507 / 1,549
第九部・贖罪 編
乖離する体と心 ☆
しおりを挟む
胸元が濃い赤色でいっぱいになる頃、香澄は佑の指によって何度も絶頂を味わっていた。
「……これで明日、あいつらとデートするの許そうか」
胸元いっぱいについたキスマークを見て、佑が悪辣に笑う。
そんな表情すら、好きで堪らない。
「……ゆるして……くれる?」
濡れた手で佑の髪を撫で、わざと彼の耳に色めいた声を囁き込んだ。
「……香澄がバックでさせてくれるなら」
クリュ……と弱点を指で擦り、佑が目を細める。
はふ……はふ、と呼吸を整えた香澄もとろけた顔で微笑み、佑にキスをしてから腰を上げた。
「ん……」
浴槽の中で立ち、香澄は縁に手を掛けて壁を向く。
少し俯くと、自分の胸元に佑の所有印がたくさん刻まれているのが見える。
勲章でももらったような気持ちで誇らしげに微笑み、佑が挿入しやすいようにお尻を突き出した。
「入れるよ」
香澄のお尻を両手で撫で回していた佑が、片手で腰を支え、片手を自身の屹立に添えて先端を蜜口に押しつける。
「ん……きて……」
壁を向いて期待で胸をドキドキさせていると、今は佑の事で頭が一杯のはずなのに、なぜだかマティアスの顔がふぅっと浮かび上がった。
「――――」
何とも言えない気持ちになった時、ずにゅうっと佑が侵入してくる。
「……っは、――ぁ、あ、…………ぁ、おっき……ぃ」
唇をわななかせ、香澄は目を閉じて佑を蜜壷で味わう。
脳裏に浮かんだマティアスの顔を、心の中で頭をブンブンと振り追い払った。
「きつ……。ヌルヌルだ」
佑の気持ちよさそうな声が嬉しい。
ヌルヌル――、していた。
自分のお腹にかけられた、マティアスの精液も。
「……ぅ……んっ」
香澄はゆるく首を振り、雑念を追い払おうとする。
「動くぞ」
佑がゆっくりと腰を送り始め、クチュクチュと蜜が掻き混ぜられる音がし始める。
気持ちいい場所を先端が擦り、押し上げてくる。
「ん……っ、ぁあ、あ……っ、いぃ、きもち……っ」
――ゾクゾクする。
けれどそれは、素直に喜べる感覚ではなかった。
佑に愛されて感じているからか、不愉快な記憶で体が震えているのか、どちらか分からない。
ヌチュグチュという淫音も、いつもなら自分が彼の愛の行為に感じている音だと思え、よりいっそう感じた。
それなのに今は他人事のように思え、どこか遠くで聞こえているようだ。
「あ……っあ、ぁあ、ああ、あ、あ、んっ、……ぁ」
嬌声を上げていても、わざとらしく感じる。
――集中できない。
――申し訳ない。
俯いたまま目を開くと、浴槽の縁にしがみついている自分の手が見えた。
――あの時。
――自分で自分の蜜口に触れて、濡れているかどうかを確かめた。
――濡れていた。
――いま佑に感じてこんな恥ずかしい音が出ているのは、感じてたっぷり濡れているから。
――じゃあ、あの時も自分は眠りながらマティスに感じていた?
そこまで考えて、香澄はギュッと目を閉じた。
――考えたくない。
――なにも、考えたくない。
「……香澄?」
佑が上体を倒して耳元で囁いてくる。
たぷたぷと胸を揉み、香澄の快楽を促すように乳首の先端をなぞった。
「ん……っ、きもち……よ」
小さくかすれた声で返事をすると、タン……と腰が一度ぶつかり、佑が動きをとめた。
「……気持ち良くないなら、やめようか。無理にしたくない」
「え……っ? やだ、大丈夫だよ? なに……何言ってるの?」
心を見透かされた気持ちになり、ドキッと心臓が跳ね上がった。
けれど中途半端にされるのも嫌で、気持ちがバラバラのまま佑に続きをねだる。
だが佑はズルリと屹立を引き抜き、微かに溜め息をつく。
「…………っ」
その〝失望させてしまった〟という感覚が、香澄の心にぞあっと凄まじい恐怖と不安を呼んだ。
「……これで明日、あいつらとデートするの許そうか」
胸元いっぱいについたキスマークを見て、佑が悪辣に笑う。
そんな表情すら、好きで堪らない。
「……ゆるして……くれる?」
濡れた手で佑の髪を撫で、わざと彼の耳に色めいた声を囁き込んだ。
「……香澄がバックでさせてくれるなら」
クリュ……と弱点を指で擦り、佑が目を細める。
はふ……はふ、と呼吸を整えた香澄もとろけた顔で微笑み、佑にキスをしてから腰を上げた。
「ん……」
浴槽の中で立ち、香澄は縁に手を掛けて壁を向く。
少し俯くと、自分の胸元に佑の所有印がたくさん刻まれているのが見える。
勲章でももらったような気持ちで誇らしげに微笑み、佑が挿入しやすいようにお尻を突き出した。
「入れるよ」
香澄のお尻を両手で撫で回していた佑が、片手で腰を支え、片手を自身の屹立に添えて先端を蜜口に押しつける。
「ん……きて……」
壁を向いて期待で胸をドキドキさせていると、今は佑の事で頭が一杯のはずなのに、なぜだかマティアスの顔がふぅっと浮かび上がった。
「――――」
何とも言えない気持ちになった時、ずにゅうっと佑が侵入してくる。
「……っは、――ぁ、あ、…………ぁ、おっき……ぃ」
唇をわななかせ、香澄は目を閉じて佑を蜜壷で味わう。
脳裏に浮かんだマティアスの顔を、心の中で頭をブンブンと振り追い払った。
「きつ……。ヌルヌルだ」
佑の気持ちよさそうな声が嬉しい。
ヌルヌル――、していた。
自分のお腹にかけられた、マティアスの精液も。
「……ぅ……んっ」
香澄はゆるく首を振り、雑念を追い払おうとする。
「動くぞ」
佑がゆっくりと腰を送り始め、クチュクチュと蜜が掻き混ぜられる音がし始める。
気持ちいい場所を先端が擦り、押し上げてくる。
「ん……っ、ぁあ、あ……っ、いぃ、きもち……っ」
――ゾクゾクする。
けれどそれは、素直に喜べる感覚ではなかった。
佑に愛されて感じているからか、不愉快な記憶で体が震えているのか、どちらか分からない。
ヌチュグチュという淫音も、いつもなら自分が彼の愛の行為に感じている音だと思え、よりいっそう感じた。
それなのに今は他人事のように思え、どこか遠くで聞こえているようだ。
「あ……っあ、ぁあ、ああ、あ、あ、んっ、……ぁ」
嬌声を上げていても、わざとらしく感じる。
――集中できない。
――申し訳ない。
俯いたまま目を開くと、浴槽の縁にしがみついている自分の手が見えた。
――あの時。
――自分で自分の蜜口に触れて、濡れているかどうかを確かめた。
――濡れていた。
――いま佑に感じてこんな恥ずかしい音が出ているのは、感じてたっぷり濡れているから。
――じゃあ、あの時も自分は眠りながらマティスに感じていた?
そこまで考えて、香澄はギュッと目を閉じた。
――考えたくない。
――なにも、考えたくない。
「……香澄?」
佑が上体を倒して耳元で囁いてくる。
たぷたぷと胸を揉み、香澄の快楽を促すように乳首の先端をなぞった。
「ん……っ、きもち……よ」
小さくかすれた声で返事をすると、タン……と腰が一度ぶつかり、佑が動きをとめた。
「……気持ち良くないなら、やめようか。無理にしたくない」
「え……っ? やだ、大丈夫だよ? なに……何言ってるの?」
心を見透かされた気持ちになり、ドキッと心臓が跳ね上がった。
けれど中途半端にされるのも嫌で、気持ちがバラバラのまま佑に続きをねだる。
だが佑はズルリと屹立を引き抜き、微かに溜め息をつく。
「…………っ」
その〝失望させてしまった〟という感覚が、香澄の心にぞあっと凄まじい恐怖と不安を呼んだ。
32
お気に入りに追加
2,546
あなたにおすすめの小説
『逃れられない淫らな三角関係』番外編 ヘルプラインを活用せよ!
臣桜
恋愛
『逃れられない淫らな三角関係』の番外編です。
やりとりのある特定の読者さまに向けた番外編(小冊子)です。
他にも色々あるのですが、差し障りのなさそうなものなので公開します。
(他の番外編は、リアルブランド名とかを出してしまっている配慮していないものなので、ここに載せるかは検討中)
地味女で喪女でもよく濡れる。~俺様海運王に開発されました~
あこや(亜胡夜カイ)
恋愛
新米学芸員の工藤貴奈(くどうあてな)は、自他ともに認める地味女で喪女だが、素敵な思い出がある。卒業旅行で訪れたギリシャで出会った美麗な男とのワンナイトラブだ。文字通り「ワンナイト」のつもりだったのに、なぜか貴奈に執着した男は日本へやってきた。貴奈が所属する博物館を含むグループ企業を丸ごと買収、CEOとして乗り込んできたのだ。「お前は俺が開発する」と宣言して、貴奈を学芸員兼秘書として側に置くという。彼氏いない歴=年齢、好きな相手は壁画の住人、「だったはず」の貴奈は、昼も夜も彼の執着に翻弄され、やがて体が応えるように……
【R18】深層のご令嬢は、婚約破棄して愛しのお兄様に花弁を散らされる
奏音 美都
恋愛
バトワール財閥の令嬢であるクリスティーナは血の繋がらない兄、ウィンストンを密かに慕っていた。だが、貴族院議員であり、ノルウェールズ侯爵家の三男であるコンラッドとの婚姻話が持ち上がり、バトワール財閥、ひいては会社の経営に携わる兄のために、お見合いを受ける覚悟をする。
だが、今目の前では兄のウィンストンに迫られていた。
「ノルウェールズ侯爵の御曹司とのお見合いが決まったって聞いたんだが、本当なのか?」」
どう尋ねる兄の真意は……
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
義兄に甘えまくっていたらいつの間にか執着されまくっていた話
よしゆき
恋愛
乙女ゲームのヒロインに意地悪をする攻略対象者のユリウスの義妹、マリナに転生した。大好きな推しであるユリウスと自分が結ばれることはない。ならば義妹として目一杯甘えまくって楽しもうと考えたのだが、気づけばユリウスにめちゃくちゃ執着されていた話。
「義兄に嫌われようとした行動が裏目に出て逆に執着されることになった話」のifストーリーですが繋がりはなにもありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる