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第八部・イギリス捜索 編
情事の翌朝
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翌朝、双子は普通に朝の挨拶をしてくつろぎ始めたので、昨晩の音は聞こえていなかったのだな、と安心して朝食の準備を始めた。
来客中は斎藤はあまり顔を見せないようにしていて、香澄たちが昼間に外出している時にこっそり来て、様々な作り置きを作ってくれている。
その日の朝食も前日の夜からセットした白米に、斎藤が作ってくれたおかずを温めて食べようと思い、準備をしていた時だった。
「ねぇ、カスミ。恋人と手を切ったのに、堪らなくセックスしたくなった時って、どうすればいい?」
キッチンで白米を茶碗に盛っている時、いきなりアロイスが尋ねてくる。
「えっ」
ドキッとした香澄の手が止まり、しゃもじの先からぽとっと白米が落ちる。
(き、聞かれてた!? やっぱり聞かれてた? 筒抜けだった!?)
焦っている香澄の隣に立っていた佑が、すぐさま切り返す。
「そういう事を香澄に聞くな。本番行為は禁止されてるが、風俗店でも行けばいいだろう」
彼の返事を聞き、テーブルに箸と箸置きをセットしていたクラウスが肩をすくめる。
「あいにくプロは好みじゃないんだよね。普通の可愛い子とシたい」
「が……っ、我慢っ、して、美里さんに操を立ててくださいっ」
香澄は動揺しまくっているが、質問されたのでとりあえず返事をする。
キッチン台の上に落ちた米は、もったいないので自分の茶碗にポイと放り込んだ。
「操ねぇ……」
「操なぁ……」
だが双子はぼんやりと呟き、盛り付けの終わった皿をテーブルに運ぶ。
何だかんだ問題発言をしてくるが、家事には協力的なのはありがたい。
「お前らちょっとセックス依存症なんじゃないのか? そろそろ真人間になれ」
グリルで温めていたフライを皿にのせ、佑がズバッと言う。
「あーあ。カスミの赤いエプロン姿かわいー」
「そそるー」
佑の言葉を無視し、双子はわざとらしいぐらい明るい声を上げて香澄を褒め称えた。
どうやら昨晩のはばからない声は、セックスフレンドと手を切った双子に大打撃を与えたようだ。
したくてもできない。
香澄からすれば大した問題ではないように思えるが、食事と変わらない感覚で女性と関係していた双子としては、寂しくて堪らないのだろう。
「グ、グラスランドで抱き枕でも発注しましょうか?」
困った時のネット通販を提案しても、双子は興味なさそうに首を振るだけだ。
そのあと非常に気まずく朝食をとり、松井が迎えに来て二人は出社する。
「僕ら今日、ホテルのプールででも泳いでるから」
「昼から酒飲もーっと」
双子が出掛けたあとは離れの警備が施錠する事になっている。
香澄は気持ちを切り替えて、その日も秘書としての業務に集中するのだった。
**
幸いな事に盆休み明けの週は佑の出張がなく、香澄も落ち着いて業務に向き合う事ができた。
そして佑と双子の幼馴染みというエミリアが来日したのは、金曜日の午後の事だった。
金曜日の業務を終えると、双子から『エミが来たから一緒にディナーにしよう』と連絡が入っていた。
どうやら三兄妹と陽菜も参加するらしく、久しぶりに皆に会える気がして楽しみだ。
場所は双子がいつも使用しているホテルの、グリルレストランだ。
双子に食事に誘われたなら断っていただろう佑も、ドイツからはるばるエミリアが来るるとなると、さすがにきちんと対応せざるを得ないようだ。
一度御劔邸に戻ってスマートカジュアルの服装に着替えると、二人は日比谷にあるザ・パンテオン東京へ向かった。
「いらっしゃいませ」
「十九時からクラウザーの名前で先に人が来ているはずですが」
ピシッとグレーのスーツに黒いシャツ、シャンパンゴールドのネクタイで夜の装いを決めた佑が、スタッフに申し出る。
来客中は斎藤はあまり顔を見せないようにしていて、香澄たちが昼間に外出している時にこっそり来て、様々な作り置きを作ってくれている。
その日の朝食も前日の夜からセットした白米に、斎藤が作ってくれたおかずを温めて食べようと思い、準備をしていた時だった。
「ねぇ、カスミ。恋人と手を切ったのに、堪らなくセックスしたくなった時って、どうすればいい?」
キッチンで白米を茶碗に盛っている時、いきなりアロイスが尋ねてくる。
「えっ」
ドキッとした香澄の手が止まり、しゃもじの先からぽとっと白米が落ちる。
(き、聞かれてた!? やっぱり聞かれてた? 筒抜けだった!?)
焦っている香澄の隣に立っていた佑が、すぐさま切り返す。
「そういう事を香澄に聞くな。本番行為は禁止されてるが、風俗店でも行けばいいだろう」
彼の返事を聞き、テーブルに箸と箸置きをセットしていたクラウスが肩をすくめる。
「あいにくプロは好みじゃないんだよね。普通の可愛い子とシたい」
「が……っ、我慢っ、して、美里さんに操を立ててくださいっ」
香澄は動揺しまくっているが、質問されたのでとりあえず返事をする。
キッチン台の上に落ちた米は、もったいないので自分の茶碗にポイと放り込んだ。
「操ねぇ……」
「操なぁ……」
だが双子はぼんやりと呟き、盛り付けの終わった皿をテーブルに運ぶ。
何だかんだ問題発言をしてくるが、家事には協力的なのはありがたい。
「お前らちょっとセックス依存症なんじゃないのか? そろそろ真人間になれ」
グリルで温めていたフライを皿にのせ、佑がズバッと言う。
「あーあ。カスミの赤いエプロン姿かわいー」
「そそるー」
佑の言葉を無視し、双子はわざとらしいぐらい明るい声を上げて香澄を褒め称えた。
どうやら昨晩のはばからない声は、セックスフレンドと手を切った双子に大打撃を与えたようだ。
したくてもできない。
香澄からすれば大した問題ではないように思えるが、食事と変わらない感覚で女性と関係していた双子としては、寂しくて堪らないのだろう。
「グ、グラスランドで抱き枕でも発注しましょうか?」
困った時のネット通販を提案しても、双子は興味なさそうに首を振るだけだ。
そのあと非常に気まずく朝食をとり、松井が迎えに来て二人は出社する。
「僕ら今日、ホテルのプールででも泳いでるから」
「昼から酒飲もーっと」
双子が出掛けたあとは離れの警備が施錠する事になっている。
香澄は気持ちを切り替えて、その日も秘書としての業務に集中するのだった。
**
幸いな事に盆休み明けの週は佑の出張がなく、香澄も落ち着いて業務に向き合う事ができた。
そして佑と双子の幼馴染みというエミリアが来日したのは、金曜日の午後の事だった。
金曜日の業務を終えると、双子から『エミが来たから一緒にディナーにしよう』と連絡が入っていた。
どうやら三兄妹と陽菜も参加するらしく、久しぶりに皆に会える気がして楽しみだ。
場所は双子がいつも使用しているホテルの、グリルレストランだ。
双子に食事に誘われたなら断っていただろう佑も、ドイツからはるばるエミリアが来るるとなると、さすがにきちんと対応せざるを得ないようだ。
一度御劔邸に戻ってスマートカジュアルの服装に着替えると、二人は日比谷にあるザ・パンテオン東京へ向かった。
「いらっしゃいませ」
「十九時からクラウザーの名前で先に人が来ているはずですが」
ピシッとグレーのスーツに黒いシャツ、シャンパンゴールドのネクタイで夜の装いを決めた佑が、スタッフに申し出る。
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