歴=年齢、好きな相手は壁画の住人、「だったはず」の貴奈は、昼も夜も彼の執着に翻弄され、やがて体が応えるように……
【R18】深層のご令嬢は、婚約破棄して愛しのお兄様に花弁を散らされる
奏音 美都
恋愛
バトワール財閥の令嬢であるクリスティーナは血の繋がらない兄、ウィンストンを密かに慕っていた。だが、貴族院議員であり、ノルウェールズ侯爵家の三男であるコンラッドとの婚姻話が持ち上がり、バトワール財閥、ひいては会社の経営に携わる兄のために、お見合いを受ける覚悟をする。
だが、今目の前では兄のウィンストンに迫られていた。
「ノルウェールズ侯爵の御曹司とのお見合いが決まったって聞いたんだが、本当なのか?」」
どう尋ねる兄の真意は……
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
義兄に甘えまくっていたらいつの間にか執着されまくっていた話
よしゆき
恋愛
乙女ゲームのヒロインに意地悪をする攻略対象者のユリウスの義妹、マリナに転生した。大好きな推しであるユリウスと自分が結ばれることはない。ならば義妹として目一杯甘えまくって楽しもうと考えたのだが、気づけばユリウスにめちゃくちゃ執着されていた話。
「義兄に嫌われようとした行動が裏目に出て逆に執着されることになった話」のifストーリーですが繋がりはなにもありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる