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第十部・ニセコ 編
傷付いた狼 ☆
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「――――す、――てない、よ。……なんで? ……なん、で、……そう、なったの?」
香澄の混乱は解消されない。
喘ぐように開かれた唇から出たのは、精一杯の否定だ。
望む言葉を得たというのに、佑は涙を流してから息を吸い、乱暴に服を脱ぎ始めた。
「ぁ……」
――いけない。
――このままでは、理解し合えない内に何も考えられなくなってしまう。
そう思った香澄は身じろぎし、佑の下から何とか這い出そうとした。
だがその反応が、佑の逆鱗に触れてしまう。
「あっ」
パーカーの袖が引っ張られたかと思うと、結ばれて手が出せなくなる。
おまけにその結び目を、ベッドのヘッドボードの柱に引っかけられた。
香澄は手が使えず、逃げる事もできなくなった。
獲物の動きを封じたあと、佑は服を脱ぎ捨てて一糸まとわぬ姿になる。
「たすく……さん…………」
キャミソールの裾に手が入り、一気に捲り上げられ脱がされる。
トップスはすべて二の腕でもたつき、さらに動けなくなった。
さらにブラジャーのホックも外され、それだけで乳首がキュッと芯を持った。
和也に触れられた時は嫌で堪らなかったし、ルカには何も感じなかった。
それなのに佑だけは、こんなに乱暴にされても感じてしまい、香澄はすでに下着を濡らしている。
スキニーも下着ごと脱がされ、ほぼ全裸にされた香澄は、情けない顔で佑を見上げる。
いつもセックスする時は肌を晒すが、その時とは異なる羞恥を覚えた。
一か月という空白の時間が、当たり前のように抱き合っていた日々を奪った。
いつ彼に会っても大丈夫なように、全身の手入れは続けていた。
なのにこうなると、「彼に抱かれても大丈夫な体だろうか?」と不安ばかりが押し寄せる。
ちょこまか動き回って汗を掻いていたので、せめてシャワーを浴びたい。
そう思ったが、鬼気迫る彼の雰囲気を前にして何も言えない。
香澄自身、今すぐ彼のたくましい肉棒を迎え入れて掻き混ぜられたいと願っていた。
佑は激しい熱の籠もった目で香澄を見つめ、それからお腹に掌を当てた。
柔らかなそこを撫で回したあと、彼の手は下腹部に向かう。
おへその下から恥丘まで――子宮がある辺りを執拗に触ってから、突然佑は「くそっ」と吐き捨てた。
――訳が分からない。
「あ……あの、……たすくさん。あの、……聞いて?」
ルカを殴った時点で、彼がひどい勘違いをしているのは分かった。
先ほどの「あの男と寝たのか?」の問いかけも、ようやくルカの事だと理解してきた。
もしかしたらペンションで和也の事も殴ったあとなのかもしれない。
分からないが、とにかく彼は勘違いをしている。
何とか誤解を解かないとと思って口を開いたが、彼が歯ぎしりをして髪を掻きむしり始めたので、驚いて口をつぐむ。
佑はしばらく迸る激情を必死に堪えていたが、我慢しきれず叫んだ。
「――――ぅあぁああぁっっっ!!」
ゾアッと全身の毛が逆立つような、悲しみの混じった絶叫を聞き、香澄は涙を流す。
――私のせいだ。
――離れて、連絡をしないで、護衛もつけないで、勝手に転んで怪我をしたから。
――側に男の人がいたのに、彼に何も言わず心配を掛けたから。
自分のせいで、愛しい人がこんなに荒れ狂ってしまうとは思っていなかった。
己の罪深さに香澄は涙を零し、嗚咽する。
「――ごめ……っ、なさ……っ」
それでも、彼が何に怒り、悲しんでいるのかは分からなかった。
彼を抱き締めてその激情を受け止めたいのに、手が動かせない。
「お願い……っ、これを、解いて……っ。佑さんを、抱かせて……っ」
体を揺さぶって訴えるが、佑はとても傷付いた目から涙を零し、己の傷と戦っている。
「――かすみ、――――かすみ、――……どう、して――――っ」
佑はまるで、目の前の香澄が見えていないほど我を失っていた。
心がズタズタに引き裂かれて修復不可能になったように見えた彼を、抱き締めて「大丈夫」と言いたくて堪らない。
だから、懸命に訴える。
「佑さんっ、お願い、これを解い……、ん、――あっ」
必死に体を揺さぶっていた香澄の太腿を、佑は左右に開いた。
そして涙を流した彼は、自身の屹立を乱暴にしごき、まだ愛撫もしていないのに亀頭を蜜口に押し当てた。
「……許さない…………っ」
呼吸を乱し、目を真っ赤にした彼は、香澄を見つめ吐き出すように言う。
そしてこんな事をする自分に絶望し、罪悪感を感じて泣きながら、ぐぷりと彼女の蜜孔に先端を押し込んだ。
香澄の混乱は解消されない。
喘ぐように開かれた唇から出たのは、精一杯の否定だ。
望む言葉を得たというのに、佑は涙を流してから息を吸い、乱暴に服を脱ぎ始めた。
「ぁ……」
――いけない。
――このままでは、理解し合えない内に何も考えられなくなってしまう。
そう思った香澄は身じろぎし、佑の下から何とか這い出そうとした。
だがその反応が、佑の逆鱗に触れてしまう。
「あっ」
パーカーの袖が引っ張られたかと思うと、結ばれて手が出せなくなる。
おまけにその結び目を、ベッドのヘッドボードの柱に引っかけられた。
香澄は手が使えず、逃げる事もできなくなった。
獲物の動きを封じたあと、佑は服を脱ぎ捨てて一糸まとわぬ姿になる。
「たすく……さん…………」
キャミソールの裾に手が入り、一気に捲り上げられ脱がされる。
トップスはすべて二の腕でもたつき、さらに動けなくなった。
さらにブラジャーのホックも外され、それだけで乳首がキュッと芯を持った。
和也に触れられた時は嫌で堪らなかったし、ルカには何も感じなかった。
それなのに佑だけは、こんなに乱暴にされても感じてしまい、香澄はすでに下着を濡らしている。
スキニーも下着ごと脱がされ、ほぼ全裸にされた香澄は、情けない顔で佑を見上げる。
いつもセックスする時は肌を晒すが、その時とは異なる羞恥を覚えた。
一か月という空白の時間が、当たり前のように抱き合っていた日々を奪った。
いつ彼に会っても大丈夫なように、全身の手入れは続けていた。
なのにこうなると、「彼に抱かれても大丈夫な体だろうか?」と不安ばかりが押し寄せる。
ちょこまか動き回って汗を掻いていたので、せめてシャワーを浴びたい。
そう思ったが、鬼気迫る彼の雰囲気を前にして何も言えない。
香澄自身、今すぐ彼のたくましい肉棒を迎え入れて掻き混ぜられたいと願っていた。
佑は激しい熱の籠もった目で香澄を見つめ、それからお腹に掌を当てた。
柔らかなそこを撫で回したあと、彼の手は下腹部に向かう。
おへその下から恥丘まで――子宮がある辺りを執拗に触ってから、突然佑は「くそっ」と吐き捨てた。
――訳が分からない。
「あ……あの、……たすくさん。あの、……聞いて?」
ルカを殴った時点で、彼がひどい勘違いをしているのは分かった。
先ほどの「あの男と寝たのか?」の問いかけも、ようやくルカの事だと理解してきた。
もしかしたらペンションで和也の事も殴ったあとなのかもしれない。
分からないが、とにかく彼は勘違いをしている。
何とか誤解を解かないとと思って口を開いたが、彼が歯ぎしりをして髪を掻きむしり始めたので、驚いて口をつぐむ。
佑はしばらく迸る激情を必死に堪えていたが、我慢しきれず叫んだ。
「――――ぅあぁああぁっっっ!!」
ゾアッと全身の毛が逆立つような、悲しみの混じった絶叫を聞き、香澄は涙を流す。
――私のせいだ。
――離れて、連絡をしないで、護衛もつけないで、勝手に転んで怪我をしたから。
――側に男の人がいたのに、彼に何も言わず心配を掛けたから。
自分のせいで、愛しい人がこんなに荒れ狂ってしまうとは思っていなかった。
己の罪深さに香澄は涙を零し、嗚咽する。
「――ごめ……っ、なさ……っ」
それでも、彼が何に怒り、悲しんでいるのかは分からなかった。
彼を抱き締めてその激情を受け止めたいのに、手が動かせない。
「お願い……っ、これを、解いて……っ。佑さんを、抱かせて……っ」
体を揺さぶって訴えるが、佑はとても傷付いた目から涙を零し、己の傷と戦っている。
「――かすみ、――――かすみ、――……どう、して――――っ」
佑はまるで、目の前の香澄が見えていないほど我を失っていた。
心がズタズタに引き裂かれて修復不可能になったように見えた彼を、抱き締めて「大丈夫」と言いたくて堪らない。
だから、懸命に訴える。
「佑さんっ、お願い、これを解い……、ん、――あっ」
必死に体を揺さぶっていた香澄の太腿を、佑は左右に開いた。
そして涙を流した彼は、自身の屹立を乱暴にしごき、まだ愛撫もしていないのに亀頭を蜜口に押し当てた。
「……許さない…………っ」
呼吸を乱し、目を真っ赤にした彼は、香澄を見つめ吐き出すように言う。
そしてこんな事をする自分に絶望し、罪悪感を感じて泣きながら、ぐぷりと彼女の蜜孔に先端を押し込んだ。
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