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第十一部・スペイン 編

食後のデザート ☆

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「あぁー、食べた……」

 部屋に戻って歯を磨いたあと、香澄はソファに座って胃をさする。

「どれ。香澄のポンポンになったお腹を触らせてもらおうかな」

 隣に座った佑がさっそく意地悪をしてくるので、思わずひと一人分離れて座り直してしまった。

「そ、そういうのダメ」

「どうして? 香澄だって俺の筋肉や手の血管を触りたがるじゃないか」

「う……?」

 だが正論……のような事を言われ、思わず頭の中に疑問符が浮かぶ。

「香澄がこれからも俺の体を触りたいって言うなら、自分の体も触らせてくれないと」

 佑は座り直して空間を詰め、香澄のお腹に触れようとする。

「そ……そうなの?」
「なんなら、いま触ってもいいよ?」

 佑は微笑み、シャツのボタンを一つずつ外してゆく。

(う……)

 今まで脱がされる事はあっても、佑が脱ぐ姿をじっくり見た事はないかもしれない。

 思わず目が釘付けになる中、次第に開かれるシャツの間から逞しい胸板が覗く。
 凝視している先、佑は最後までシャツのボタンを外してしまい、割れた腹筋まで見せる。

 俯いていた彼が顔を上げ、笑みを深める。
 急に空気が妖艶になった気がして、香澄は体の奥に火が灯ってしまいそうになるのを必死に堪えた。

「触らせて」

「ぅー……」

 佑にここまでさせてしまっては、自分もお腹を出さなければいけない気がする。
 香澄はもそもそとニットをたくし上げ、ボトムからキャミソールの裾も引っ張り出す。

「……は、はい……。お腹……」

 ニットとキャミソールを捲り上げチラッと佑を見ると、彼は実に嬉しそうな顔をしていた。

「触るよ」

 佑の掌が香澄のお腹に触れ、圧迫しない程度に優しく押しつけてくる。
 ポンポンに膨らんだそこを撫で、肌を楽しむように撫でてきた。

「は……恥ずかしい……。私も佑さんみたいにお腹に線の入る人になりたい」

 引き締まった佑の腹部に比べ、自分のお腹のなんと丸い事か。

「香澄は柔らかいままでいいよ」

「むー……」

 白金台の自宅で女性インストラクターの指導のもと、きちんと体を鍛えてはいる。
 それでもなかなか彼女のように腹筋が割れず、香澄はいつも首をひねっていた。

 贅肉はそれほどない気がするが、それ以上体を絞るとなれば、さらに別次元のトレーニングが必要なのかもしれない。

 ボディコンテストがあるように、〝上〟を目指せばきりがない。

 インストラクターも「私ぐらいになるには、食事制限もしなくてはいけませんし、プロテインも必要になるでしょうね」と言っていた。
 加えて「普通に食事を楽しみつつ体重をキープする目的なら、今のままでも十分だと思いますよ」と言われ、トレーニングメニューは彼女に任せる事にした。

 確かに食の楽しみは失いたくない。

 それでもこうやって満腹でポンポンになったお腹を好きな人に撫でられると、変な敗北感がある。

「香澄のお腹はあったかいな」

「も、もう終わり!」

 バッとキャミソールごとニットを下ろしたが、佑の手は怯まない。
 それどころかもう片方の手も侵入してきて、胸元へ上がってきた。

「ちょ……っ、た、佑さん!?」

「俺に触らせた香澄が悪い」

「あっ……」

 佑の手が背中にまわったかと思うと、プツンとブラジャーのホックが外されてしまった。
 圧迫感がなくなって体が楽になると同時に、佑の手が下着を押し上げて胸を揉んでくる。

「ん……ぁ……。で、出掛けるんでしょう?」

 包むように乳房を揉まれ、先端をクニクニと摘ままれ弄ばれた。

「デザートに香澄を食べてから」

 佑が香澄の腰を掴み、ズルズルと引きずり倒してソファに仰向けにしてしまう。

「ん、んもぉ……」

 あっという間にニットとキャミソールが脱がされ、ブラジャーも取られた。
 ワイドパンツのホックとファスナーが外されて、太腿の途中まで下ろされる。

「可愛い……。何回抱いても足りない」

 晒された肌を見て佑は熱っぽく呟き、自分もシャツを脱ぎ捨てた。
 片膝をソファの上にのせた佑は、背中を丸めて香澄に覆い被さり、首筋から鎖骨、胸元へと唇を這わせてゆく。

「ん……、ん」

 香澄は満腹感で幸せな心地になり、加えて佑から愛されるとムラムラが高まってきてしまった。

 視線の先、自分の乳房が佑に揉まれて形を変えているのが見える。
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