上 下
484 / 1,549
第九部・贖罪 編

祖父からの電話 ☆

しおりを挟む
「だっ……め、ぁ、――――あぁああっ、だめぇっ、やぁ、なのぉっ」
「『駄目』じゃない。もっと自由に感じていいよ。もっと締め付けて、奥まで呑み込んで、好きなだけ感じるんだ」
「うぅううーっ! あぁあぁっ、あぁっ、ああぁーっ、だめぇっ、やぁ、……めぇっ」

 とうとう香澄は土下座でもするかのように頭を床につけ、ただ背後から佑に穿たれるのみとなった。
 佑は香澄の体の両側に手をつき、は、は、と浅い呼吸を繰り返して一心不乱に突き上げる。
 感じすぎてどうにかなってしまいそうな香澄は、ただ媚肉をヒクつかせ感じるしかできない。

「は、ゃ――く、達ってぇっ、たすっ、……く、さっ、達ってよぉっ」
「香澄は我が儘だな」

 クスクスと笑われるのが、今ばかりは憎たらしい。
 自分はこんなに感じてつらいというのに、彼は一向に絶頂する気配を見せない。

 ハァハァと息を乱した香澄は、つらくなって床の上で力尽きる。

 すると佑も床の上に寝そべり後側位になった。
 太腿が抱え上げられ、そこにまた佑の一物がずんっと深くまでねじこまれる。

「――――っぁあ……っ」

 弛緩しきった香澄は、もう打ち上げられた魚のように無抵抗を貫くしかできない。

「香澄……っ、気持ちいい……っ」

 後ろから佑の獣じみた呼吸が聞こえ、ズチュズチュと屹立が抜き差しされる。
 感じる場所ばかりを執拗に突き上げられ、香澄はもう半ば気絶していた。
 顔は涙でぐちゃぐちゃになり、開いた口端から糸を垂らしてただ感じるしかできない。

「ゆる――――し、てぇ、も……やぁ……っ、――ああぁあああぁっ!」

 そこでまたぬるついた秘玉を転がされ、悲鳴のような声が出た。
 思いきり佑を締め付け、何度目か分からない絶頂に飛んだからだろうか――。

「っぁ、……あぁ……」

 思い切り締め付けられた佑が、耳元で艶冶な声を出しブルッと震える。

「ん……、――ン…………ぁ、……あぁ……」

 思い切り抱き締めてきた佑が、自分の中でビクビクと震えているのを感じ、香澄はとうとう体のすべての力を抜いた。

 最奥でジワァ……と温かいものが広がってゆく感覚に、多幸感を得る。

 佑の唇が首筋や耳、頬につけられ、さらに乳房を揉まれる。

 彼はまだ快楽の残滓を楽しもうとしていたが、香澄にはそんな余裕はない。

 冷たい床に火照った体を押しつけ、ただただ沈静の時を味わっていた。





 目覚めると、見慣れた寝室に寝かされていた。

 室内は薄暗く、身じろぎをしたからか隣に寝ていた佑がすぐに反応する。

「水、飲めるか?」

 衣擦れの音がしてベッドがたわみ、ペットボトルのキャップが開けられる音がする。

「……うん……」

 小さく応えた声は、かすれていた。

 何とか起き上がって水を飲もうとするが、腰が立たない。
 手でサリサリとシーツを掻いていると、佑が香澄の顔を包み角度をつける。

 そのあと唇が重なり、口内に少し水が入ってきた。
 零さないようにそれを嚥下すると、また僅かに水が入る。
 喉が潤った頃になり彼の後頭部をトントンと撫でると、逆に頭を撫で返されて唇が離れていった。

 ゴクッと口内に溜まっていた水を嚥下する音がすると、佑の優しい声がした。

「ゆっくりおやすみ。何も恐れなくていいから」
「……うん……」

 すべてを委ねられる声に言われるまま、香澄はまた意識を闇に落としていった。



**



 それから数日後、佑のもとにアドラーから連絡があった。

『節子がいない。そっちに行っていないか』

 あれほど連絡をするなと言って了承され、大人しくしていたと思っていたのに、やはり最愛の節子がいなくなり動揺しているようだ。

 そのとき佑は出張で大阪に来ていた。
 夜になりホテルで落ち着いていた時だったので、不機嫌になろうが誰にも迷惑は掛けない。

「……勝手なもんだよな。俺と香澄に迷惑をかけた事よりも、オーマが大事……か」

 ある意味、一人の男として正解なのだろう。

 だがあれだけの事をしておいて、妻がいなくなって佑に向かって助けを求めるなどむしが良すぎる。
しおりを挟む
感想 556

あなたにおすすめの小説

『逃れられない淫らな三角関係』番外編 ヘルプラインを活用せよ!

臣桜
恋愛
『逃れられない淫らな三角関係』の番外編です。 やりとりのある特定の読者さまに向けた番外編(小冊子)です。 他にも色々あるのですが、差し障りのなさそうなものなので公開します。 (他の番外編は、リアルブランド名とかを出してしまっている配慮していないものなので、ここに載せるかは検討中)

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

【R18】深層のご令嬢は、婚約破棄して愛しのお兄様に花弁を散らされる

奏音 美都
恋愛
バトワール財閥の令嬢であるクリスティーナは血の繋がらない兄、ウィンストンを密かに慕っていた。だが、貴族院議員であり、ノルウェールズ侯爵家の三男であるコンラッドとの婚姻話が持ち上がり、バトワール財閥、ひいては会社の経営に携わる兄のために、お見合いを受ける覚悟をする。 だが、今目の前では兄のウィンストンに迫られていた。 「ノルウェールズ侯爵の御曹司とのお見合いが決まったって聞いたんだが、本当なのか?」」  どう尋ねる兄の真意は……

地味女で喪女でもよく濡れる。~俺様海運王に開発されました~

あこや(亜胡夜カイ)
恋愛
新米学芸員の工藤貴奈(くどうあてな)は、自他ともに認める地味女で喪女だが、素敵な思い出がある。卒業旅行で訪れたギリシャで出会った美麗な男とのワンナイトラブだ。文字通り「ワンナイト」のつもりだったのに、なぜか貴奈に執着した男は日本へやってきた。貴奈が所属する博物館を含むグループ企業を丸ごと買収、CEOとして乗り込んできたのだ。「お前は俺が開発する」と宣言して、貴奈を学芸員兼秘書として側に置くという。彼氏いない歴=年齢、好きな相手は壁画の住人、「だったはず」の貴奈は、昼も夜も彼の執着に翻弄され、やがて体が応えるように……

ハイスペック上司からのドSな溺愛

鳴宮鶉子
恋愛
ハイスペック上司からのドSな溺愛

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

義兄に甘えまくっていたらいつの間にか執着されまくっていた話

よしゆき
恋愛
乙女ゲームのヒロインに意地悪をする攻略対象者のユリウスの義妹、マリナに転生した。大好きな推しであるユリウスと自分が結ばれることはない。ならば義妹として目一杯甘えまくって楽しもうと考えたのだが、気づけばユリウスにめちゃくちゃ執着されていた話。 「義兄に嫌われようとした行動が裏目に出て逆に執着されることになった話」のifストーリーですが繋がりはなにもありません。

辣腕同期が終業後に淫獣になって襲ってきます

鳴宮鶉子
恋愛
辣腕同期が終業後に淫獣になって襲ってきます

処理中です...