【R-18】【重愛注意】拾われバニーガールはヤンデレ社長の最愛の秘書になりました

臣桜

文字の大きさ
上 下
348 / 1,559
第七部・双子襲来 編

何もかも佑さんが初めて ☆

しおりを挟む
 よほど神経が図太くなければ、できない相談である。

 だがそれを口にしてしまえば、本当に〝最後〟になってしまう気がした。

 言ってしまえば、「あなたとは住む世界が違うの」だ。

 目に涙を溜めて黙っている香澄を見て、佑は苛立ちを隠せない表情をする。

「俺は香澄を尊重したい。確かに閉じ込めて愛でていたいという想いはあるけれど、実際問題無理だ。香澄の意思を無視して、買い与えた服を着せて何から何まで面倒を見て、外出もさせない、付き合う人も決めるだなんて異常だと分かってる」

「…………っ、うん」

 頷くと、涙が零れた。
 佑は香澄を抱き締め、溜め息をつく。

「オーパと結婚したオーマは、しばらくそういう生活だったそうだ。オーマも古い時代の女性だから、夫の言われるがままになっていた。だがその関係に異を唱えたのは、母たち子供世代だ。オーパは子供に言われてやっと、自分の愛し方が異常なんだと気付いたらしい。愛するあまり大事にしすぎて、オーマが窒息寸前だったのも気付けなかったそうだ」

「……そんな、……事が」

 少し体を離して佑を見ると、彼は苦く笑う。

「少なからず俺にも、アロクラにも、他のクラウザー家の男たちにも、そういう血は流れていると思う。惚れた女は囲い込んで、自分しか見させない。ある意味病んだ愛し方しかできない」

 呪われた血筋のような言い方をされ、「大げさだよ」と言いたいのだが、佑があまりに真剣な顔をしているので何も言えない。

「……だから俺は香澄の意見を聞いて、普通に愛したい。確かに俺の存在は普通じゃないのかもしれない。香澄が俺に遠慮してしまうのも、ある意味分かる。でも俺だって、香澄のバニーガール姿にコロッとやられたとか、香澄が他の男と話してると、すぐ嫉妬するとか、その辺の男と一緒で、普通だ。そんなに特別視する必要はないんだよ。『釣り合わない』なんて考えなくていい」

 肯定され、香澄は震える声で尋ねる。

「……それは、私にだけなの?」
「そんな訳ない」といつもなら逃げ出す気持ちが、震えながら立ち向かおうとしている。

「私は……、佑さんの〝特別〟だって考えていいの? ……っごめんなさい。何度も言わせてるけど。でも、何回も言ってもらって、確かめないと安心できないの。自分に、……っ自信がないのっ」

 情けなさで自分が嫌になりながらも、香澄は懸命に尋ねる。

 それに対し、佑は面倒臭そうな顔もせず、まっすぐに返事をした。

「香澄は特別だよ。後にも先にも、こんなに愛した女はいない」
「――――っ」

 天から一滴の慈雨が降り、額に落ちた気がした。

 そこからじんわりと温かさと優しさが染み渡り、香澄の荒れた心を癒やしていこうとする。

 だが砂漠のような香澄の心は、我慢をしながらももっと多くの言葉と愛情、態度を欲していた。

 どれだけ注がれても満たされない。

 それが分かっているからこそ、香澄は自分から求めることをほぼ禁じていたのだ。

「……っ私もっ、初めてなのっ。こんなに好きになったのも、欲しくて堪らないのも、誰にも渡したくないって思ったのも、人生の絶頂にいると思うほど幸せを感じたのも、何もかも佑さんが初めてなのっ。…………だから、……怖いっ」

 震える香澄を抱き締め、佑は何度も唇を与えた。

「俺も怖いよ。せっかく手に入れた宝石が、誰かに横取りされないかいつも怯えてる。本当は誰の目にも触れない所に隠して、自分一人だけで愛でたいぐらいだ」

 濡れた手に頬を撫でられ、香澄は自ら頬ずりをする。

「……同じ、なの?」
「同じだよ。俺たちはお互いに恋をして、嫉妬して、失う事を恐れている。そこに何の差もない」

 低い声が耳朶に心地良く響く。香澄は佑の胸板にぺたりと掌を押し当てた。

「……私と、佑さんが、……同じ……」

 掌の奥では、トクントクンと佑の鼓動が鳴っている。
 佑も香澄の左の乳房をグッと押し上げ、掌で心臓を探った。

「同じだ。好き合ってどこか気持ちのタガが外れてる。それぐらい、俺たちは想い合っているんだよ」

 浸透していった言葉が、香澄の目に涙を零させる。

「……好き、……だよ」

 泣きながら不器用に笑った香澄は、自ら佑の頬を包み顔を傾けてキスをした。

「ン……」

 ちゅ、ちゅ……と佑の唇を食むと、すぐに彼の舌が香澄を迎えてくれる。
 舌先同士がスリスリと挨拶をしている間、香澄は深々と刺さった熱杭を蜜壷でぐちゅりと喰い締めた。

「ァ……、あ……。ン、あ……っん、ぅ」

 ゆるりゆるりと腰を上下させ、ジェットバスの水面が波立つ。
しおりを挟む
感想 560

あなたにおすすめの小説

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

ヤンデレエリートの執愛婚で懐妊させられます

沖田弥子
恋愛
職場の後輩に恋人を略奪された澪。終業後に堪えきれず泣いていたところを、営業部のエリート社員、天王寺明夜に見つかってしまう。彼に優しく慰められながら居酒屋で事の顛末を話していたが、なぜか明夜と一夜を過ごすことに――!? 明夜は傷心した自分を慰めてくれただけだ、と考える澪だったが、翌朝「責任をとってほしい」と明夜に迫られ、婚姻届にサインしてしまった。突如始まった新婚生活。明夜は澪の心と身体を幸せで満たしてくれていたが、徐々に明夜のヤンデレな一面が見えてきて――執着強めな旦那様との極上溺愛ラブストーリー!

ハイスペック上司からのドSな溺愛

鳴宮鶉子
恋愛
ハイスペック上司からのドSな溺愛

忘れたとは言わせない。〜エリートドクターと再会したら、溺愛が始まりました〜

青花美来
恋愛
「……三年前、一緒に寝た間柄だろ?」 三年前のあの一夜のことは、もう過去のことのはずなのに。 一夜の過ちとして、もう忘れたはずなのに。 「忘れたとは言わせねぇぞ?」 偶然再会したら、心も身体も翻弄されてしまって。 「……今度こそ、逃がすつもりも離すつもりもねぇから」 その溺愛からは、もう逃れられない。 *第16回恋愛小説大賞奨励賞受賞しました*

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

一夜の過ちで懐妊したら、溺愛が始まりました。

青花美来
恋愛
あの日、バーで出会ったのは勤務先の会社の副社長だった。 その肩書きに恐れをなして逃げた朝。 もう関わらない。そう決めたのに。 それから一ヶ月後。 「鮎原さん、ですよね?」 「……鮎原さん。お腹の赤ちゃん、産んでくれませんか」 「僕と、結婚してくれませんか」 あの一夜から、溺愛が始まりました。

お見合いから始まる冷徹社長からの甘い執愛 〜政略結婚なのに毎日熱烈に追いかけられてます〜

Adria
恋愛
仕事ばかりをしている娘の将来を案じた両親に泣かれて、うっかり頷いてしまった瑞希はお見合いに行かなければならなくなった。 渋々お見合いの席に行くと、そこにいたのは瑞希の勤め先の社長だった!? 合理的で無駄が嫌いという噂がある冷徹社長を前にして、瑞希は「冗談じゃない!」と、その場から逃亡―― だが、ひょんなことから彼に瑞希が自社の社員であることがバレてしまうと、彼は結婚前提の同棲を迫ってくる。 「君の未来をくれないか?」と求愛してくる彼の強引さに翻弄されながらも、瑞希は次第に溺れていき…… 《エブリスタ、ムーン、ベリカフェにも投稿しています》

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。 そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。 だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。 そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

処理中です...