799 / 1,549
第十三部・イタリア 編
のろけ
しおりを挟む
「いやぁ……。何て言うか、雰囲気? そのゆるっとしたシルエットが、女性らしくて好きなんだ」
「またマニアックだなぁ……」
佑は服にこだわりがある分、萌える所も人より少し細かい。
シャツの第一ボタンを外していると、襟元のラインとそこから覗く鎖骨が好きだと言ったり、パンプスにバックリボンがついていると、そこからアキレス腱のラインに興奮すると言う。
普通のスカートを穿いていても、「香澄のスカートのファスナーになりたい」というキテレツな言葉を頂いた。
といっても、「ブラジャーのレースになりたい」という言葉は一度も聞いていないので、彼のこだわりのラインがよく分からない。
つくづく天才肌の人や、何かを専門にして職業にしている人は、変態度が高いと思う。
(私が興奮するのは佑さんの手や喉仏とか、胸板とか腹筋とか……。ってそれも、男性から見たら変態的なのかな?)
んく、とコーヒーを飲み、香澄は膝から下をブラブラと動かす。
(でも言われっぱなしは悔しいから、私も変態してみようかな)
そう思い、じぃ、と佑を見て好きな部分を探す。
ハッキリ言って全部好きだ。控えめに言って最高だ。
それでも……と思い、定山渓で麻衣にのろけた事を思いだし、じんわりと頬を染めて口を開いた。
「私、Tシャツ着てる佑さんの肩甲骨好きだよ。盛り上がった所から、布地がストンってまっすぐ落ちてるのが好きなの」
「背中は自分でも見たことがないな」
意外な事を言われ、佑は少し驚きつつも「好き」と言われてにやけている。
「あとは?」
「んーと、胸板からお腹にかけて服がストンッてなってるのが好き」
「他にも俺の好きなところ言って」
佑が欲しがり、香澄は「うーん」とうなる。
「全部」と言いたいが、それでは満足しないだろう。
「筋肉があるのにバランスが取れてるから、全体的にシュッとして見えるんだけど、私と比べると太い首とか、がっちりした肩も。もちろん腹筋も好きだし、〝すけべライン〟って呼ばれてる、腰骨から鼠径部へのラインも非常にエロティックでございます」
後半は部位的に少し恥ずかしいので、やや冗談めかしてごまかす。
「へぇ、結構マニアックだな」
マニアックと言われ、恥ずかしくなってくる。
「も、もー……。佑さんが欲しがったから言ったのに」
唇を突き出してぶーたれると、佑が「ごめん、ごめん」と笑った。
「香澄、おいで」
両腕を広げられると、そこに行かない選択肢はない。
テーブルのマグカップを移動させ、香澄は佑の膝の間に座る。
ぎゅう、と抱き締められて思わず笑うと、佑も幸せそうに笑ってくれた。
「今日……どうしようか」
佑が呟き、香澄は顔を上げて彼を見る。
「昨日も言ったけど、別に無理をして観光しなくていいからね。佑さんにゆっくりしてほしいし、私もちょっと癒やし時間がほしいかも」
「ん。……あー、そうだ。せっかくだから温泉行こうか。温泉ならゆっくりできるだろ?」
「温泉!?」
思ってもみない言葉に、香澄は声を跳ね上がらせる。
「映画で見なかったか? 古代ローマの男がタイムスリップして日本の風呂に来るやつ」
「あー!」
有名な漫画原作の映画を思い出し、香澄はうんうんと頷く。
「そう言えば、世界史でも習ったっけ。カラカラ浴場とか。懐かしい!」
「ポンペイも知ってるだろう?」
「あぁ、うん。火山でなくなった街だよね。映画も見た」
「温泉文化って日本のものと思いがちだけど、割と世界中にあるんだ」
「なるほど」
「ローマの近くだと、『テルメ・デイ・パーピ』が有名かな。河野に連絡を入れておこう」
そう言って佑はスマホを弄り、河野にメッセージを送る。
「テルメ……かぁ」
「映画は〝テルマエ〟と言っていたな」と思いつつ、香澄はスマホで『テルメ・デイ・パーピ』を検索する。
「またマニアックだなぁ……」
佑は服にこだわりがある分、萌える所も人より少し細かい。
シャツの第一ボタンを外していると、襟元のラインとそこから覗く鎖骨が好きだと言ったり、パンプスにバックリボンがついていると、そこからアキレス腱のラインに興奮すると言う。
普通のスカートを穿いていても、「香澄のスカートのファスナーになりたい」というキテレツな言葉を頂いた。
といっても、「ブラジャーのレースになりたい」という言葉は一度も聞いていないので、彼のこだわりのラインがよく分からない。
つくづく天才肌の人や、何かを専門にして職業にしている人は、変態度が高いと思う。
(私が興奮するのは佑さんの手や喉仏とか、胸板とか腹筋とか……。ってそれも、男性から見たら変態的なのかな?)
んく、とコーヒーを飲み、香澄は膝から下をブラブラと動かす。
(でも言われっぱなしは悔しいから、私も変態してみようかな)
そう思い、じぃ、と佑を見て好きな部分を探す。
ハッキリ言って全部好きだ。控えめに言って最高だ。
それでも……と思い、定山渓で麻衣にのろけた事を思いだし、じんわりと頬を染めて口を開いた。
「私、Tシャツ着てる佑さんの肩甲骨好きだよ。盛り上がった所から、布地がストンってまっすぐ落ちてるのが好きなの」
「背中は自分でも見たことがないな」
意外な事を言われ、佑は少し驚きつつも「好き」と言われてにやけている。
「あとは?」
「んーと、胸板からお腹にかけて服がストンッてなってるのが好き」
「他にも俺の好きなところ言って」
佑が欲しがり、香澄は「うーん」とうなる。
「全部」と言いたいが、それでは満足しないだろう。
「筋肉があるのにバランスが取れてるから、全体的にシュッとして見えるんだけど、私と比べると太い首とか、がっちりした肩も。もちろん腹筋も好きだし、〝すけべライン〟って呼ばれてる、腰骨から鼠径部へのラインも非常にエロティックでございます」
後半は部位的に少し恥ずかしいので、やや冗談めかしてごまかす。
「へぇ、結構マニアックだな」
マニアックと言われ、恥ずかしくなってくる。
「も、もー……。佑さんが欲しがったから言ったのに」
唇を突き出してぶーたれると、佑が「ごめん、ごめん」と笑った。
「香澄、おいで」
両腕を広げられると、そこに行かない選択肢はない。
テーブルのマグカップを移動させ、香澄は佑の膝の間に座る。
ぎゅう、と抱き締められて思わず笑うと、佑も幸せそうに笑ってくれた。
「今日……どうしようか」
佑が呟き、香澄は顔を上げて彼を見る。
「昨日も言ったけど、別に無理をして観光しなくていいからね。佑さんにゆっくりしてほしいし、私もちょっと癒やし時間がほしいかも」
「ん。……あー、そうだ。せっかくだから温泉行こうか。温泉ならゆっくりできるだろ?」
「温泉!?」
思ってもみない言葉に、香澄は声を跳ね上がらせる。
「映画で見なかったか? 古代ローマの男がタイムスリップして日本の風呂に来るやつ」
「あー!」
有名な漫画原作の映画を思い出し、香澄はうんうんと頷く。
「そう言えば、世界史でも習ったっけ。カラカラ浴場とか。懐かしい!」
「ポンペイも知ってるだろう?」
「あぁ、うん。火山でなくなった街だよね。映画も見た」
「温泉文化って日本のものと思いがちだけど、割と世界中にあるんだ」
「なるほど」
「ローマの近くだと、『テルメ・デイ・パーピ』が有名かな。河野に連絡を入れておこう」
そう言って佑はスマホを弄り、河野にメッセージを送る。
「テルメ……かぁ」
「映画は〝テルマエ〟と言っていたな」と思いつつ、香澄はスマホで『テルメ・デイ・パーピ』を検索する。
23
お気に入りに追加
2,546
あなたにおすすめの小説
『逃れられない淫らな三角関係』番外編 ヘルプラインを活用せよ!
臣桜
恋愛
『逃れられない淫らな三角関係』の番外編です。
やりとりのある特定の読者さまに向けた番外編(小冊子)です。
他にも色々あるのですが、差し障りのなさそうなものなので公開します。
(他の番外編は、リアルブランド名とかを出してしまっている配慮していないものなので、ここに載せるかは検討中)
地味女で喪女でもよく濡れる。~俺様海運王に開発されました~
あこや(亜胡夜カイ)
恋愛
新米学芸員の工藤貴奈(くどうあてな)は、自他ともに認める地味女で喪女だが、素敵な思い出がある。卒業旅行で訪れたギリシャで出会った美麗な男とのワンナイトラブだ。文字通り「ワンナイト」のつもりだったのに、なぜか貴奈に執着した男は日本へやってきた。貴奈が所属する博物館を含むグループ企業を丸ごと買収、CEOとして乗り込んできたのだ。「お前は俺が開発する」と宣言して、貴奈を学芸員兼秘書として側に置くという。彼氏いない歴=年齢、好きな相手は壁画の住人、「だったはず」の貴奈は、昼も夜も彼の執着に翻弄され、やがて体が応えるように……
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
義兄に甘えまくっていたらいつの間にか執着されまくっていた話
よしゆき
恋愛
乙女ゲームのヒロインに意地悪をする攻略対象者のユリウスの義妹、マリナに転生した。大好きな推しであるユリウスと自分が結ばれることはない。ならば義妹として目一杯甘えまくって楽しもうと考えたのだが、気づけばユリウスにめちゃくちゃ執着されていた話。
「義兄に嫌われようとした行動が裏目に出て逆に執着されることになった話」のifストーリーですが繋がりはなにもありません。
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる