323 / 1,559
第七部・双子襲来 編
見せつけキス
しおりを挟む
緊張と羞恥で頭がおかしくなりそうなのに、佑に与えられるキスの気持ちよさの方が上回ってしまう。
柔らかでぬめらかな舌に何度も舌をヌルヌルと弄ばれていると、頭の中がボーッとして、何も考えられなくなってきた。
無意識に舌を絡めると、ジュウッと舌を吸われた。
「ぁ……、は……ん。ん、んぅ、ん、ちゅ、……ぁ、は……」
やんわりと佑の頭を抱き締めると、ご褒美と言わんばかりに尻肉を揉みしだかれる。
ぎゅう……と大きな手で揉まれるたびに、花芯からポトリと蜜を滴らせてしまいそうだ。
香澄の腰は揺れ、気持ちが昂ぶってくる。
――と。
「やっべ……。勃つ」
「カスミってこんな色っぽかったの? クソ、あの尻揉みたい」
「――――っ」
双子が背後にいたのを忘れかけていた香澄は、ビクッとして思わず顔を離す。
目の前には咎めるような目をした佑がいて、少し睨まれた。
だが彼は「まぁいいか」と呟いたあと、双子に向かって告げた。
「いいか? 香澄に触っていいのは俺だけだ。ここは俺の家で、俺は香澄に何をしてもいい。お前らは部外者だから、ここにいたいなら常識の範囲内で大人しくしてろ。俺の香澄を見て性欲が溜まったなら、とっととここを出てホテルに戻って女を呼んでくれ」
香澄を抱き締めて顔を見せないまま、佑は御劔邸の主として命令をくだす。
「あー……くっそ。言ってること正論なだけに反論できねぇ」
「僕もカスミに触りたいよ! 抱き締めるだけでいいから!」
わめくクラウスに、佑はにっこり笑って親指で玄関の方を差した。
「Geh raus(出てけ)」
「…………」
きっぱりとした『NO』に、さすがにクラウスも半眼になり黙り込む。
今まで双子におちょくられる事はあっても、佑は香澄に気遣って、それほど強い対応をしないでいた。
だがここは彼の家だ。
不在中に上がり込んで、彼の婚約者に触れていいはずがない。
ここでは佑が法で、香澄が女主人だ。
その法を破ったのなら、幾ら従兄であってもその身に分からせるやり方で、意志を示さなくてはいけない。
「あの……。佑さん。恥ずかしい……」
蚊が鳴くような声で香澄が不満を漏らす。
けれど窘めるようにチュッとキスをされただけだった。
「香澄? 君にはもっと早く報告してもらいたかった。奴らが押しかけてきて逆らえなかったのは想像できるけど、メッセージの一つを飛ばすぐらいできるだろう?」
もう怒ってはいないけれど、佑の言う事はもっともだ。
「ご……、ごめんなさい。日本だし、家から放り出したらどうなるか心配で……」
香澄らしいともいえる答えを聞き、佑は深い溜め息をつく。
「こいつらはもうとっくに成人してるし、金も腐るほど持ってる。来日した時はいつも星のつくホテルに泊まっているし、東京には友達もいる。日本語が話せるから通訳いらずだし、観光がしたければ自分たちで勝手に行動すればいい。腹が減ったら自分で店に行けばいい。香澄が気を遣う相手じゃない。分かる?」
「う……、はい……」
「香澄がお人好しで、つい世話を焼きたがる気持ちは分かる。だが世の男は世話を焼かなくても、一人で旅行を楽しめるから大丈夫だ。君が心を砕くのは、俺一人だけで十分だよ。これ以上ダメンズメーカーになったら駄目だ」
香澄からよく「駄目人間製造機」と言われている意趣返しなのか、とんでもない二つ名を与えられかける。
「ごめんなさい……」
しょんぼり謝った時、なぜか双子がフォローしてきた。
「そう言うなってタスク。カスミはケガしてるのにデートに付き合ってくれたり、ご飯作ってくれたり、一緒にスーパー行って時期でもないゾウニ作ってくれたんだぜ? 部屋も風呂も用意してくれたし、ホテルのコンシェルジュ並みの働きだったよ」
「そうそう。カスミの手料理んまかったなぁ」
フォローしてると思いつつ、双子はさりげなく佑を煽っている。
それに気付かない佑でもなく、ジロリと双子を睨んだ。
「……お前ら、わざとだろ。出張に行ってた俺が一番香澄の手料理食いたいのに……。俺だって雑煮好きなんだよ」
雑煮と言われて、香澄はハッとキッチンの鍋を思い出した。
「あ……あ! 昆布!」
お仕置きですっかり忘れていたが、鍋の中に昆布を入れっぱなしだった。
「昆布?」
香澄は一旦よじよじと佑の膝の上から下りた。
柔らかでぬめらかな舌に何度も舌をヌルヌルと弄ばれていると、頭の中がボーッとして、何も考えられなくなってきた。
無意識に舌を絡めると、ジュウッと舌を吸われた。
「ぁ……、は……ん。ん、んぅ、ん、ちゅ、……ぁ、は……」
やんわりと佑の頭を抱き締めると、ご褒美と言わんばかりに尻肉を揉みしだかれる。
ぎゅう……と大きな手で揉まれるたびに、花芯からポトリと蜜を滴らせてしまいそうだ。
香澄の腰は揺れ、気持ちが昂ぶってくる。
――と。
「やっべ……。勃つ」
「カスミってこんな色っぽかったの? クソ、あの尻揉みたい」
「――――っ」
双子が背後にいたのを忘れかけていた香澄は、ビクッとして思わず顔を離す。
目の前には咎めるような目をした佑がいて、少し睨まれた。
だが彼は「まぁいいか」と呟いたあと、双子に向かって告げた。
「いいか? 香澄に触っていいのは俺だけだ。ここは俺の家で、俺は香澄に何をしてもいい。お前らは部外者だから、ここにいたいなら常識の範囲内で大人しくしてろ。俺の香澄を見て性欲が溜まったなら、とっととここを出てホテルに戻って女を呼んでくれ」
香澄を抱き締めて顔を見せないまま、佑は御劔邸の主として命令をくだす。
「あー……くっそ。言ってること正論なだけに反論できねぇ」
「僕もカスミに触りたいよ! 抱き締めるだけでいいから!」
わめくクラウスに、佑はにっこり笑って親指で玄関の方を差した。
「Geh raus(出てけ)」
「…………」
きっぱりとした『NO』に、さすがにクラウスも半眼になり黙り込む。
今まで双子におちょくられる事はあっても、佑は香澄に気遣って、それほど強い対応をしないでいた。
だがここは彼の家だ。
不在中に上がり込んで、彼の婚約者に触れていいはずがない。
ここでは佑が法で、香澄が女主人だ。
その法を破ったのなら、幾ら従兄であってもその身に分からせるやり方で、意志を示さなくてはいけない。
「あの……。佑さん。恥ずかしい……」
蚊が鳴くような声で香澄が不満を漏らす。
けれど窘めるようにチュッとキスをされただけだった。
「香澄? 君にはもっと早く報告してもらいたかった。奴らが押しかけてきて逆らえなかったのは想像できるけど、メッセージの一つを飛ばすぐらいできるだろう?」
もう怒ってはいないけれど、佑の言う事はもっともだ。
「ご……、ごめんなさい。日本だし、家から放り出したらどうなるか心配で……」
香澄らしいともいえる答えを聞き、佑は深い溜め息をつく。
「こいつらはもうとっくに成人してるし、金も腐るほど持ってる。来日した時はいつも星のつくホテルに泊まっているし、東京には友達もいる。日本語が話せるから通訳いらずだし、観光がしたければ自分たちで勝手に行動すればいい。腹が減ったら自分で店に行けばいい。香澄が気を遣う相手じゃない。分かる?」
「う……、はい……」
「香澄がお人好しで、つい世話を焼きたがる気持ちは分かる。だが世の男は世話を焼かなくても、一人で旅行を楽しめるから大丈夫だ。君が心を砕くのは、俺一人だけで十分だよ。これ以上ダメンズメーカーになったら駄目だ」
香澄からよく「駄目人間製造機」と言われている意趣返しなのか、とんでもない二つ名を与えられかける。
「ごめんなさい……」
しょんぼり謝った時、なぜか双子がフォローしてきた。
「そう言うなってタスク。カスミはケガしてるのにデートに付き合ってくれたり、ご飯作ってくれたり、一緒にスーパー行って時期でもないゾウニ作ってくれたんだぜ? 部屋も風呂も用意してくれたし、ホテルのコンシェルジュ並みの働きだったよ」
「そうそう。カスミの手料理んまかったなぁ」
フォローしてると思いつつ、双子はさりげなく佑を煽っている。
それに気付かない佑でもなく、ジロリと双子を睨んだ。
「……お前ら、わざとだろ。出張に行ってた俺が一番香澄の手料理食いたいのに……。俺だって雑煮好きなんだよ」
雑煮と言われて、香澄はハッとキッチンの鍋を思い出した。
「あ……あ! 昆布!」
お仕置きですっかり忘れていたが、鍋の中に昆布を入れっぱなしだった。
「昆布?」
香澄は一旦よじよじと佑の膝の上から下りた。
44
お気に入りに追加
2,572
あなたにおすすめの小説
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
ヤンデレエリートの執愛婚で懐妊させられます
沖田弥子
恋愛
職場の後輩に恋人を略奪された澪。終業後に堪えきれず泣いていたところを、営業部のエリート社員、天王寺明夜に見つかってしまう。彼に優しく慰められながら居酒屋で事の顛末を話していたが、なぜか明夜と一夜を過ごすことに――!? 明夜は傷心した自分を慰めてくれただけだ、と考える澪だったが、翌朝「責任をとってほしい」と明夜に迫られ、婚姻届にサインしてしまった。突如始まった新婚生活。明夜は澪の心と身体を幸せで満たしてくれていたが、徐々に明夜のヤンデレな一面が見えてきて――執着強めな旦那様との極上溺愛ラブストーリー!


忘れたとは言わせない。〜エリートドクターと再会したら、溺愛が始まりました〜
青花美来
恋愛
「……三年前、一緒に寝た間柄だろ?」
三年前のあの一夜のことは、もう過去のことのはずなのに。
一夜の過ちとして、もう忘れたはずなのに。
「忘れたとは言わせねぇぞ?」
偶然再会したら、心も身体も翻弄されてしまって。
「……今度こそ、逃がすつもりも離すつもりもねぇから」
その溺愛からは、もう逃れられない。
*第16回恋愛小説大賞奨励賞受賞しました*
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

一夜の過ちで懐妊したら、溺愛が始まりました。
青花美来
恋愛
あの日、バーで出会ったのは勤務先の会社の副社長だった。
その肩書きに恐れをなして逃げた朝。
もう関わらない。そう決めたのに。
それから一ヶ月後。
「鮎原さん、ですよね?」
「……鮎原さん。お腹の赤ちゃん、産んでくれませんか」
「僕と、結婚してくれませんか」
あの一夜から、溺愛が始まりました。
お見合いから始まる冷徹社長からの甘い執愛 〜政略結婚なのに毎日熱烈に追いかけられてます〜
Adria
恋愛
仕事ばかりをしている娘の将来を案じた両親に泣かれて、うっかり頷いてしまった瑞希はお見合いに行かなければならなくなった。
渋々お見合いの席に行くと、そこにいたのは瑞希の勤め先の社長だった!?
合理的で無駄が嫌いという噂がある冷徹社長を前にして、瑞希は「冗談じゃない!」と、その場から逃亡――
だが、ひょんなことから彼に瑞希が自社の社員であることがバレてしまうと、彼は結婚前提の同棲を迫ってくる。
「君の未来をくれないか?」と求愛してくる彼の強引さに翻弄されながらも、瑞希は次第に溺れていき……
《エブリスタ、ムーン、ベリカフェにも投稿しています》

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる