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第九部・贖罪 編

ゴムしてたっけ? ☆

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 場所は佑の寝室で、彼の匂いに包まれている。
 ウードとベルガモッドをベースにした、男の妖艶な香りだ。

(この匂い好き……)

 深く息を吸い込み、佑の気配を思いきり感じる。
 そして香澄は息を吐き出すのと同時に「あぁああぁ……っ」と悩ましい声を漏らした。

 腰が妖しくくねり、足が上等なシーツの上を滑る。
 脚を閉じようとしても佑の腰があり、叶わない。
 代わりに愛しいそれを膝頭でスリスリと擦った。

「奥、気持ちいいか?」
「ん……っ、き、……もち、ぃ……っ」

 指先で柔らかく濡れた襞をくすぐられると、トプリと蜜が溢れ出て佑のを指を濡らす。
 お腹の奥が切なくてキュンキュンと疼き、香澄は甘ったるい声を上げ頻りに腰を揺らした。

 まるで軟体動物になったかのようだ。
 佑の指一本で甘く啼き、ぐねぐねと体を蠢かせて彼の愛を乞う。

「も……、い、から……っ、ちゃんと濡れたから……っ、入れて……っ、おね、……がいっ」

 香澄は指で達かせようとする佑の腕を掴み、首を横に振って早く繋がりたいと望んだ。

「でも香澄、まだ達ってないじゃないか」

 クチュプチュと香澄の蜜壷を擦りながら、佑は物言いたげにジッと見つめてくる。

「いいからぁ……っ、ぉ、お願い……っ、佑さんが欲しいのっ」

 わななく唇で、香澄はなんとかおねだりの言葉を絞り出した。

「ん……、分かった」

 佑は指を引き抜いたあと、いつものように亀頭を蜜口に押し当てて――、ハッと体を強張らせた。

「ど……したの」

 焦らされた香澄は、ムズムズと腰を揺らし尋ねる。

「少し、待って」

 佑は腕を伸ばしてベッドサイドの引き出しから、避妊具を取り出した。
 慣れた手つきで装着する姿を見て、香澄はぼんやりとしたまま尋ねる。

「あれ……? ゴム……してたっけ」
「してたよ。大丈夫だから、体を預けて」

「うん……」

 ピルを飲むタイミングをなくしてしまった事も、香澄は忘れている。

 霧がかかった頭の中で、佑の行動を「いつもと違うな」とは思っていた。
 けれど「大丈夫」と優しく言われると、「それでいいや」とすぐに考える事を放棄してしまった。

 やがてとろけた場所に先端が押しつけられ、ぐぅっと押し入ってくる。

「ン! ……ん、……ぁ、ああぁっ」

 佑の屹立ならいつも受け入れているのに、なぜだかとても大きく感じた。
 粘膜が引き延ばされる感覚がきつく、思わず佑の首に両腕を回し、ぎゅうっと抱き締める。

「大丈夫か?」

 耳元で濡れた声が気遣い、香澄は、ハ、ハ、と呼吸を整えながら小さく頷いた。

「入れる……けど、つらかったらちゃんと言って」

 佑の声が熱でかすれている。
 彼も興奮してくれているのだと思うと、香澄は嬉しくて泣きたくなった。

「きて……っ、最後、……まで、ちゃんと、……愛して……っ」

 彼がやりやすいように、香澄はできるだけ脚を広げて腰を浮かせた。
 その気持ちが通じたのか、佑は大きな屹立を前後させ、着実に埋めてゆく。

「ア……、あぁ……っ、あ、入って、る……。うれ、し……っ」

 隘路をみっちりと押し広げ、彼の分身が自分の体内に入り込んでくる。
 それだけで全身が酷く震え、興奮のあまり達してしまいそうだった。

 ――いや、香澄はピクピクと子宮をわななかせ、今にも絶頂のきざはしを駆け上がろうとしている。

「香澄……っ」
「ン――――っ、んっ、んっあぁああ……っ!」

 だが最奥に硬い亀頭がとちゅっと当たり、耳元で佑が自分の名前を呼んだだけで、堪えていたものはあっけなく弾けた。
 大きな波に襲われて一瞬頭の中が真っ白になり、香澄は何かを叫んで佑にしがみつく。

 あまりの気持ちよさ、そして自分が自分でなくなりそうな恐ろしさに、彼の背中を引っ掻いたかもしれない。
 気が付くと香澄は脚を彼の腰に絡めてしがみつき、いまだ奥底に残る絶頂の残滓に打ち震えていた。

 強すぎる悦楽を得た彼女を、佑は過保護なほどに心配してくる。

「……やめておくか?」
「やっ、やだ……っ、して……っ、最後まで、……ちゃんと、シてっ」

 香澄はタガが外れたように佑の髪を撫で、カクカクと自らの腰を押しつけて彼の愛を乞う。
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