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第十三部・イタリア 編

温め合う季節 ☆

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「んぅ……、んン……」

 香澄は大体入ったかな、という所で腰を止め、伺うように佑を見つめる。

「もう終わりか?」

「ぜ、全部入った……と、思う……?」

 自信なく言うと、佑は背中をソファに預け、香澄の腰に両手を宛がった。

「ちょ……っ」

 何をされるか一瞬で察した香澄は、抗議の言葉を口にしようとしたが――、

「んぅっ! あっ!」

 腰を押さえつけられ、ずんっと下から突き上げられて軽く達してしまった。

「~~~~っ」

 ジィンッと全身を甘い痺れが駆け抜け、指先やつま先までピリピリとした淫悦に満たされる。
 口を開きとろけた顔で虚ろに中空を見る香澄を見て、佑は「可愛い」と言ってまたキスをしてきた。

「ちょっと……。休憩、させて……」

 くたりと佑に抱きついて肩口に顔を埋めると、彼がよしよしと背中を撫でてくれた。

「そんなにつらいか? 慣れない?」

 心配してくれるが、この感覚はきっと男性の佑には分からないと思う。

「つらい……とはちょっと違うの。大きさ的に、入れてすぐ動かれるのがつらいって言えばつらいけど……。たっぷり愛撫されての挿入だから……その。……もうちょっと余裕を持ちたい」

「ふぅん……」

 佑は香澄のふわふわすべすべとしたお尻を撫で、頷く。

「余裕のない時なら『感じてるならどんどん攻めてやろう』ってなるけど、今は別に焦る事もないし、香澄のペースでいいよ」

「うん、ありがとう」

 香澄は佑にくっついたまま、彼の体温を感じ、スンスンと香りを嗅ぐ。

「……佑さん、あったかい」

 彼の肩や腕、胸板を撫でて呟く。

「あと一か月でクリスマスだしな。恋人同士が温め合うイベントが満載だ」

「んふふ、温め合うの前提なの?」

「美味しい物を食べたあとは、そうなってしかるべきだろう」

「ふふふ……。変な理屈」

 指先でクリクリと佑の乳首を弄ると、「こら」と尻たぶをギュッと握られた。

「三日後の誕生日も楽しみにしていてくれ」

「んー、おうちデートでいいんだけどね」

「疲れてるか?」

「ううん。ぐっすり寝たら大分体力回復したし。あとは時差ボケの問題かな?」

 のんびり会話をしながら、香澄は腰を揺らしだす。

 体内に佑を含めているのが嬉しく、腰を少しずらすだけで中に佑がいるのを確認できる。

 佑は目を細め、気持ちよさそうな顔をして香澄の体を撫で続けてきた。

 激しく求め合うのもいいけれど、こうして会話をしながらじっくり互いの体を愛撫していくのもいい。

「ん……」

 香澄は顔を傾け、佑の耳の下に吸い付いた。
 はむ、と首筋に唇をつけ、ちゅっと音を立ててキスをする。

「ん? キスマークつけてくれるのか?」

「え!? い、いやいや……。お仕事あるのに見える所は駄目でしょ」

 ハッと我に返っていま口づけた場所を見るが、それほど強く吸っていないのでセーフだ。

「じゃあ、俺はつけても構わないな?」

 佑はニィ、と悪い笑みを浮かべ、香澄が何か言う前に、肩に強く吸い付いてきた。

「ん……っ」

 キリッと前歯を立てるほど強く吸われ、香澄は眉を寄せる。

「は……。香澄の肌、白いからキスマークのつけがいがある」

 顔を離した佑はキスマークをつけた場所をもう一度舐め、今度は鎖骨の下にキスをしてきた。

「んぅ……っ、ぁ。と、ショウコさんに見られちゃう……っ」

 トレーニングをする時は、スポーツブラやタンクトップ姿で体を動かしている。
 当然、首元や鎖骨、二の腕などは露出している。

 佑と香澄が恋人同士と知っている彼女が相手とはいえ、キスマークを見られるのは恥ずかしい。

「知らないふりをしてくれるさ」

 佑は香澄の背中を支え、乳房にもキスマークをつけてくる。

「ん……っ」

「定期的にキスマークをつけて、いつも〝俺の物〟という証がついている体にしようか」

「だ……っ、駄目です。そんな卑猥な体」

「ふふ、香澄の体はいつだって卑猥だよ。俺を興奮させる、実に優秀で卑猥な体だ」

 話をしている間にも、香澄はチリ、チリ、と小さな痛みを与えられ、赤いうっ血痕をつけられていく。
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