【R-18】【重愛注意】拾われバニーガールはヤンデレ社長の最愛の秘書になりました

臣桜

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第七部・双子襲来 編

これは、私のものです

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 パーティーなどで双子の取り巻きに会った事はあるが、中には確かに「この子は本気そうだな」と感じた女性はいた。
 双子の見分けがつき、その片方を真剣に想っていただろうに、可哀相な話である。

 しかし彼らからすれば、「好きなら好きと言わない方が悪い。自分たちは遊び仲間だと思っていたから気付かない」と主張するかもしれない。

「……まぁ、子供じゃないしな。好きな女性は自分で決めるべきだし、仮に本気なら見守るしかないか」
「修羅場にならなきゃいいけど……」

 自分も修羅場に強いタイプではない香澄が、ぼんやりと呟いてラズベリーのカクテルを口にする。
 香澄の言葉を聞き、佑が溜め息混じりに呟いた。

「その時は彼女の味方になってあげよう。俺はあいつらの味方にはならないが、バーテンダーさんの事は……何ていうか、気の毒だから。身内の不始末という事で」

「あはは……」

 結局、双子が何をしても、佑が気を揉むのは変わらないのだった。



**



 一時間ほどバーで過ごしたあと、部屋に戻る事にした。

 香澄はバーを出る際、メモに自分の連絡先を書いて美里に渡した。

「お二人の事で困った時、良かったら連絡をください。力になれるかもしれません」
「ありがとうございます」

 女性だからか、美里は何の警戒もなくメモを受け取ってくれた。

 双子にロックオンされた彼女が、このまま無事でいられるとは思えない。

(頑張って……!)

 心の中で拳を握り、香澄はいまだカウンターに座っている双子をあとに、佑と共にバーを出た。





「……俺も香澄にああいうのされたかったな」

 エレベーターの中で佑がポツリと呟く。

「ん? 〝ああいうの〟って?」
「香澄に『これ、連絡先です』ってされたかった」

「もう、今さら何いってるの」

 香澄はクスクス笑い、彼の腕に腕を絡ませる。

 頭を寄せて甘えながらも、自分の心の奥にまだ黒いものが残っているのを自覚して、小さく息をつく。

 レストランで佑の話を聞き、生まれてしまった嫉妬心はいまだ燻っている。
 何とか軌道修正をして、場所を変えてバーでも普通に話せていたのに……。

 せっかくアルコールで少しハイになっていたのに、これから部屋に戻るとなると気持ちが落ちてくる。

 そして自分が「襲う」と宣言したのも、しっかり覚えていた。

 ポン……と電子音がし、二十二階にエレベーターが到着する。

 スイートルームのドア前で佑がカードキーをかざし、部屋の照明がついたのを確認してから、香澄は佑に抱きついた。

「っ……、かす、……み?」

 彼の背筋に額を押しつけたあと、グリグリとさらに額を擦りつける。

「…………バカ」

 佑の背中に顔を埋めたまま、呟く。
 とんっと背中を拳で打ったけれど、彼は前を向いたままだった。

「……ばか」

 香澄は横を向いて、右頬を押しつけたまま、もう一度呟く。

 そして手を伸ばしたかと思うと、佑のスラックスの上から股間を包んだ。

「……これは、私のものです」

 初歩英語のThis is a pen.のような言い方をし、香澄は手の中のモノをにぎにぎと揉む。

「俺のすべては香澄のものだよ」

 背中越しに彼の低い声が伝わり、それだけで泣きそうになる。

 佑の声が好きだ。
 低くて艶やかで、魅力的な声だ。

 会社で働いていても、社長としての威厳のある声がとても格好いい。

 ――この声が、自分以外の女性の名前を呼んでいたと想像するだけで、胸がどす黒い感情に支配される。

「……名前、呼んで」
「香澄」

「もっと」
「……香澄」

 自分の心の狭さを情けなく思い、香澄はいつのまにか涙を零していた。
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