上 下
795 / 1,549
第十三部・イタリア 編

第四の性器 ☆

しおりを挟む
 とうとう香澄は床の上にうずくまる。

 それでも佑は、彼女のつるりとした肌に唇を這わせるのをやめなかった。

 キスされるたびにピクピク震える香澄は、へたをすると背中で達ってしまうのでは、という過敏さと戦う。

 剥き出しの肌に彼の吐息が掛かり、温かい唇がつけられ、チロリと舐められるだけで、下着のクロッチが濡れてしまうのが分かった。

「……で、できないのに。……こ、こういうの良くないと思います」

 香澄は弱々しく握った拳で、佑の太腿をポコンと殴る。

「できないからイチャイチャするんだろ? アソコを触らなくても、愛撫だけで満足させられる自信あるつもりだし、香澄だってポテンシャルがあるはずだ」

「そ、そんなポテンシャルいらない!」

 悲鳴を上げた時、佑の手がモソリとキャミソールの間から入り込み、ノーブラの胸を包み込む。

「ン、待って……、ぁ、……あぁ」

 ベビーピンクの布地の上から佑の手を押さえるが、むにむにと乳房を揉まれてまた新たな蜜を零してしまう。
 爪で乳首の先端を軽く引っかかれると、びくんっと体が大きく跳ねた。

「ま、待って……、ギ、ギブ、ギブ」

 プロレスに詳しくないが、手を前に伸ばしてぺしぺしと床を叩く。

 佑の手がほんの僅かに緩んだ瞬間、香澄はうずくまった体勢からコロンと横に転がった。
 手が使えるなら、佑の不埒な手を撃退できると思っての行動だ。

 だが――。

「え? あ、あぁっ!」

 手足を折り曲げて転がっていたのが丁度良かったのか、またしてもヒョイッと抱き上げられてしまった。
 そのままベッドルームまで運ばれ、ベッドの上に下ろされる。

「食後のデザートを頂かないとな」

 ペロリと舌なめずりをした佑は、まるでうさぎを襲う悪い狼のようだ。

「お、お客様は満腹のように思えますので、どうぞ空腹の時に再度ご連絡ください」

「このデザートなら別腹だから、どれだけでも楽しめるとも」

 せっかく着たのに、佑はスルリとキャミソールとタップパンツを脱がせてしまう。

「香澄、お手」
「え? お手?」

 差し出された手に思わず右手をポンとのせると、手の甲にキスをされた。
 ちゅ、ちゅ、と唇が這い、佑は手の甲から五本の指を入念に愛していく。

「ぁ……」

 手にキスをされただけなのに、気持ちがフワフワして体が熱くなってくる。

 そのまま彼は、手から腕、二の腕……と唇をつける場所を移動させていった。

「や、――――ぁ、あっ、そこ、だめっ」

 油断していた香澄は、腕をまっすぐ上げられ、柔らかな腋をパクリと食まれた
 恥ずかしい場所をねっとりと舐められ、唇をわななかせる。

「やだっ! 佑さん、そこ腋……っ、ぁ、あ……っ」

 好きな人に恥部をねっとりと舐められ、香澄は呼吸を乱し羞恥で顔を真っ赤にさせる。

 脱毛してもう無駄毛はないはずなのに、恥ずかしくて堪らない。

 今日は汗を掻く運動はしていないし、秋だし気温も暑いというほどではない。
 だが酒を飲んで体温が上がったし、汗ばんでいないか心配だ。

 彼は決して言わないだろうけど、万が一にも匂いがしたら死んでしまいたくなる。

「やだ、やだぁ……っ」

 半べそを掻いて嫌がっても、二の腕をしっかり掴まれ、舐められ続ける。

 佑は最後にぷちゅ……といやらしい音を立てて唇を離し、妖艶に笑った。

「腋を第四の性器として扱う人もいるそうだよ」

「もー、やだ! どこからそんな情報仕入れるの!? 信じられない!」

 真っ赤になって反抗すると、佑は一瞬とぼけた顔をした。
 それを見て、香澄は「あっ」と気づいた。

「まさか……アロイスさんとクラウスさん?」

 そろり、と尋ねると、佑は目を逸らす。

「もぉぉ……。仲が悪いって見せかけておいて、そういう所は繋がってるんだから、もー……」

「最近はそういう話はしてないけどな」

「はぁ……。……でも仲がいいのはいい事だよね? 猥談は程度によるけど、また皆で仲良く話そうね?」

 アドラーと節子を含めた皆で、温泉に行ったのが随分昔のように思える。

「ん、そうだな」

 ちゅ、とキスをされ、香澄は自然に微笑む。

「好きだよ」

 小さな声で告白すると、もう一度キスをされた。
しおりを挟む
感想 556

あなたにおすすめの小説

『逃れられない淫らな三角関係』番外編 ヘルプラインを活用せよ!

臣桜
恋愛
『逃れられない淫らな三角関係』の番外編です。 やりとりのある特定の読者さまに向けた番外編(小冊子)です。 他にも色々あるのですが、差し障りのなさそうなものなので公開します。 (他の番外編は、リアルブランド名とかを出してしまっている配慮していないものなので、ここに載せるかは検討中)

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

【R18】深層のご令嬢は、婚約破棄して愛しのお兄様に花弁を散らされる

奏音 美都
恋愛
バトワール財閥の令嬢であるクリスティーナは血の繋がらない兄、ウィンストンを密かに慕っていた。だが、貴族院議員であり、ノルウェールズ侯爵家の三男であるコンラッドとの婚姻話が持ち上がり、バトワール財閥、ひいては会社の経営に携わる兄のために、お見合いを受ける覚悟をする。 だが、今目の前では兄のウィンストンに迫られていた。 「ノルウェールズ侯爵の御曹司とのお見合いが決まったって聞いたんだが、本当なのか?」」  どう尋ねる兄の真意は……

地味女で喪女でもよく濡れる。~俺様海運王に開発されました~

あこや(亜胡夜カイ)
恋愛
新米学芸員の工藤貴奈(くどうあてな)は、自他ともに認める地味女で喪女だが、素敵な思い出がある。卒業旅行で訪れたギリシャで出会った美麗な男とのワンナイトラブだ。文字通り「ワンナイト」のつもりだったのに、なぜか貴奈に執着した男は日本へやってきた。貴奈が所属する博物館を含むグループ企業を丸ごと買収、CEOとして乗り込んできたのだ。「お前は俺が開発する」と宣言して、貴奈を学芸員兼秘書として側に置くという。彼氏いない歴=年齢、好きな相手は壁画の住人、「だったはず」の貴奈は、昼も夜も彼の執着に翻弄され、やがて体が応えるように……

ハイスペック上司からのドSな溺愛

鳴宮鶉子
恋愛
ハイスペック上司からのドSな溺愛

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

義兄に甘えまくっていたらいつの間にか執着されまくっていた話

よしゆき
恋愛
乙女ゲームのヒロインに意地悪をする攻略対象者のユリウスの義妹、マリナに転生した。大好きな推しであるユリウスと自分が結ばれることはない。ならば義妹として目一杯甘えまくって楽しもうと考えたのだが、気づけばユリウスにめちゃくちゃ執着されていた話。 「義兄に嫌われようとした行動が裏目に出て逆に執着されることになった話」のifストーリーですが繋がりはなにもありません。

辣腕同期が終業後に淫獣になって襲ってきます

鳴宮鶉子
恋愛
辣腕同期が終業後に淫獣になって襲ってきます

処理中です...