上 下
752 / 1,549
第十二部・パリ 編

佑さんしか愛せない ☆

しおりを挟む
「あぁ……」

 濡れた唇からか細い声を漏らしたあと、香澄は放心して脱力する。
 体のどこにも力を入れられないほど疲れているのに、膣奥だけが勝手にピクピクと痙攣する。

 佑は呆けている香澄の花びらを執拗に舐め、肉芽にも何度もキスをする。
 そのたびに、彼女はなけなしの力を振り絞って体を震わせた。

「可愛い……。香澄、可愛い」

 絶頂後の無防備な秘所を愛され、言葉でも褒めちぎられる。
 はしたなく、いやらしい姿を見せたのに、佑はひたすらに香澄を肯定してくれる。

 気持ちよさと幸福感にまみれたまま、香澄は彼への思いを募らせた。

(……佑さんだけ……。佑さんしか愛せない……)

 こんなに信頼し、すべてを預けても不安を感じない人は、佑しかいない。

 こみ上げた想いに、香澄の眦から涙が零れる。
 力の入らない手で目元を拭った香澄は、グスッと洟を啜る。

「……どうした?」

 すぐに佑は愛撫をやめると頭を撫で、見つめてくる。
 ヘーゼルの瞳が、香澄の感情の揺れ一つ見逃さないというように覗き込んできた。

「やっぱりこういうの嫌だった?」

 佑は香澄の頭を撫で、額に優しくキスをする。
 心配してくれる彼の優しさに微笑み、香澄は小さく首を横に振った。

「ううん……。違うの。……佑さんが好きで、……好きで堪らなくて」

 グスッとまた鼻を鳴らし、香澄は佑の首を抱き寄せて彼の頬に唇を押しつけた。

「……俺も愛してるよ」

 耳元で佑の声がし、ちゅく……と耳たぶがしゃぶられる。

「んぅ……っ」

 耳朶に掛かった吐息に、香澄はブルッと震えて甘い声を漏らした。
 その声をこちらも耳元で聞いた佑は、上体を起こし髪を掻き上げると己の唇を舐める。

「……ああ、ダメだ。香澄が可愛い事を言うから、すぐ入れたくなった」

 熱の籠もった声で言ったあと、彼は下着を脱ぐ。

「……ダメ、なの?」

 まだ潤んでいる目で問いかけると、彼は企んでいた事を白状する。

「本当は入れる前にバイブとかローターとか、道具を使って香澄をトロットロにするつもりだった。何回も達かせて、気絶寸前まで追いやってから抱くつもりだったんだ」

 彼の〝計画〟を聞き、思わず脱力する。

「……もー、変態」

「でも予定変更だ。まず香澄を抱きたい」

 己の欲望を隠さず、佑は自身の屹立を数度しごくと先端を香澄の蜜口に押し当てる。

「ん……、きて……。佑さんが欲しい……」

 香澄は脚を広げ、彼が入れやすいポーズを取り、恥じらいつつもはにかんでみせた。

 煮えたぎった熱を孕んだ目が、まっすぐに香澄を見つめる。
 強すぎる想いを視線でぶつけられ、香澄の背筋に震えが走る。

 目の前で美しい雄が、自分の事だけを考えて激情に駆られている。
 女としてこんな誉はない。

 トロリとした陶酔に包まれ、香澄はうっとりと微笑んだ。

「きて」

 彼女の表情を見て、佑はゴクッと口内に溜まった唾液を嚥下し、一気に腰を突き入れた。

「ん! あぁ……っ」

 ずちゅんっと大きな亀頭、そして太竿が入り込み、香澄は歓喜とも苦しみともつかない声を上げる。

「おっき……ぃ、――――あつ、ぃ」

 貫かれながら熱に浮かされたように呟くと、佑の目にさらに獣欲が宿った。

「香澄……っ」

 すでに濡れそぼった蜜壷は、佑のそれをヌルリと呑み込んで最奥まで導いた。
 そして佑が腰を振ると、すぐにグチャグチャと蜜壷が肉棒をはしたなく咀嚼する音が響き出す。

「んぁ……っ、あぁ、ア……っ、たす、――く、さ……っ」

 深いストロークで最奥まで穿たれ、早くも香澄の目の前がチカチカする。

 こみ上げた愉悦を押し殺しきれず、香澄は大きく息を吸い込んだあと、両手で自身の口元を覆って激しく痙攣した。

「っきつ――――、良すぎる……っ」

 佑が顔を歪め、射精してなるものかと歯を食いしばる。
 激しい目で香澄を睨んだ佑は、唇を舐めてさらに彼女を突き上げた。

「待って! 待っ……っ、まぁ……、――――あ、あぁあぁんっ」

 達っているというのに、佑は香澄の肉芽を指で撫でてくる。
 ビクンッと電流でも流されたかのように体を跳ねさせた香澄は、限界を感じて逃げにかかった。

「ちょっと、……待って、ダメ、駄目……っ」

 正常位になっている体勢から体をひねり、両手でシーツをたぐり、足に力を込めて佑から逃れようとする。
しおりを挟む
感想 556

あなたにおすすめの小説

『逃れられない淫らな三角関係』番外編 ヘルプラインを活用せよ!

臣桜
恋愛
『逃れられない淫らな三角関係』の番外編です。 やりとりのある特定の読者さまに向けた番外編(小冊子)です。 他にも色々あるのですが、差し障りのなさそうなものなので公開します。 (他の番外編は、リアルブランド名とかを出してしまっている配慮していないものなので、ここに載せるかは検討中)

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

義兄に甘えまくっていたらいつの間にか執着されまくっていた話

よしゆき
恋愛
乙女ゲームのヒロインに意地悪をする攻略対象者のユリウスの義妹、マリナに転生した。大好きな推しであるユリウスと自分が結ばれることはない。ならば義妹として目一杯甘えまくって楽しもうと考えたのだが、気づけばユリウスにめちゃくちゃ執着されていた話。 「義兄に嫌われようとした行動が裏目に出て逆に執着されることになった話」のifストーリーですが繋がりはなにもありません。

辣腕同期が終業後に淫獣になって襲ってきます

鳴宮鶉子
恋愛
辣腕同期が終業後に淫獣になって襲ってきます

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

地味女で喪女でもよく濡れる。~俺様海運王に開発されました~

あこや(亜胡夜カイ)
恋愛
新米学芸員の工藤貴奈(くどうあてな)は、自他ともに認める地味女で喪女だが、素敵な思い出がある。卒業旅行で訪れたギリシャで出会った美麗な男とのワンナイトラブだ。文字通り「ワンナイト」のつもりだったのに、なぜか貴奈に執着した男は日本へやってきた。貴奈が所属する博物館を含むグループ企業を丸ごと買収、CEOとして乗り込んできたのだ。「お前は俺が開発する」と宣言して、貴奈を学芸員兼秘書として側に置くという。彼氏いない歴=年齢、好きな相手は壁画の住人、「だったはず」の貴奈は、昼も夜も彼の執着に翻弄され、やがて体が応えるように……

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。 そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。 だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。 そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

処理中です...