【R-18】【重愛注意】拾われバニーガールはヤンデレ社長の最愛の秘書になりました

臣桜

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第八部・イギリス捜索 編

三度目のメール ★

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(結局、私だって短所はあるし、佑さんが関わるとキーッ! ってなっちゃう事もあるし、そういう感じなのかもしれないなぁ。エミリアさんは律さんの事が大好きだったのかもしれないし、嫉妬しちゃったのかも。でも法を犯すような事はしてないし、今は多分問題ないんでしょ? ……だったら)

 親友の麻衣に「香澄は平和主義者という名の甘ちゃんだから、すぐ人を許して疑わないよね」とよく怒られたものだが、常に人を疑って過ごすのも疲れてしまう。

 ただでさえ佑の側にいて、最近では飯山たちの事もあり、常に緊張状態でいるのに嫌気がさしてしまった時期でもある。
 彼女たちの件も一旦落ち着いたようだし、自分から気にしすぎて物事を背負い込むのも、あまり良くないと思い直していた。

 エレベーターに乗ってフロアにつくと、香澄は手洗いに行きたくなってフラフラと表示のある方へ歩き出す。

「香澄?」
「ちょっと……お花を摘みに……」
「花? ……ああ、行っておいで」

 さすがに佑も女性用トイレまでついていけず、心配そうに見守っている。

 彼の様子を見て、エミリアが声を掛けてきた。

『カスミさんお手洗い? 何なら私が付き合うわ。心配でしょう、カイ』
『すまない』

『いいのよ。私もリップを直したかったし。それに、私たちはお酒に強いけれど、私たちのペースに彼女を巻き込んでしまったわね。申し訳ないわ』

 エミリアの言葉を聞き、そういえばドイツ組だけでなく御劔家もべらぼうに酒に強い事を思いだした。
 香澄は他の皆がスイスイ飲んでいるからと言って、焦って自分もお代わりしてしまったのを自覚する。

 背後から佑とエミリアの会話が聞こえ、「いい人だなぁ」と思いつつ香澄は女性のマークがついた入り口に入る。

 すぐにヒールの音がし、エミリアも個室に入ったのが分かる。
 流水音ボタンを押して用を足し、フラフラと個室を出ると磨き上げられた鏡に真っ赤になった自分が映っている。

「あー……」

 やってしまった、と頭のどこかで思うのだが、気持ちがフワフワして理性的に考えられない。

 それでも手を洗っていると、エミリアが出てきて同様に手を洗う。

『大丈夫? バーに行ってジュースを飲むといいわ』
『ありがとうございます』

 何だかんだ世話を焼いてくれるので、さらにエミリアへの好意が増す。
 澪に言われた事への危機感はかなり薄れてしまい、香澄は口紅を塗り直しながら考える。

(いい人なのになぁ……。やっぱり、身内だから余計にそういう感情が強くなっちゃうのもあるのかな。悪意があったとは言い切れないし。意外と、とっても抜けてるドジさんなのかもしれない)

 そう思っていた時、バッグの中でスマホが鳴った。

「ん」

 もしかしたら家族から連絡でも入っているかもしれない。

 そう思ってスマホをチェックするが、コネクターナウには特にこれと言った連絡がない。

 Wメールにバッジがついていたので何気なく開くと――。



『お前は彼に相応しくない。死ね』



「…………」

(せっかくいい気分だったのになぁ……)

 パンパンに膨らんでいた風船が、シュウウウ……としぼんでいくように、気持ちが萎えて冷静になっていく。

『どうしたの?』

 パチンと口紅の蓋を閉じたエミリアが、気遣わしげに見てくる。
 これからまだバーで飲むというのに、心配させてはいけないと思って香澄は無理に微笑んだ。

『いいえ、何でもありません。行きましょうか』

 しかし明らかに気落ちした表情をしていたのか、離れた場所で待っていてくれた佑が、開口一番心配した。

「何かあったか?」

 そんなに顔に出てしまっているだろうか? と思いつつ香澄は「ううん」と首を横に振る。
 佑はエミリアを見て何があったのか無言で尋ねるが、彼女も事情を知らないので首を左右に振るのみだ。

『カスミさん、本当にさっき、スマホは何でもなかったの?』

 エミリアがスマホの事に触れてくる。

「スマホ?」

 佑はすぐにあのメールを思い出したようで、強ばった顔で尋ねてくる。
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