743 / 1,559
第十二部・パリ 編
うさぎの尻尾
しおりを挟む
佑がこちらに来る気配がし、香澄は思わずキョロキョロと左右を見回し、逃げる場所を探す。
結局逃げ場所が見つからず、香澄はキングサイズのベッドの脇にしゃがみ込んでいた。
「あれ? ……何してるんだ?」
一瞬、香澄がベッドルームからいなくなったかと思った佑は、しゃがんで小さくなっている香澄を見つけて笑う。
「だって……。だって、……は、恥ずかしい……」
胸もお尻も丸出しで、この上なく恥ずかしい。
これでは素っ裸のほうがまだマシな気がする。
「ハーネスを着けるなら、チョーカーを俺に留めさせてって言おうと思ったんだけど」
「うー……。ま、まだ……着けてない……けど……」
うずくまって両手で胸を隠したまま、香澄は佑を上目遣いで見る。
プルプルと震えているさまは、まるで追い詰められたうさぎだ。
「どれ」
佑はベッドに座り、香澄の頭をサラリと撫でる。
「んぅ」
少し気が緩んだところで、彼の手が頬を撫でて顎にかかり、両側から首を包んでくる。
「金具は……、と。これか。しかし細い首だな」
「ふぁ……っ」
首元を探られるのがくすぐったくて、香澄は思わず上ずった声を上げた。
「香澄、俯いて。やりづらい」
「……んー……」
言われるがまま、香澄は膝を床につけた体勢で俯く。
まるで首輪をつけてもらっているようで、とても変な気持ちだ。
一方で佑がゾクゾクしているのを、勿論香澄は知らない。
「……可愛いな」
留め具は無事つけられたのか、佑がシャランとチェーンを揺らし、また香澄の頭を撫でる。
「もう一つ。さっきいい物を見つけて買ってきたんだ」
そう言って佑はリビングに行く。
すぐ戻って来た彼が手にしているのは、うさ耳のカチューシャだ。
ベルベットでできた黒いうさ耳は、佑の手の中でユラユラと揺れている。
「これなら被り慣れているだろ?」
「被り慣れてって……。あの時だけだよ」
『Bow tie club』での事を言われ、香澄は苦い顔になる。
けれどこれなら頭に被るだけなのでまだマシだ。
香澄は胸を隠しながらうさ耳を受け取り、スポッとカチューシャを被った。
それだけで佑は非常にご満悦な顔になり、香澄は「好きだなぁ」と笑う。
「そんなにバニーが好きなの?」
「香澄うさぎが好きだよ。他のうさぎに興味はない」
「うーん……」
それなら嬉しいけれど、やはり恥ずかしいものは恥ずかしい。
「香澄? うさぎって言ったら、尻尾が必要だよな?」
けれど次にそんな事を言われて、目をぱちくりとさせた。
「尻尾って……。この状態だと、ホックをつけられる場所がないけど」
バニースーツはボディスーツに尻尾をホックでつける仕組みになっているが、今のこのスカスカの下着ではどこにも取り付けられない。
けれど佑はにっこり笑い、ポケットからうさぎの尻尾を取りだした。
「……ん? ……ん?」
しげしげと〝それ〟を見た香澄は、困惑顔だ。
フサフサのうさぎ尻尾は分かるのだが、その根元には鏃をマイルドにしたような何かがついている。
不思議そうに見ている香澄の反応に、佑はにんまりと笑って囁いてきた。
「これ、お尻に入れるんだよ」
「!!」
目の前にあるモノが大人の玩具だと理解した途端、香澄は尻餅をついて後ろに手をついた。
ぷるん、と胸が露わになってしまったのに気づき、慌てて両手で隠す。
「……無理。無理です……」
香澄は真顔になり、プルプルと首を横に振る。
「大丈夫。香澄ならできる」
こんな時だけ、爽やかコマーシャル風に言わないでほしい。
「無理。裂けちゃう」
アナルセックスはさすがに知っているが、へたをすれば体を痛めてしまうと聞いている。
佑の事は好きだが、本来なら使わないところでの行為は怖い。
結局逃げ場所が見つからず、香澄はキングサイズのベッドの脇にしゃがみ込んでいた。
「あれ? ……何してるんだ?」
一瞬、香澄がベッドルームからいなくなったかと思った佑は、しゃがんで小さくなっている香澄を見つけて笑う。
「だって……。だって、……は、恥ずかしい……」
胸もお尻も丸出しで、この上なく恥ずかしい。
これでは素っ裸のほうがまだマシな気がする。
「ハーネスを着けるなら、チョーカーを俺に留めさせてって言おうと思ったんだけど」
「うー……。ま、まだ……着けてない……けど……」
うずくまって両手で胸を隠したまま、香澄は佑を上目遣いで見る。
プルプルと震えているさまは、まるで追い詰められたうさぎだ。
「どれ」
佑はベッドに座り、香澄の頭をサラリと撫でる。
「んぅ」
少し気が緩んだところで、彼の手が頬を撫でて顎にかかり、両側から首を包んでくる。
「金具は……、と。これか。しかし細い首だな」
「ふぁ……っ」
首元を探られるのがくすぐったくて、香澄は思わず上ずった声を上げた。
「香澄、俯いて。やりづらい」
「……んー……」
言われるがまま、香澄は膝を床につけた体勢で俯く。
まるで首輪をつけてもらっているようで、とても変な気持ちだ。
一方で佑がゾクゾクしているのを、勿論香澄は知らない。
「……可愛いな」
留め具は無事つけられたのか、佑がシャランとチェーンを揺らし、また香澄の頭を撫でる。
「もう一つ。さっきいい物を見つけて買ってきたんだ」
そう言って佑はリビングに行く。
すぐ戻って来た彼が手にしているのは、うさ耳のカチューシャだ。
ベルベットでできた黒いうさ耳は、佑の手の中でユラユラと揺れている。
「これなら被り慣れているだろ?」
「被り慣れてって……。あの時だけだよ」
『Bow tie club』での事を言われ、香澄は苦い顔になる。
けれどこれなら頭に被るだけなのでまだマシだ。
香澄は胸を隠しながらうさ耳を受け取り、スポッとカチューシャを被った。
それだけで佑は非常にご満悦な顔になり、香澄は「好きだなぁ」と笑う。
「そんなにバニーが好きなの?」
「香澄うさぎが好きだよ。他のうさぎに興味はない」
「うーん……」
それなら嬉しいけれど、やはり恥ずかしいものは恥ずかしい。
「香澄? うさぎって言ったら、尻尾が必要だよな?」
けれど次にそんな事を言われて、目をぱちくりとさせた。
「尻尾って……。この状態だと、ホックをつけられる場所がないけど」
バニースーツはボディスーツに尻尾をホックでつける仕組みになっているが、今のこのスカスカの下着ではどこにも取り付けられない。
けれど佑はにっこり笑い、ポケットからうさぎの尻尾を取りだした。
「……ん? ……ん?」
しげしげと〝それ〟を見た香澄は、困惑顔だ。
フサフサのうさぎ尻尾は分かるのだが、その根元には鏃をマイルドにしたような何かがついている。
不思議そうに見ている香澄の反応に、佑はにんまりと笑って囁いてきた。
「これ、お尻に入れるんだよ」
「!!」
目の前にあるモノが大人の玩具だと理解した途端、香澄は尻餅をついて後ろに手をついた。
ぷるん、と胸が露わになってしまったのに気づき、慌てて両手で隠す。
「……無理。無理です……」
香澄は真顔になり、プルプルと首を横に振る。
「大丈夫。香澄ならできる」
こんな時だけ、爽やかコマーシャル風に言わないでほしい。
「無理。裂けちゃう」
アナルセックスはさすがに知っているが、へたをすれば体を痛めてしまうと聞いている。
佑の事は好きだが、本来なら使わないところでの行為は怖い。
23
お気に入りに追加
2,572
あなたにおすすめの小説
ヤンデレエリートの執愛婚で懐妊させられます
沖田弥子
恋愛
職場の後輩に恋人を略奪された澪。終業後に堪えきれず泣いていたところを、営業部のエリート社員、天王寺明夜に見つかってしまう。彼に優しく慰められながら居酒屋で事の顛末を話していたが、なぜか明夜と一夜を過ごすことに――!? 明夜は傷心した自分を慰めてくれただけだ、と考える澪だったが、翌朝「責任をとってほしい」と明夜に迫られ、婚姻届にサインしてしまった。突如始まった新婚生活。明夜は澪の心と身体を幸せで満たしてくれていたが、徐々に明夜のヤンデレな一面が見えてきて――執着強めな旦那様との極上溺愛ラブストーリー!
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

忘れたとは言わせない。〜エリートドクターと再会したら、溺愛が始まりました〜
青花美来
恋愛
「……三年前、一緒に寝た間柄だろ?」
三年前のあの一夜のことは、もう過去のことのはずなのに。
一夜の過ちとして、もう忘れたはずなのに。
「忘れたとは言わせねぇぞ?」
偶然再会したら、心も身体も翻弄されてしまって。
「……今度こそ、逃がすつもりも離すつもりもねぇから」
その溺愛からは、もう逃れられない。
*第16回恋愛小説大賞奨励賞受賞しました*

一夜の過ちで懐妊したら、溺愛が始まりました。
青花美来
恋愛
あの日、バーで出会ったのは勤務先の会社の副社長だった。
その肩書きに恐れをなして逃げた朝。
もう関わらない。そう決めたのに。
それから一ヶ月後。
「鮎原さん、ですよね?」
「……鮎原さん。お腹の赤ちゃん、産んでくれませんか」
「僕と、結婚してくれませんか」
あの一夜から、溺愛が始まりました。
ウブな政略妻は、ケダモノ御曹司の執愛に堕とされる
Adria
恋愛
旧題:紳士だと思っていた初恋の人は私への恋心を拗らせた執着系ドSなケダモノでした
ある日、父から持ちかけられた政略結婚の相手は、学生時代からずっと好きだった初恋の人だった。
でも彼は来る縁談の全てを断っている。初恋を実らせたい私は副社長である彼の秘書として働くことを決めた。けれど、何の進展もない日々が過ぎていく。だが、ある日会社に忘れ物をして、それを取りに会社に戻ったことから私たちの関係は急速に変わっていった。
彼を知れば知るほどに、彼が私への恋心を拗らせていることを知って戸惑う反面嬉しさもあり、私への執着を隠さない彼のペースに翻弄されていく……。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる