【R-18】【重愛注意】拾われバニーガールはヤンデレ社長の最愛の秘書になりました

臣桜

文字の大きさ
上 下
304 / 1,559
第七部・双子襲来 編

双子の反撃

しおりを挟む
「ただし、その壊滅的な服のセンスとだらしない体型を改めたらね? 俺たちのマスコットガールになるなら、最低限の服のセンスとプロポーションがないと、隣に立つ資格すらないよ」

 笑顔で言い放ったアロイスの言葉に、三人の笑顔が凍った。

(あぁ……)

 香澄は内心頭を抱え、双子の反撃を見守るしかない。

 双子は佑と同じで、やられたら倍以上に返さないと気が済まないタイプだ。

 おまけに彼らは笑顔のままとんでもない毒を吐く。
 相手の気分を害してもなんとも思わない、天性の雰囲気クラッシャーだ。

「僕たちがどうしてカスミと一緒にいるか分かる? 洗練されてて性格も可愛いからだよ。プロポーションがいい上に、好きな男のために健気な努力を惜しまない。しかもそれを『努力してます』って主張せず、いつも控えめだ。そういう日本人の女の子は大好きだよ? もう無条件で愛したいぐらいに」

 脚を組み腕も組んだクラウスは、三人のつま先から頭のてっぺんまでを舐めるように見る。

「まず右側の子。靴が汚い。磨いてない上に踵の内側が傷付いてて、がに股なの丸出し。だから骨盤も歪むしお腹も出てる。スマホばっか見てるからか、首が前に出てて格好悪いよ。背中が曲がってますますお腹が出る。あとトップスをインするのはいいけど、お腹が出てると興ざめだ」

 明野の顔が羞恥に赤くなり、慌てて自分の腹部を押さえ靴を確認する。

「左側の子はラクしようとしてスニーカーでカジュアルに崩してるけど、キレイめコーデに全然合ってなくてぶち壊し。服はそれなりにいい物なのに、アクセサリーがチープすぎてバランスが取れてない。あと丸顔なのに大ぶりのアクセントピアスつけてて、丸い顔が余計丸く見える」

 明野が反射的に、バッとピアスに手を掛けた。
 クラウスの目が捕食者のように、飯山に向けられる。

「真ん中の子は自分の外見を分かってるみたいで、色のセンスもコーディネイトもまぁまぁ合格。高いヒール履いても膝がカクカクしないのは合格点」

 飯山は安堵したように口角を上げる。

「でも臭い! 隠れて煙草吸ってるでしょ? 通っただけでプンプン匂うんだよね。それを誤魔化すように香水つけてるから、ほんっとうに臭い。飲食店来ないでくれる?」

 外見を指摘されるならまだしも、「臭い」と言われて飯山の顔がカァッと赤くなった。

「おまけに煙草吸ってるから、歯が黄ばんでるよ。その様子だとお酒も結構飲むんじゃない? 赤ワインが美味しいのは分かるけど、歯の黄ばみが本当に酷い」

「…………っ」

 図星だったのか、飯山は口を引き結び顔を引き攣らせたまま、何も言わない。
 クラウスが全員のファッションチェックを終えたあと、アロイスがより明るい笑みを浮かべる。

「最低限それを直してダイエットして、性格も叩き直してきたら俺たちの所においで。孔があるなら一回ぐらい使ってあげる」

(うわぁ……)

 最後の最後で下品なとどめがきて、香澄は頭痛を抑えて三人を見やる。

「最っ低。いいのは顔だけの、口うるさい下半身男じゃないの」

 飯山が吐き捨て、席から立ち上がる。

「その最低な男の外見だけ見て、媚びた顔してたのが君たちだろ? どこの国の男かも分からない、知ろうとしない。外見と肩書きだけで判断して、発情期の猫みたいな声を出す。自分たちにワンチャンあると思ってるの? 僕たちが日本語を理解してないと思って、平気で連れを愚弄した。ハッキリ言って君たちみたいな存在、僕たちにとって〝女の子〟でもないただのゴミなんだけど。会話してやっただけでもありがたく思ってくれない?」

 クラウスの言葉のあとにすかさずアロイスが続く。

「だからクビにされるんだよ。外でも社内いじめの延長してるから、人間性の程度が知れる。カスミがタスクに何か一言いったら、自分たちの再就職も絶望的だって考えないの? おめでたいね」

 アロイスの言葉を聞き、益田と明野は佑が自分たちの再就職にまで影響を与えるかもしれないと、考えていなかったようだった。
 彼女たちは香澄に縋るような目を向けてくる。

「あの、赤松さん。今の冗談だから」
「そうそう。赤松さんって社長秘書だし、選ばれた人だなーって思ってるし……」

 見え透いたお世辞を言われ、香澄は何とも言えない気持ちになる。

「私は佑さんに何も言いません。ですから……」

 もうこれ以上、この場の空気を吸っていたくない。
 今にも席を立ちたい気分になったまま、香澄は彼女たちに向ける言葉を考える。

 そもそも佑に告げ口するつもりなどない。

 だが双子に煽られた彼女たちは、香澄から納得する言葉を引き出すまで諦めなさそうな感じがする。

 その時、アロイスが口を開いた。
しおりを挟む
感想 560

あなたにおすすめの小説

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

ヤンデレエリートの執愛婚で懐妊させられます

沖田弥子
恋愛
職場の後輩に恋人を略奪された澪。終業後に堪えきれず泣いていたところを、営業部のエリート社員、天王寺明夜に見つかってしまう。彼に優しく慰められながら居酒屋で事の顛末を話していたが、なぜか明夜と一夜を過ごすことに――!? 明夜は傷心した自分を慰めてくれただけだ、と考える澪だったが、翌朝「責任をとってほしい」と明夜に迫られ、婚姻届にサインしてしまった。突如始まった新婚生活。明夜は澪の心と身体を幸せで満たしてくれていたが、徐々に明夜のヤンデレな一面が見えてきて――執着強めな旦那様との極上溺愛ラブストーリー!

ハイスペック上司からのドSな溺愛

鳴宮鶉子
恋愛
ハイスペック上司からのドSな溺愛

忘れたとは言わせない。〜エリートドクターと再会したら、溺愛が始まりました〜

青花美来
恋愛
「……三年前、一緒に寝た間柄だろ?」 三年前のあの一夜のことは、もう過去のことのはずなのに。 一夜の過ちとして、もう忘れたはずなのに。 「忘れたとは言わせねぇぞ?」 偶然再会したら、心も身体も翻弄されてしまって。 「……今度こそ、逃がすつもりも離すつもりもねぇから」 その溺愛からは、もう逃れられない。 *第16回恋愛小説大賞奨励賞受賞しました*

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

一夜の過ちで懐妊したら、溺愛が始まりました。

青花美来
恋愛
あの日、バーで出会ったのは勤務先の会社の副社長だった。 その肩書きに恐れをなして逃げた朝。 もう関わらない。そう決めたのに。 それから一ヶ月後。 「鮎原さん、ですよね?」 「……鮎原さん。お腹の赤ちゃん、産んでくれませんか」 「僕と、結婚してくれませんか」 あの一夜から、溺愛が始まりました。

お見合いから始まる冷徹社長からの甘い執愛 〜政略結婚なのに毎日熱烈に追いかけられてます〜

Adria
恋愛
仕事ばかりをしている娘の将来を案じた両親に泣かれて、うっかり頷いてしまった瑞希はお見合いに行かなければならなくなった。 渋々お見合いの席に行くと、そこにいたのは瑞希の勤め先の社長だった!? 合理的で無駄が嫌いという噂がある冷徹社長を前にして、瑞希は「冗談じゃない!」と、その場から逃亡―― だが、ひょんなことから彼に瑞希が自社の社員であることがバレてしまうと、彼は結婚前提の同棲を迫ってくる。 「君の未来をくれないか?」と求愛してくる彼の強引さに翻弄されながらも、瑞希は次第に溺れていき…… 《エブリスタ、ムーン、ベリカフェにも投稿しています》

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。 そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。 だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。 そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

処理中です...