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第九部・贖罪 編

もったいないぐらい ☆

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「俺も詳しくは分からないが、搾ったら出たり、普通に過ごしていても漏れ出る事があるみたいだ」
「ふぅん……。吸う赤ちゃんもいないのにね?」

 不思議そうに呟き、香澄は自分の指をちゅっと口に含んでみた。

 佑はそれをガン見してくる。

「……あ、味するのか?」

 興味津々な彼に、香澄はさらりと尋ねた。

「ううん、特に。……吸ってみる?」
「え……。い、いいのか?」

 佑が何か微妙な顔をしているので、香澄は仰向けになったまま首を傾げる。

「吸いたくない?」
「す、吸いたい!」

 薄闇の中、佑の顔が赤くなっているのが分かった。

「……きて」

 しなやかな腕(かいな)を伸ばし、香澄は佑を誘う。
 彼は香澄の体の両側に手を突き、背中を丸めて――そっと乳首に吸い付いた。

「ん……」

 ちゅう、と乳首を吸われる感覚に体が妖しくさざめく。
 佑の温かな舌が乳首を舐め回し、ときおり吸引してくる。

「……どう? おっぱい出てる?」

 香澄の問いに、佑はハァ……と息継ぎをして上目遣いに彼女を見やった。
 その熱のこもった視線に、お腹の奥が甘く疼く。

「……揉んでもいい?」
「いいよ」

 サラサラと佑の髪を撫でて快諾すると、佑が胸を捏ね回してきた。

「ん……、ぅ。……う」

 両方の乳房を揉み、佑は両方の乳首を交互に舐める。
 ちゅう、ちゅばっと恥ずかしい音がし、香澄の耳を辱めてくる。

「……出てるの?」
「ん……」

 乳首を口に含んだまま佑が頷き、彼の舌がチロチロと乳首に這わされた。

「あ……っ、ぁ……、ん……。ン……」

 香澄も徐々に体を熱くさせ、何度も佑の髪を掻き混ぜては腰をくねらせる。

〝今〟がどんな状況で、自分がどうなっているのか分からない。
 ただ頭に思い浮かぶのは、「佑さんがほしい」という願いのみだった。

 佑は最後に香澄の胸を集めてチュッチュッと乳首に吸い付くと、覆い被さって深いキスをしてくる。

「ん……っ、ん、ぅ……」

 温かい舌が香澄の舌をまさぐり、それだけで官能の火が呼び起こされる。
 舌を探られ舐め、吸われるだけで、最深部がジュン……と潤うのが分かった。

「ぁ、……は……ン、んぅ」

 息継ぎのタイミングで口腔に溜まった唾を嚥下し、とろけた柔らかい舌を差し出す。
 佑はすぐに香澄の舌を迎え、その手を下に滑らせる。

「ん……」

 括れた腰のラインを撫でられると、尾てい骨の辺りにピリッと甘い電流が走ったかのような感覚がする。
 むっちりとした臀部を何度もさすられ、それだけで蜜がシーツに滴った気がした。

「佑さん……、すき……」

 やっとキスが終わり、解放された唇が彼に想いを伝える。

「俺も好きだよ。愛してる」

 ふ……と彼が優しく微笑み、香澄は泣き出しそうになった。

 今は詳しく思い出せないが、今まで何度も佑を困らせたと思う。
 それなのにこの人はいつでも両手を広げ、「いいからおいで」と無条件で受け入れてくれるのだ。

(もったいない、ぐらいだな……。嬉しい……。好き……)

 言葉にできない代わりに目尻から涙が零れ、ツゥッと耳の方へ伝っていった。
 佑は香澄の涙の意味を察したのか、目元に唇を当てて涙を吸い取ってくれる。

「泣かなくていいよ。俺は何があっても香澄の味方で、香澄を愛してるから」
「……うん」

 くしゃっと泣き笑いの表情になり、香澄は佑の首に縋り付いた。
 愛おしい彼に何度も頬ずりをし、形のいい耳に口づけをする。

「好きだよ……。……っすき。――好きなの……っ。ど、したら……、伝わるかなぁっ」

 ポロポロと涙を零し、香澄は気持ちが伝わらないもどかしさに何度も首を振った。

「本当にすきなの……っ。たくさん迷惑をかけたのに、わたし……っ、ずるいから、それでも佑さんの側にいたいって思っちゃう……っ。ごめんね……っ。それでも好きなの……っ。感謝と恩もとても感じていて……っ、ほんとうに……、……ほんとうに、とっても好きなの……っ」

 ポロポロと、涙も、言葉もこぼれる。
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