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第十四部・東京日常 編

佑さんのそういうところ好き! ☆

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「香澄の肌はやっぱり手入れが行き届いていて、触って気持ちいいな。柔らかくてすべすべで、こうしたくなる」

 最後の言葉と一緒に、佑はムギュッと香澄の尻たぶを揉んできた。

「ん……っ」

 香澄は思わず佑の手を押さえ、力なく彼を睨む。

「あの、プレゼントありがとう。沢山、高額なのもあって、絵とか車とかホテルの部屋とか……、びっくりしたけど嬉しい」

「ん、喜んでくれたなら嬉しい。ちなみに、香澄の誕生日を祝うのが派手なのは、付き合った記念日でもあるから、ある程度諦めてほしい」

「ひどい」

 思わず言ったあと、佑と顔を見合わせて笑う。
 一頻り笑ったあと、香澄は両手で佑の頬を包んでちゅっとキスをした。

「本当にありがとう。佑さんには何回お礼を言っても足りない。沢山愛してもらって、色んな物をくれる。それなのに私は……何も返せてないな」

 香澄は指で佑の髪を弄り、整髪剤で癖のついた流れや、もみあげなどを丁寧に撫でる。

「俺は香澄が生きて幸せそうに笑ってくれるなら、それ以上に嬉しい事はない」

 優しく抱き締められた香澄は、彼の匂いをそっと嗅ぐ。

 二人して服越しに体温を分け合い、互いの香りを堪能する。

 そのままジッとしていたが、佑は明日も仕事なのを思いだした。

「あ……あの。お風呂、はいろっか」

 提案すると、佑は香澄の思考を読んだらしい。

「ゆっくりできなくてごめんな」

「ううん。普通のカップルなら週末にするかもだけど、佑さんは当日にお祝いしてくれた。本当に嬉しいよ」

 香澄はバスルームに移動するために佑の膝の上から下りたが、彼はなぜか固まっている。

「……佑さん?」

「……いや。週末……、そっか……。……あぁ……」

 彼はソファに座ったまま、両手で頭を抱え項垂れている。

「……もしかして、当日にお祝いする事ばっかり考えてて、週末に延ばせばいいかとか思わなかった?」

 ソロリと尋ねると、佑は項垂れたままコックリと一つ頷いた。

「ふ……、あはははははっ」

 香澄は爆笑し、その場で足踏みしてヒイヒイと笑い続ける。

「好き! 佑さんのそういうところ好き!」

 パンパンと胸の前で手を打ち鳴らす香澄を、佑は指の隙間からじっとりと見て、顔を上げた。

「……言い訳をすると、当日がやっぱり大事だから……」

「うんうん、分かってる。好きだよ」

 なおもクスクス笑う香澄を見て、佑は諦めたように笑ってから立ち上がった。

「あんまり笑ってくれるなよ。俺だって必死なんだから」

「んふふ、分かってるよ。ごめんごめん」

 まだ笑いが収まらない香澄を、佑がギュッと抱き締めてきた。

「悪い口だな」
んっ」

 ちゅっ、と咎めるようにキスをされ、至近距離で甘く見つめ合う。

 それでもまだクスクス笑ってしまう香澄を見て、佑も笑いながらちゅっちゅっとお仕置きのキスをしてくる。

 最終的にはヒョイッと横抱きをされて、バスルームまで連れて行かれてしまった。



**




「ん……、ふ」

 香澄はジェットバスの中で佑に抱き締められ、何回もキスをされ、見つめ合ってはまたキスをする。

 二人は先ほどから同じ事をずっと繰り返していた。

 バスルームに入る前にメイク落としと歯磨きは澄ませた。

 二人して髪と体を洗いっこしたあとは、ジェットバスに入って、なかなか終わらないキスに突入してしまった。

「香澄、こっち向いて。正面からキスしたい」

「う……、や、やだ」

 佑に甘い声でねだられたが、香澄は思わず拒否する。

「何で?」

 この流れでノーがくると思っていなかった佑は、困惑した顔で見てくる。

「だ……だって……」
「だって?」

 言いよどんでから沈黙が落ち、ジェットバスの気泡の音のみが響く。

「……わ、私太ったの。お腹が……ムチムチしてて……」

「どれ」

 言った途端、佑が予告もなく香澄のお腹をまさぐってきた。
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