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第九部・贖罪 編

安心して俺の腕の中で乱れて ☆

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 普段なら、こんなにはしたなく求めないだろう。
 だが数週間ぶりに佑と交わると体が分かっていたのか、今は理性をかなぐり捨て、より強い快楽を求めていた。

「分かった。ただし、痛かったらちゃんと言って」
「んっ、分かった……っ」

 ちゅ……っと濡れた唇同士を合わせ、吐息が交じり合う。
 佑は「気持ちいい……」と呟いて上体を起こし、トントンと香澄の最奥を亀頭で押し上げてきた。

「あっ! ぁ、あ……っ、き……もちぃ……っ、もっと……っ」

 香澄は無意識に佑を煽り、自ら貪婪に腰をくねらせる。
 広い寝室にグチュグチュと濡れた音が響き、二人の荒い呼吸が重なった。
 佑が突き上げるごとに香澄の胸が弾み、桜色の先端が踊る。

「香澄……っ、気持ち良くなって……。何度でも……達っていいから……っ」

 柔らかく解れた蜜洞のある一点を、佑は「知っている」という顔で何度も突き上げた。

「あぁーっ、ぁ、あぁあぁ……っ、そこ……っ、そこ、ぁ、あぁ……っ」

 頭を左右に振って髪を乱し、香澄は悶える。
 細い指がシーツを引っ掻き、上等な布が擦れる高い音がした。

 ――気持ちいい。
 ――熱い。

 胸を満たす幸福感に、香澄は快楽と二重の意味で涙を零す。
 より深い悦楽を求めるために、自ら乳首に指を這わせ、尖った先端を優しく撫でた。

 上になっている佑は食い縛った歯の間から息を漏らし、気持ちよさそうな吐息をついている。
 たまに聞こえる「あぁ……」という掠れた声が、香澄の本能に火をつけた。

 パンパンという打擲音が高まり、突き上げる強さも増している。

「達く……っ、達くっ、また……っ、ぁ、――――ア!」

 何度も小さな絶頂を味わっていた香澄は、最奥で得る悦びにギュッと目を瞑り、佑を締め上げた。
 結合部でブジュッと蜜が弾け、佑が獰猛にうなる。
 最奥がビクビクと痙攣しているのに、佑は舌なめずりをして香澄の肉芽をいじめてきた。

「っひぃ――――っ、ぁ、あぁあぁっ!」

 まるまると膨れ上がった肉真珠を撫でられ、香澄は力の入った足でシーツを蹴った。
 本能的に体が佑から逃げようとしているが、彼は腰をしっかりと掴み逃がしてくれない。

「達っていいよ。安心して俺の腕の中で乱れるんだ」
「やだぁっ、そんっ、……そんな……っ、ぁっ、あっ、っっ――――んんんんぅぅーっ!」

 最奥を亀頭でグリグリと捏ねられ、敏感な肉真珠を指の腹で撫でられる。
 這い上がれない快楽地獄に突き落とされ、香澄は涙も涎も構わず流し、悶え狂った。
 とうとうプシャッと小さな孔からしぶきを上げ、あまりの恥辱に悲鳴を上げる。

「いやぁああぁーっ!!」

 ――恥ずかしい。
 ――恥ずかしくて死んでしまいそう。

 ――だけど、気持ちいい。
 ――愛されて、最高に幸せ。

 自分のどんな姿を見ても幻滅しない佑にどっぷりと甘え、香澄は前後不覚になったまま嬌声を上げ続けた。

 そしてとうとう佑もあまりの締め付けに「ぐぅっ」とくぐもった呻き声を上げる。
 睨むと言っていいほど強い目で香澄を見つめ、眉間に皺を寄せ射精した。

 何度も強烈な波濤に襲われ、香澄は戻ってこられない。
 そんな中、敏感になりすぎた場所で佑の屹立がビクビクと震えるのを感じる。
 それだけでまた深い法悦を覚えた。

(……直接……、欲しいな……)

 薄れゆく意識のなか、香澄は淫らな願望を抱く。

 快楽の残滓に身を任せ、意識はゆっくりと眠りの淵に沈下していった。
 目を閉じても愛する人が側にいるから、もう怖くないと分かっている。

 絶頂後の一番無防備な姿を晒した香澄は、自分の鼓動に耳を澄ませ、佑の息づかいを聞いて――そっと笑みをはいた。



**



 ――夢を見ていた。

 誰かの大きな手に太腿を開かれ撫でられた。

 その手の主は佑かもしれない。
 だが夢の中の相手の顔は分からず、香澄は幸せ……とは言えない気持ちで行為をしていた。

「大丈夫かな?」「この人で大丈夫?」そんな不安が常に胸を圧迫する。

 夢の中の室内は、心情を表したかのように薄暗い。

 セックスをしているという感覚は、夢の中では味わわなかった。
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