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第十三部・イタリア 編
トレーニング開始
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「気にしているのかもしれないけど、年齢なんてただの数字だ。俺は経験を重ねただけ魅力的になると思っている。若さゆえに勢いで黒歴史を作る事もあるし、後先考えず人に迷惑をかける事もある。まだまだ未熟な頃だよ」
和也と真奈美を思いだしたのか、香澄は小さく頷く。
「俺は香澄が好きだ。目の前にいる香澄も、三十歳になった香澄も、四十、五十になっても、お婆ちゃんになっても一生愛している。……それじゃ駄目か?」
香澄はもそ……と顔を上げ、不安そうな目で佑を見上げてくる。
「私も佑さんの隣にずっといたい。佑さんと一緒に歳を取って、理想の夫婦って言われて、理想の老後を過ごすの」
「ふふ、老後の事を考えるのはまだ早いかな」
手で香澄の頬をすりすりと撫でると、大福のようにもっちりと柔らかく滑らかだ。
「毎年、香澄の誕生日を祝わせてくれ。俺の大切な人がこの世に生を受けた、記念すべき日なんだから」
心からの気持ちを告げると、香澄の表情が和らいだ。
「……ありがとう。そんな風に言ってくれるの、きっと佑さんだけだよ」
膝立ちになって腰を跨いできた香澄は、ぎゅう、と佑を抱き締めてきた。
佑も彼女を優しく抱き返し、頬にキスをする。
「何も心配する事はない。俺はずっと側にいて香澄だけを見ているから」
「うん……」
香澄はやっと安心したのか、嬉しそうに微笑んだ。
**
翌日は割とまともな時間に起きる事ができた。
午後にはパーソナルトレーナーのショウコが御劔邸に来てくれた。
「あらー! 香澄ちゃん久しぶり!」
長身でバストもヒップもバン! と立派な彼女は、いつでもトレーニングできるようにスポーツブラとロングスパッツの上に服を着て外出している。
ポニーテールにしてキャップから髪を出している姿は、アクティブで格好いい。
玄関から入って来たショウコはすぐにジムに向かい、持って来た運動靴に履き替える。
香澄もすでに運動用の格好をしていた。
「ショウコさん、これお土産です。もしかしていま減量時期でした?」
お土産と言っても狙って外したら目も当てられないので、あまり外れのなさそうな物を選んだ。
フランスやイタリアにも行ったので、ワインやチーズ、生ハムやサラミなども買った。
菓子類は不要と思ったので、あとはいつも彼女がつけていそうな色のリップを一本つけた。
「いや、ありがとう! ワインとチーズ大好き! 減量時期になったら自分でコントロールするから、そういうのは気にしないで。リップもありがとう!」
お土産の中身を確認したショウコは、香澄の背中をポンポンと叩いて豪快に笑う。
「さて! じゃあまた始めようか。どこか集中して引き締めたい所はある?」
「……た、体重が三キロ増えました! お腹も心なしかポヨポヨしているように思えて」
泣きそうになってショウコに訴えると、彼女はドン! と拳で自分の胸を叩いてみせた。
「任せて! また一緒に頑張っていこ!」
「はい!」
そして有酸素運動をして体を温めるところから始まり、マシーンを使ってのトレーニング、ショウコが考えたメニューなど、彼女の励ましを受けてこなしていく。
実に一か月半ぶり以上に本格的なトレーニングをし、緩んだ体はすぐ悲鳴を上げる。
それでも「佑さんの隣にいても恥ずかしくないように」という気持ちを胸に、香澄は滝のように汗を流しトレーニングに励んだ。
食事については特に何も言われなかったので、斎藤が作ってくれるバランスのいい食事を、白米少なめにして食べる。
鶏胸肉とブロッコリーのみ、という食生活にはせず、あくまで「無理をしない範囲で」だ。
ショウコには「食事は楽しみたい」と伝えているので、それを含めてメニューを組んでもらっている。
幸いにも自宅にジムがあり、一通りの器具が揃っているので、ショウコがいない時でもトレーニングは可能だ。
それでも「頑張りすぎないようにね」と言われているので、ほどほどにしたいと思っていた。
そのようにして十九日が過ぎ、とうとう十一月二十日、香澄の二十八歳の誕生日になった。
和也と真奈美を思いだしたのか、香澄は小さく頷く。
「俺は香澄が好きだ。目の前にいる香澄も、三十歳になった香澄も、四十、五十になっても、お婆ちゃんになっても一生愛している。……それじゃ駄目か?」
香澄はもそ……と顔を上げ、不安そうな目で佑を見上げてくる。
「私も佑さんの隣にずっといたい。佑さんと一緒に歳を取って、理想の夫婦って言われて、理想の老後を過ごすの」
「ふふ、老後の事を考えるのはまだ早いかな」
手で香澄の頬をすりすりと撫でると、大福のようにもっちりと柔らかく滑らかだ。
「毎年、香澄の誕生日を祝わせてくれ。俺の大切な人がこの世に生を受けた、記念すべき日なんだから」
心からの気持ちを告げると、香澄の表情が和らいだ。
「……ありがとう。そんな風に言ってくれるの、きっと佑さんだけだよ」
膝立ちになって腰を跨いできた香澄は、ぎゅう、と佑を抱き締めてきた。
佑も彼女を優しく抱き返し、頬にキスをする。
「何も心配する事はない。俺はずっと側にいて香澄だけを見ているから」
「うん……」
香澄はやっと安心したのか、嬉しそうに微笑んだ。
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翌日は割とまともな時間に起きる事ができた。
午後にはパーソナルトレーナーのショウコが御劔邸に来てくれた。
「あらー! 香澄ちゃん久しぶり!」
長身でバストもヒップもバン! と立派な彼女は、いつでもトレーニングできるようにスポーツブラとロングスパッツの上に服を着て外出している。
ポニーテールにしてキャップから髪を出している姿は、アクティブで格好いい。
玄関から入って来たショウコはすぐにジムに向かい、持って来た運動靴に履き替える。
香澄もすでに運動用の格好をしていた。
「ショウコさん、これお土産です。もしかしていま減量時期でした?」
お土産と言っても狙って外したら目も当てられないので、あまり外れのなさそうな物を選んだ。
フランスやイタリアにも行ったので、ワインやチーズ、生ハムやサラミなども買った。
菓子類は不要と思ったので、あとはいつも彼女がつけていそうな色のリップを一本つけた。
「いや、ありがとう! ワインとチーズ大好き! 減量時期になったら自分でコントロールするから、そういうのは気にしないで。リップもありがとう!」
お土産の中身を確認したショウコは、香澄の背中をポンポンと叩いて豪快に笑う。
「さて! じゃあまた始めようか。どこか集中して引き締めたい所はある?」
「……た、体重が三キロ増えました! お腹も心なしかポヨポヨしているように思えて」
泣きそうになってショウコに訴えると、彼女はドン! と拳で自分の胸を叩いてみせた。
「任せて! また一緒に頑張っていこ!」
「はい!」
そして有酸素運動をして体を温めるところから始まり、マシーンを使ってのトレーニング、ショウコが考えたメニューなど、彼女の励ましを受けてこなしていく。
実に一か月半ぶり以上に本格的なトレーニングをし、緩んだ体はすぐ悲鳴を上げる。
それでも「佑さんの隣にいても恥ずかしくないように」という気持ちを胸に、香澄は滝のように汗を流しトレーニングに励んだ。
食事については特に何も言われなかったので、斎藤が作ってくれるバランスのいい食事を、白米少なめにして食べる。
鶏胸肉とブロッコリーのみ、という食生活にはせず、あくまで「無理をしない範囲で」だ。
ショウコには「食事は楽しみたい」と伝えているので、それを含めてメニューを組んでもらっている。
幸いにも自宅にジムがあり、一通りの器具が揃っているので、ショウコがいない時でもトレーニングは可能だ。
それでも「頑張りすぎないようにね」と言われているので、ほどほどにしたいと思っていた。
そのようにして十九日が過ぎ、とうとう十一月二十日、香澄の二十八歳の誕生日になった。
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