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第十一部・スペイン 編

鏡越しに ☆

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「んぷ」

 つるんと剥き玉子のようなすっぴんになったあと、拭き取り化粧水、美容液、化粧水にまた美容液、乳液、クリームと塗り重ねていく。
 手に残ったものは、デコルテや胸に擦りつけてしまう。

 佑が持ってきてくれた電動歯ブラシでブイーンと歯を磨いていると、洗面所の入り口にもたれ掛かった佑と目が合った。

「……ん?」

「可愛い」

「んふふっ」

 上半身裸に、スウェットズボン穿いた佑も隣に並び、顔を洗って歯磨きを始める。
 佑もメンズ用の化粧水などで肌の手入れをしているので、顔に触るとすべすべで気持ちいい。

「スペイン最後の夜に、セックスはどうですか?」

 佑が尋ねてくる。

「……よく疲れないね?」

 タオルで口元を拭いた香澄は、呆れて小首を傾げるが、佑はまったく悪びれない。

「香澄を抱いてると、『生きてる』って感じがするよ」

「もー……」

「しょうがないな」と笑った香澄は、佑の背中に抱きついて裸の背中に顔を押しつける。
 うがいをして口元を拭く佑を鏡越しに見て、彼の胸板に手を回した。

「知ってる? 男の人の立派な胸筋を雄っぱいって言うんだって」

「おっぱい?」

 香澄に胸板を揉まれ、佑は怪訝な顔をしている。

「オス? の『雄』って書いて雄っぱい」

「……ふぅん? 不思議な言葉だな」

 言ったあと、佑は体を反転させ、香澄を抱き上げた。

「きゃっ……」

 そのまま洗面台の上に座らされた香澄は、びっくりした顔で佑を見つめる。

「――ん」

 けれど何か言う間もなく、後頭部を押さえられキスをされる。

 ちゅ、ちゅと何回かついばんだあと、チロリと唇を舐められる。
 彼の両手は乳房をねっとりと揉み、キスの合間に香澄の切ない吐息が零れた。

 視線を上げると、洗面台の反対の壁も鏡になっているので、そこに淫らな顔をした自分が映っていた。

「や……」

 佑は香澄の微かな声を無視し、彼女の首筋、肩、胸とキスをする場所を移動させていく。
 香澄には、背を向けた佑とキスをされている自分が丸見えだ。

「や……やだ。セックスしたいならいいから、ベッド行こ? ここは恥ずかしいからやだ」

「だーめ」

 ちゅ、と唇にキスをして佑が微笑む。

「たまには刺激があったほうがいいだろ?」

 佑は香澄の腰を浮かせてパンティを脱がし、その奥に秘められた花弁に触れる。
 するとチュク……と音が立ち、彼は妖艶に笑った。

「今の音は?」

 さらに秘唇を撫でられ、クチャクチャと水音がする。

「しら……ない」

「ふぅん? 知らないんだ?」

「――――っあああぁあっ!」

 その途端、佑の指が蜜口に侵入し、香澄の感じる場所をぐぅっと押してきた。
 絶頂近くまで追いやられた香澄は、両脚をピンッと伸ばして背中を丸める。

「腰が浮いてるよ。中も凄く締め付けてる。で、何が『知らない』んだっけ?」

 意地悪な笑みを浮かべた佑は、弱点ばかりクックッと何度も押してくる。
 挙げ句、肉芽を親指でこねられ、香澄は佑の両肩を掴んでガクガクと痙攣した。

「んーっ! ん、うぅうっ、ぁ、あああぁああ……っ」

 冷たい大理石の上に、蜜がトロトロと溢れていくのが分かる。
 恥ずかしくて涙目で佑を睨んでも、チュッと愛しげにキスをされるだけだ。

「香澄、脚開いて。可愛い場所を見せて」

「んやぁ……」

 むずがる子供のようにいやいやをしても、佑は微笑んだまま頭を撫でるだけだ。

「香澄?」

「ぅー……。パリ行ったら、チョコとかクレープ買ってもらうんだから」

 苦し紛れに言った言葉が子供っぽくて、言ってすぐ後悔した。
 佑は破顔し、香澄の頭をよしよしと撫でてくる。

「いいよ、好きなだけ買ってあげる」

「もぉ……ぉお…………」

 小さくうなった香澄は、洗面台の上で脚をM字に広げ、指でクパ……と花弁を開いた。
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