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第七部・双子襲来 編

お仕置き ☆

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「月曜の朝って……」

 まだ記憶も生々しい、深く愛し合った夜の翌朝だ。
 それを聞いた佑の頭の中で、ビキッと大きなヒビが入ったのを香澄は知らない。

 ヘーゼルの瞳が何の感情も見せず、ガラス玉のように香澄を凝視する。

「あ……の。です、……ね……」

 苦しげに、掠れた声を絞り出し、香澄は〝何か〟を答えようとする。

「ちょっと来い!」
「きゃっ」

 佑は問答無用で香澄を抱き上げ、お土産の入った袋などもそのままに荒々しく階段を上った。





「んっ……」

 バフンッとベッドの上に下ろされ、その上に佑が覆い被さってくる。

「ちょ、ちょっと待って……」

 勢いに押されて仰向けに倒れると、顎を掴まれる。
 そして佑が怒った顔で見下ろしてきた。

「月曜日の朝、何があった?」
「…………あの」

「いいから。全部言って」

 内心香澄は覚悟を決め、「黙っていた罰なんだ」と自分に言い聞かせる。

「……起きたら、クラウスさんがいました」

 言った瞬間、佑は目をまん丸にする。

「このベッドで? 香澄は裸のまま?」
「……はい」

「Scheise!!(クソ!)」

 佑がドイツ語のスラングで罵り、さらに質問を重ねる。

「その時なにかされた?」
「い、いえ。あちらからは何も……」

 泣きそうになりながらも、香澄はこの上ない絶望を覚えていた。
 双子の相手をしていた時はこんな事になると思っていなかったし、意外と平和な生活を送っているうちに、「大した事じゃないかな?」と思う自分がいた。

 けれど、〝大した事〟だったのだ。

(『別れる』って言われたらどうしよう)

 そんな最悪の事態まで考えた時、さらに佑が詳細を尋ねてくる。

「香澄から何かしたのか?」

 先ほどよりも落ち着いた声で聞く佑は、必死に自分の感情を律してるようだった。
 追い詰められた香澄はどうにも抵抗できず、「何もなかったよ」と嘘をつく事もできずに正直に白状してしまう。

「……隣にいるの、佑さんだと思ってたの。イチャイチャする夢を見てて……。それで、……クラウスさんの……あそこ、触っちゃった……」

「――――」

 佑がゆっくりと息を吸い、静かに長く吐く。
 それから香澄の上から離れ、ベッドの上に胡座をかいた。
 ネクタイを緩めてシャツのボタンを一つ外し、さらに天井を仰いで息を細く長く吐き出す。

「……それで?」

 サラリと髪を掻き上げ、佑はじっとりとした目を向ける。

「な、何もない。佑さんじゃないって思って、悲鳴上げて蹴って追い出した……」
「…………はぁ」

 大きな溜め息をつき、佑は疲れたように背中を丸め眉間を揉む。

「……あの……」

 何か言いかけた時、佑が立ち上がってドアに向かいカチンと鍵を閉めた。

 ベッドに引き返す途中でジャケットを脱ぎ、放り投げる。
 カチャカチャとベルトを外しベッドに乗り上げた所で、香澄は自分が何をされるのか察した。

「あ、あの……。し、下にアロイスさんとクラウスさん……、んぅっ」

 唇が突き出るほど頬を掴まれ、香澄は言いたい事の半分も口にできなかった。

「いいよ。聞かせておく。それに香澄は今、俺に何か反論できる立場じゃないはずだ」

 彼の怒り前にコクコクと頷くと、ようやく顎が放される。
 ワンピースのスカートを捲り上げられ、無造作に下着が引きずり下ろされた。
 佑はワイシャツのボタンすら外さず、自身の屹立を乱暴にしごく。

「あ……の、濡れて……ない」
「じゃあ、濡らそう」

 一ミリも甘くない空気のなか、香澄は足を掴まれ脚を広げられる。

「や、やだ……っ」
「『嫌』じゃない」

 抵抗しようとすると短く言われ、気持ちも体も準備できていない場所に佑の舌が這った。
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