【R-18】【重愛注意】拾われバニーガールはヤンデレ社長の最愛の秘書になりました

臣桜

文字の大きさ
上 下
381 / 1,559
第八部・イギリス捜索 編

情事の翌朝

しおりを挟む
 翌朝、双子は普通に朝の挨拶をしてくつろぎ始めたので、昨晩の音は聞こえていなかったのだな、と安心して朝食の準備を始めた。

 来客中は斎藤はあまり顔を見せないようにしていて、香澄たちが昼間に外出している時にこっそり来て、様々な作り置きを作ってくれている。

 その日の朝食も前日の夜からセットした白米に、斎藤が作ってくれたおかずを温めて食べようと思い、準備をしていた時だった。

「ねぇ、カスミ。恋人と手を切ったのに、堪らなくセックスしたくなった時って、どうすればいい?」

 キッチンで白米を茶碗に盛っている時、いきなりアロイスが尋ねてくる。

「えっ」

 ドキッとした香澄の手が止まり、しゃもじの先からぽとっと白米が落ちる。

(き、聞かれてた!? やっぱり聞かれてた? 筒抜けだった!?)

 焦っている香澄の隣に立っていた佑が、すぐさま切り返す。

「そういう事を香澄に聞くな。本番行為は禁止されてるが、風俗店でも行けばいいだろう」

 彼の返事を聞き、テーブルに箸と箸置きをセットしていたクラウスが肩をすくめる。

「あいにくプロは好みじゃないんだよね。普通の可愛い子とシたい」
「が……っ、我慢っ、して、美里さんに操を立ててくださいっ」

 香澄は動揺しまくっているが、質問されたのでとりあえず返事をする。
 キッチン台の上に落ちた米は、もったいないので自分の茶碗にポイと放り込んだ。

「操ねぇ……」
「操なぁ……」

 だが双子はぼんやりと呟き、盛り付けの終わった皿をテーブルに運ぶ。
 何だかんだ問題発言をしてくるが、家事には協力的なのはありがたい。

「お前らちょっとセックス依存症なんじゃないのか? そろそろ真人間になれ」

 グリルで温めていたフライを皿にのせ、佑がズバッと言う。

「あーあ。カスミの赤いエプロン姿かわいー」
「そそるー」

 佑の言葉を無視し、双子はわざとらしいぐらい明るい声を上げて香澄を褒め称えた。

 どうやら昨晩のはばからない声は、セックスフレンドと手を切った双子に大打撃を与えたようだ。

 したくてもできない。

 香澄からすれば大した問題ではないように思えるが、食事と変わらない感覚で女性と関係していた双子としては、寂しくて堪らないのだろう。

「グ、グラスランドで抱き枕でも発注しましょうか?」

 困った時のネット通販を提案しても、双子は興味なさそうに首を振るだけだ。




 そのあと非常に気まずく朝食をとり、松井が迎えに来て二人は出社する。

「僕ら今日、ホテルのプールででも泳いでるから」
「昼から酒飲もーっと」

 双子が出掛けたあとは離れの警備が施錠する事になっている。

 香澄は気持ちを切り替えて、その日も秘書としての業務に集中するのだった。



**



 幸いな事に盆休み明けの週は佑の出張がなく、香澄も落ち着いて業務に向き合う事ができた。



 そして佑と双子の幼馴染みというエミリアが来日したのは、金曜日の午後の事だった。

 金曜日の業務を終えると、双子から『エミが来たから一緒にディナーにしよう』と連絡が入っていた。

 どうやら三兄妹と陽菜も参加するらしく、久しぶりに皆に会える気がして楽しみだ。

 場所は双子がいつも使用しているホテルの、グリルレストランだ。

 双子に食事に誘われたなら断っていただろう佑も、ドイツからはるばるエミリアが来るるとなると、さすがにきちんと対応せざるを得ないようだ。

 一度御劔邸に戻ってスマートカジュアルの服装に着替えると、二人は日比谷にあるザ・パンテオン東京へ向かった。





「いらっしゃいませ」
「十九時からクラウザーの名前で先に人が来ているはずですが」

 ピシッとグレーのスーツに黒いシャツ、シャンパンゴールドのネクタイで夜の装いを決めた佑が、スタッフに申し出る。
しおりを挟む
感想 560

あなたにおすすめの小説

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

ヤンデレエリートの執愛婚で懐妊させられます

沖田弥子
恋愛
職場の後輩に恋人を略奪された澪。終業後に堪えきれず泣いていたところを、営業部のエリート社員、天王寺明夜に見つかってしまう。彼に優しく慰められながら居酒屋で事の顛末を話していたが、なぜか明夜と一夜を過ごすことに――!? 明夜は傷心した自分を慰めてくれただけだ、と考える澪だったが、翌朝「責任をとってほしい」と明夜に迫られ、婚姻届にサインしてしまった。突如始まった新婚生活。明夜は澪の心と身体を幸せで満たしてくれていたが、徐々に明夜のヤンデレな一面が見えてきて――執着強めな旦那様との極上溺愛ラブストーリー!

ハイスペック上司からのドSな溺愛

鳴宮鶉子
恋愛
ハイスペック上司からのドSな溺愛

忘れたとは言わせない。〜エリートドクターと再会したら、溺愛が始まりました〜

青花美来
恋愛
「……三年前、一緒に寝た間柄だろ?」 三年前のあの一夜のことは、もう過去のことのはずなのに。 一夜の過ちとして、もう忘れたはずなのに。 「忘れたとは言わせねぇぞ?」 偶然再会したら、心も身体も翻弄されてしまって。 「……今度こそ、逃がすつもりも離すつもりもねぇから」 その溺愛からは、もう逃れられない。 *第16回恋愛小説大賞奨励賞受賞しました*

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

一夜の過ちで懐妊したら、溺愛が始まりました。

青花美来
恋愛
あの日、バーで出会ったのは勤務先の会社の副社長だった。 その肩書きに恐れをなして逃げた朝。 もう関わらない。そう決めたのに。 それから一ヶ月後。 「鮎原さん、ですよね?」 「……鮎原さん。お腹の赤ちゃん、産んでくれませんか」 「僕と、結婚してくれませんか」 あの一夜から、溺愛が始まりました。

お見合いから始まる冷徹社長からの甘い執愛 〜政略結婚なのに毎日熱烈に追いかけられてます〜

Adria
恋愛
仕事ばかりをしている娘の将来を案じた両親に泣かれて、うっかり頷いてしまった瑞希はお見合いに行かなければならなくなった。 渋々お見合いの席に行くと、そこにいたのは瑞希の勤め先の社長だった!? 合理的で無駄が嫌いという噂がある冷徹社長を前にして、瑞希は「冗談じゃない!」と、その場から逃亡―― だが、ひょんなことから彼に瑞希が自社の社員であることがバレてしまうと、彼は結婚前提の同棲を迫ってくる。 「君の未来をくれないか?」と求愛してくる彼の強引さに翻弄されながらも、瑞希は次第に溺れていき…… 《エブリスタ、ムーン、ベリカフェにも投稿しています》

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。 そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。 だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。 そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

処理中です...