【R-18】【重愛注意】拾われバニーガールはヤンデレ社長の最愛の秘書になりました

臣桜

文字の大きさ
上 下
862 / 1,559
第十四部・東京日常 編

〝御劔家女子会〟

しおりを挟む
『ともかく、マジレスするとタスクさえ泊まらせてくれるなら、僕らはオールオッケーだよ! 一応、ホテルも取るけどね』

『ドイツから色々お土産持ってくよ! あとカスミの誕生日プレゼントに国際郵便を送ったけど、リアルタイムでカスミの喜ぶ顔を見たいから、年末にもセカンドプレゼント持ってくね!』

「セカンドプレゼント……。初耳です」

 思わず突っ込み、次の一文に「ん?」となる。

『マティアスも連れてっていい? まだ抵抗ある? これだけ確認したい』

「うーん……」

 ごろん、とソファの上に横になり、香澄はマティアスについて考えてみる。

「許したのは私だよね。マティアスさんだって土下座するぐらい反省してたし。……それにあの時と今は、色々状況が違う。余裕がなかったあの頃と比べて、今の私は充電期間を経て、佑さんとまた過ごせて幸せで余裕がある」

 呟きながら、香澄はコネクターナウのマティアスとのトークルームを開く。

 最後に会話をしたのは、彼らが謝罪のために来日してドイツに帰っていく日、『お気をつけて』『ありがとう。カスミも元気で』というやり取りをして以来だ。

「今……マティアスさんに会って、『怖い』って思うかな?」

 それは、会ってみないと分からない。

「第一、マティアスさんは基本的には〝いい人〟だよね。あの事だって、エミリアさんに言われて仕方なく……だし。マティアスさんは何とかアイデアをひねって、未遂で終わらせてくれた」

 ここに麻衣がいれば、「犯されそうになったのに、どうしてそうなるの!」と怒るだろう。分かっている。

 それでも香澄は、必要以上に人を憎みたくないと思っている。単純に疲れるからだ。

 麻衣に「お花畑脳」と言われようが、ヘラヘラ笑って色んな人と仲良くしていたい。

 平和に過ごすのが一番パワーを使わない方法で、誰かを激しく恨んだり憎んだりするのは、ストレスが溜まって精神衛生上よろしくない。

 佑一人を愛するだけでも、心のパワーを使って一杯一杯なのに、これ以上誰かに心を割きたくない。

 香澄は自分を、割と大雑把で面倒臭がりだと思っている。

 くよくよ気にするタチな癖に、ある程度悩みが解決したら「面倒だからもういいや」となってしまう。
 悩むだけ悩んで、悩むのに飽きたら、ポーンと手放すタイプだ。

「意外と会ってみたら、全然大丈夫かもしれないし……」

 ポジティブに考えると、いけるような気がしてきた。

「いつまでも引きずって、変な距離感のままなのも、やだな。マティアスさんとしても、一度話す機会を設けたほうが安心するんじゃないかな。実際会わないのに、あれこれ考えても仕方ないし。きっと、こんなに悩んでいても、会えばすぐ解決するかもしれない」

 そこまで言って、ムクリと起き上がる。

「あー……。でも佑さんが渋りそうかな。あの人過保護だもんなぁ。……でも、言いたい事は言うって決めた。言いなりの関係じゃなくて、きちんと意見を言える婚約者にならなきゃ」

 うんうん、と一人で頷いたあと、香澄はカップに残っていたカフェオレを飲み干して、洗面所に向かった。



**




 一旦外出する事にし、久住に連絡する。

 彼からは『ホテルに着きましたらご連絡しますので、待機願えますか?』とメッセージがあった。

 外出の用意をしたあと、香澄はラウンジカフェでぼんやり過ごしていた。

 例に漏れずカフェオレを飲んでいると、ピコンとスマホに通知が入った。

 アプリを見てみると、〝御劔家女子会〟というトークルームに澪から連絡が入っていた。

 ちなみに澪のアイコンは、お洒落な彼女らしく香水の写真だ。

『ヨーロッパから帰ったって聞いたんだけど、もう大丈夫? っていうか、誕生日だったんだってね? 佑ったら教えてくれるの遅くない!? 幾ら自分が当日に独り占めしたいからって、酷いんだけど』

 憤慨する彼女が目に浮かぶようで、香澄は思わず笑顔になる。

 すると、陽菜からもメッセージが入った。
 彼女のアイコンは、ショートケーキだ。

『香澄さん、お誕生日おめでとうございます。私、今まで澪さんと連絡をしていたんです。午後になったらお茶する予定で、丁度二人とも今日は休みなんです』

 澪と陽菜は性格が正反対だが、仲良くやっているようだ。

 陽菜からのメッセージはまだ続く。

『ご多忙かと思いますが、もし良かったら一時間だけでもお茶しませんか?』

(嬉しい!)

 御劔家の人たちとうまくやっていけたらいいな、と思いつつ、どんな距離感で接したらいいのか、いまだ試行錯誤中だ。

 だからこうやって誘ってもらえると、シンプルに嬉しい。
しおりを挟む
感想 560

あなたにおすすめの小説

ヤンデレエリートの執愛婚で懐妊させられます

沖田弥子
恋愛
職場の後輩に恋人を略奪された澪。終業後に堪えきれず泣いていたところを、営業部のエリート社員、天王寺明夜に見つかってしまう。彼に優しく慰められながら居酒屋で事の顛末を話していたが、なぜか明夜と一夜を過ごすことに――!? 明夜は傷心した自分を慰めてくれただけだ、と考える澪だったが、翌朝「責任をとってほしい」と明夜に迫られ、婚姻届にサインしてしまった。突如始まった新婚生活。明夜は澪の心と身体を幸せで満たしてくれていたが、徐々に明夜のヤンデレな一面が見えてきて――執着強めな旦那様との極上溺愛ラブストーリー!

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。 けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。 そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。 2人の出会いを描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630 2人の誓約の儀を描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

一夜の過ちで懐妊したら、溺愛が始まりました。

青花美来
恋愛
あの日、バーで出会ったのは勤務先の会社の副社長だった。 その肩書きに恐れをなして逃げた朝。 もう関わらない。そう決めたのに。 それから一ヶ月後。 「鮎原さん、ですよね?」 「……鮎原さん。お腹の赤ちゃん、産んでくれませんか」 「僕と、結婚してくれませんか」 あの一夜から、溺愛が始まりました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ダブル シークレットベビー ~御曹司の献身~

菱沼あゆ
恋愛
念願のランプのショップを開いた鞠宮あかり。 だが、開店早々、植え込みに猫とおばあさんを避けた車が突っ込んでくる。 車に乗っていたイケメン、木南青葉はインテリアや雑貨などを輸入している会社の社長で、あかりの店に出入りするようになるが。 あかりには実は、年の離れた弟ということになっている息子がいて――。

ウブな政略妻は、ケダモノ御曹司の執愛に堕とされる

Adria
恋愛
旧題:紳士だと思っていた初恋の人は私への恋心を拗らせた執着系ドSなケダモノでした ある日、父から持ちかけられた政略結婚の相手は、学生時代からずっと好きだった初恋の人だった。 でも彼は来る縁談の全てを断っている。初恋を実らせたい私は副社長である彼の秘書として働くことを決めた。けれど、何の進展もない日々が過ぎていく。だが、ある日会社に忘れ物をして、それを取りに会社に戻ったことから私たちの関係は急速に変わっていった。 彼を知れば知るほどに、彼が私への恋心を拗らせていることを知って戸惑う反面嬉しさもあり、私への執着を隠さない彼のペースに翻弄されていく……。

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。 そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。 だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。 そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

処理中です...