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第七部・双子襲来 編

途中で逃げられると、幾分傷付くんだが? ☆

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 彼の鼻腔にジョン・アルクールの香水が、香澄の体臭と混じってこの上ない媚薬のように香りを放つ。

「あ……っ」

 だがその時になって、匂いの話を持ち出されたせいか、香澄は急に自分が多少なりとも汗を掻いた事を思い出した。

「だ……、だめっ」

 一気に我に返ると、両手で胸元を覆ってソファから下りる。
 佑はポカンとし、宙に浮かせた手をそのままにほんの僅かに固まった。

「……香澄?」
「あ、あの……っ。――シャワー浴びてきますっ」

 だっ……、と走るまではいかないが、香澄は脱げかけたパンティを押さえ、一目散にバスルームに行ってしまった。

「…………風呂」

 残された佑はぽつんと呟き、虚しく残った手でワキワキと宙を握る。

「……香澄の汗なら、全身舐め回しても構わないのに」

 香澄が聞いたら顔を真っ赤にして「変態!」と言う言葉を呟き、佑もソファから立ち上がりゆったりとバスルームに向かった。





「あ……っ、ん、ぁ、あ、あ、……あっ、あ、……あぁっ」

 ザアザアとシャワーが降り注ぐなか、香澄は片脚を抱え上げられ向かい合った佑から貫かれていた。

「香澄? 途中で逃げられると、幾分傷付くんだが?」
「んぅっ……、だ、だって……っ、ぁ、あぁっ」

 さんざん指と舌で蕩かされた場所はたっぷりと潤い、佑の反り返った灼熱を受け入れてジュプジュプと啼く。

 何とか言い訳をしようとするのだが、頭の中が快楽に塗り潰されてまともな言葉が思い浮かばない。
 開いた唇は単語を発する前に甘い啼き声を漏らし、続いて出る嬌声に押されてきちんとした言葉を失ってゆく。

 ――気持ちいい。

 トロンとした目で目の前の麗人を見つめれば、全身からお湯を滴らせた彼は、自分だけを見つめて一心不乱に腰を打ちつけていた。

(こんな格好いい人、独占しちゃってる……)

 あまりの幸せに、香澄は一瞬「もうここで死んでもいいや」と思いかける。
 だがすぐに「死んじゃ駄目だ。これからもっと幸せになるんだから」と小さくかぶりを振った。

「ん? まだ俺以外の事を考える余裕があるのか?」

 その小さな動きに佑が反応し、かぷっと香澄の首筋に噛みついてくる。

「んぁ……っ、あ、……歯……たてちゃダメ……っ」

 じんわりと甘噛みされ、官能が体の中心部へ届く。
 感じ切った体は何をされても敏感に快楽を拾い、香澄にめくるめく世界を見せた。

「駄目か? じゃあ、ここは?」

 尻たぶを掴んでいた指が動き、ふんわりとした尻の谷間を探る。

「ん……っ、ぁ、あぁっ! そこは……っ、も、もっとダメッ!」

 恥ずかしい窄まりを指先で探られ、香澄が顔を仰のけた。

 必死に腰を揺らして逃げようとするのだが、佑に噛みつかれ腰を抱えられ、深くまで貫かれている。背中は壁に押しつけられていた。

 結果、どこにも逃げ場所のない香澄は、佑にさんざん体を弄ばれ嬌声を上げるしかない。

 躾けられた体にゾクゾクッと歓喜が駆け抜け、ブジュリと佑の屹立を締め上げた。

「あ……。締まる。やっぱり香澄は後ろも才能があるな」
「や……っ、やだぁっ。そんな才能いらない……っ」

 しとどに濡れた隘路を野太い男根でゴリゴリと前後され、香澄の唇がわななく。
 シャワーを浴びているというのに、全身からふつふつと汗が浮かんでは流れている気がした。

 ――熱い。

 全身を叩く水滴も、体の中を行ったり来たりする彼の灼熱も、何もかも焼き切れるように香澄を苛んでくる。

 指先は相変わらず不浄の窄まりをくにくにと揉んでは撫で、「ひぃっ」と情けない悲鳴が漏れた。

「あぁあっ! ――っ、や、……だぁっ、そんな……っ、そんっ、ん、ん――っ!」

 堪えきれない淫悦がとぷりと限界を超え、香澄は歯を食いしばって体を震わせる。
 意識とは関係なく腰がガクガクと震え、まるで自ら腰を振り立てて佑のモノを迎えているようだ。

「ん――――、ぁ、…………あ、……あぁ」

 同時に佑も香澄の耳元で低くうめき、ドプドプと膣内に遠慮なく精液を吐き出した。

「あぁ……、あ……。もう……、も……」

 香澄の足からふぅっと力が抜け、後ろ向きに脱力すると共に、佑が支えて一緒に座り込んだ。
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