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第十一部・スペイン 編

ピロートーク

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「お尻が美味しそうだな。ムチムチしてる」

 そう言って佑は香澄の尻たぶを揉み、香澄は笑いながら腰を揺らす。

「やだ、もう」

 クスクス笑った香澄は、佑の胸板に手を当てて鼓動を感じる。

「……変な質問していい?」

「いいよ」

 佑の手が頭に戻り、香澄の頭を撫でて髪の毛をサラサラと梳った

「……私を抱いて……、その、良かった?」

「ん? どういう意味? 香澄とのセックスがいいか悪いかなら、最高以外の言葉がないけど」

「ん……、なら、…………良かった……」

 香澄は表情を緩ませ、佑の胸板に額を押しつける。

「また何か気にしてたか?」

「うん……。『使い込んでる』って言われてちょっと傷ついてたみたい。悪口そのものは別にいいんだけど、佑さんが気持ち良くなかったらやだな、って思って」

「でも確認できて良かった」と微笑むと、佑が苦笑いする。

「……伝わってないかな。俺は香澄の締まりが良すぎて、いつもすぐ出そうなのを必死に堪えてるんだけど」

 締まりが良すぎる、と言われ、少し嬉しくなってしまった。
 佑を見ると、彼は困ったように笑っている。

「お世辞抜きに、香澄の体はどこもかしこも気持ちいいよ。肌も髪も一級品。あそこは俺が開発したから、もう気持ちいいなんて陳腐な言葉じゃ済ませられないぐらいだ」

「ん……嬉しい」

 香澄は佑の胸板に額をつけ、目を細める

 不意に気になって、とある事をついでに聞いてしまおうと思った。

「ねぇ、ちょっと突っ込んだ事を聞いていい?」

「どうぞ?」

「お……男の人って……普通にエッチするのと、あそこを手や口でするのと、どっちが気持ちいいの?」

 小さな声で尋ねると、佑が小さく笑った。

「セックスのほうが気持ちいいに決まってるじゃないか」

「あれ? そうなの? てっきり……」

 どうやったら佑を気持ちよくできるのか気になり、たまにネットで検索する事があった。
 すると当たり前のようにフェラチオの単語が出てくるので、世の男性はそれが一番好きなのかと思っていた。

「誰情報か分からないけど、好きな子とのセックスが一番に決まってる。確かにフェラや手コキは気持ちいいけど、してもらったならお返ししたいし、やっぱり最後には入れたい」

「お返しって……。佑さん、舐めるの好きだよね。……私あれ恥ずかしいんだけど……」

 何度彼と愛し合っても、恥ずかしい場所に彼の秀麗な顔があると思うと、顔から火が出そうになる。

「恥ずかしがらせるのも目的の一つに決まってるじゃないか。香澄が真っ赤になって『いや』って言うと、もっと感じさせて恥ずかしがらせたいって思うよ」

 お尻を撫でられながら言われ、香澄は赤面する。

「そ、そう言えば……海外の人って『おういえーす』って言ってるけど、佑さんは『いや』がいいの?」

「ん? 詳しいな? 洋物好きなのか?」

 佑に意地悪に笑われ、香澄はブンブンと首を横に振る。

「映画! 映画だってR指定の奴あるじゃない。そういうシーンがある映画もあるし……」

「嘘だよ、ごめん。んー……、俺は感覚的には日本寄りだよ。香澄に騎乗位でガンガン腰振られるのも燃えるけど、どっちかって言うと俺が攻めたい。でも素直に『気持ちいい、もっと』って言ってもらえると嬉しい。……洋物みたいに『もっと来て、カモン、カモン』って言うのはちょっと違うかな……。そこまでくると、愛し合ってるというより、ぶつかり合いのスポーツみたいで」

 スポーツと言われ、香澄は思わず笑う。

「詳しくありがとう」

 礼を言うと、逆に佑に尋ねられた。

「香澄は? 俺に何か要求はある?」

「え? うーん……。佑さんがしてくれる事、全部気持ちいいから特に……」

「ふぅん? 俺はたまに道具とかセクシーランジェリーとかも、変化があっていいかな? って思ってるけど」

「え……えっちぃのは、駄目」

 ぺち、と佑の背中を軽く叩くと、彼が笑う。

「エッチな事しよう? 今のままでも十分気持ちいいけど、俺はもっとエッチな香澄が見たい。沢山興奮して、沢山気持ち良くなりたい」

 そう言って佑は額にキスをしてくる。

「それにどこかで自覚してると思うけど、ちょっと酷くされるの好きだろ? 俺が怒った時とか、いつも以上に感じてる気がする」

「や……やだもぉ……っ」

 怒ったふりをし、香澄は佑に背中を向けてから、水でも飲もうかと起き上がる。
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