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第十一部・スペイン 編

秘密のトレーニング

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 佑が午後の仕事に出ているあいだ、香澄は大人しくホテルの部屋で過ごしていた。

 さすがに今日は部屋から出ないでおく。

 ブティックのワンピースだって、すぐになくなる訳ではない。
 というかそもそも、「綺麗な色だな」と思っただけで、特別欲しい訳でもない。

 腰が立つようになってからゆっくりお風呂に入り、何だかんだで忙しかったので、スウェットの上下を着てゆっくりストレッチをした。

「ふぁあ……」

 たっぷりストレッチしたあと、香澄はベッドの上に仰向けになる。

「ん……、と」

 加えて、こっそり日課にしている膣トレもする。

 膝を立て、腹式呼吸でゆっくり鼻から息を吸う。
 吸いながら肛門、骨盤底筋、膣、尿道というイメージでゆっくりと締める場所を移動させていく。
 最後はそんな場所が締まるのか分からないが、子宮がある付近の下腹に力を入れる。

 十五秒ほどかけて締める場所を移動させたあと、逆の順番で緩めつつ息を吐いていく。

 これを五分ほどかけて繰り返す。

 寝る前にこっそりしているトレーニングだが、湯船に浸かっている間や座っている時にでもできるので、気が付いたら膣トレをする習慣をつけていた。

 どうやらこれで達しやすくなる上、血行がよくなって冷えの悩みからも解消されるのだとか。便秘解消や尿漏れ予防にもなるらしい。

 初めは麻衣に「こういうのがあるんだって」と教えてもらったのだが、調べてみると大人の道具を使ってのトレーニングもあるらしい。

 けれどそれは佑に見つかったら恥ずかしいので、道具なしの目立たないやり方をしている。

「ふぅ……」

 膣トレを終えて天井を見上げ、しばしボーッとする。

 麻衣情報で、もう一つ別のトレーニングがある。

 シャワーで腰を温めて子宮近くの血流を良くすると、感度が高まるのだそうだ。
 その上でお腹に手を当てて子宮のある辺りをマッサージすると、中で達きやすくなるらしい。

 中には自分で腹部を揉み、膣を締めるだけで達する事ができる人もいるそうだ。

(かなり上級者なんだろうなぁ……)

 想像して、「お腹を揉んで達くとは?」と訳が分からなくなる。

 ネット情報ではパートナーに腹部を揉んでもらい、達した人もいるようだ。
 カップルの仲も深まり、セックスでもとても感じるらしいのでいい事だな……と思うのだが……。

「……佑さんにこんなこと言えないもんなぁ」

 香澄は仰向けになったまま、スウェットのズボンを半脱ぎにして、子宮のあたりに手を置く。
 そして目を閉じ、佑とイチャイチャしている時の幸福感を思いだしながら、ゆっくりお腹を揉み始めた。

 体の外から子宮を揺らすイメージでお腹を揉み、それに合わせて膣を締めたり緩めたりしてみる。

「ん……。ん……」

 外側からの刺激もあり、少しお腹の中がムズムズしてきた気がする。

 しばらく続けていたのだが――。

「んー……。疲れた」

 結局いつも、手が疲れて終わってしまう。

「……佑さんに達かせてもらってるしなぁ……」

 ズボンが半脱ぎのまま、香澄はゴロンと横向きになって目を閉じる。

「……最近、一人でしてないな。……ニセコの時は手が伸びかけちゃったけど」

 自慰なら……、と思い、手を動かす。
 ブラジャーのホックを外し、また仰向けになって自分の胸を揉んでみる。

「んー……」

 確かに佑に言われた通り、少し育ったような気がする。

「気持ちいいって……思ってくれてるのかな。これ……」

 自分で胸を揉んでも、いまいち気持ちいいと思えない。
 佑がしてくれるように乳首の先を爪でカリカリと引っ掻くと、少しムズムズする。

「……はぁ」

 けれど結局その程度で、やはり一人だとそれほど気持ち良くなれない。

「贅沢だな。エッチしないと達けないなんて」

 そう言いつつも、香澄はパンティの上からカリカリと突起を引っ掻いていた。

「んー……」

 目を閉じて横になっていると、シエスタ中の激しい行為の名残か、急に疲れて眠たくなってくる。

 ウトウトし、ときおり指を動かしているうちに、いつの間にか香澄は寝入ってしまった。
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