【R-18】【重愛注意】拾われバニーガールはヤンデレ社長の最愛の秘書になりました

臣桜

文字の大きさ
上 下
303 / 1,559
第七部・双子襲来 編

三人組と遭遇 ★

しおりを挟む
 彼らといると緊張続きだが、美味しい物を食べてリラックスし、笑顔で会話を続けていた時――。

(げ)

 聞き覚えのある声がしたかと思うと、もう二度と会いたくないと思っていた三人――飯山と子分格の二人、――益田、明野が二階に上がってくるところだった。

『カスミ、知り合い?』

 アロイスがなぜかドイツ語で話し掛けてきたので、香澄もそれに応じる。

『会社の人です』
『へぇ、平日なのにこんな所にいるんだ?』

 クラウスの青い目は何か楽しそうな事を考えるように、キラキラと光っている。

「赤松さん偶然だね。その外人は彼氏? すっごいゴージャスだね?」
「社長がいるのに、双子の外人とよろしくやってるの? 凄いねぇ……」

 なぜだかドン引きされた顔をされ、香澄は慌てて弁明する。

「いえ。こちらは社長の従兄さんなんです。クラウザー社の会長のお孫さんで、『アロクラ』のデザイナー兼社長です」

 できるだけ正確に双子の立場を説明すると、三人の双子を見る目が変わった。

「すっご……。で、こんなに美形なの?」
「赤松さん、なんでそんな人と一緒にランチしてるの?」

 手に取るように三人の羨望が分かり、非常にやりづらい。

「彼らはバカンス中でして。親日家な事もあり、日本に遊びに来られたようです」
「へぇ……。で、東京案内してるんだ? 役得だね?」

「社長はいま出張中なの?」
「はい」

 嘘をつく訳にもいかず、香澄は素直に答える。
 ここで変に誤魔化してバレてしまえば、何を言われるか分からない。

 飯山が皮肉げな顔をし、赤いルージュを塗った唇をせせら笑いの形に歪めた。

「赤松さんがシンデレラガールなのはいいけど、社長がいない隙にハメ外さないようにね? 誰と何をしても勝手だけど、もし証人として何か情報提供するような事があれば、私たち嘘つけないし」

 浮気を疑われ香澄は呆れ顔になる。

「そんな事にはなりません」
「そうそう。社長って赤松さんに本当にご執心みたいだしね? お陰で私たちクビになったけど」

 益田に憎々しげな目で見られ、香澄は「え……っ」と息を呑む。

「知らなかったの? 私たちが赤松さんとちょっと話しただけで、クビにされちゃった。あの時だってちょっと飯山さんの足がぶつかっただけなのにね? 観光地に松葉杖で来る方がどうかしてると思うけど」

「そ……れは……」

 現在進行形の陰湿な言葉も、彼女たちがクビになったという衝撃で頭に入ってこない。

(佑さん、いつの間に……!?)

「私たちをクビにするほど社長に愛されてるんだからさ? 赤松さんもあんまり勘違いされるような事してると、他の人にビッチって言われても仕方ないよ? 外人ってキスとかハグとか当たり前にしてくるんでしょ?」

「そうそう。それだけイケメンでいい体してるから、ちょっと迫られたら赤松さんも断れないんじゃないの?」

 もうクビ宣告されたからか、開き直った飯山たちの言葉は容赦がない。
 カフェなので「ガバガバ」など言わないが、かなり際どい事まで言われている。

 アロイスとクラウスの事も、日本語が分からないと思っているのかお構いなしだ。

「イケメンとかいい体とか、色々ありがとね。お礼に抱いてあげようか?」

 不意に、脚を組んだクラウスがニッコリと微笑みながら、それは流暢な日本語で言い返した。
 飯山たち三人はギョッとし、表情を強張らせる。

「キスもハグも普通に挨拶としてするよ? 〝ガイジン〟だから当たり前にね?」

(あ、やばい)

 双子の声音を聞いただけで、香澄は彼らが苛ついているのが分かった。

 逆に彼らからすれば、北アジア人の顔つきを判別するのは難しいらしい。
 しかし人付き合いをする時は、個人を尊重して名前と顔をきちんと覚えている。

 それなのに飯山たちには〝外人〟と他の国の人と一緒くたにされ、カチンときたのだろう。

「え? やだちょっと日本語ペラペラなんですね? 赤松さんと一緒にいるのに、抱くとか軽々しく言ったら駄目ですよぉ。本当にフレンドリーなんですね?」

 双子の外見が好みなのか、明野が顔を赤らめてしなを作る。

「僕たち日本人好きだから、今度デートしようか?」

 クラウスが微笑んで三人を誘うが、その青い目は笑っていない。

 ――のに、彼女たちは気付いていない。

「やだぁ。赤松さんと一緒にいるのにそんな事言ったら駄目ですよぉ。赤松さんかわいそー。一緒にいる女の子ぐらい、ちょっと立たせてあげないと。魅力がないって言ってるも同然ですよぉ?」

 ワントーン上がった声で益田が笑い、飯山と明野も笑う。
しおりを挟む
感想 560

あなたにおすすめの小説

ヤンデレエリートの執愛婚で懐妊させられます

沖田弥子
恋愛
職場の後輩に恋人を略奪された澪。終業後に堪えきれず泣いていたところを、営業部のエリート社員、天王寺明夜に見つかってしまう。彼に優しく慰められながら居酒屋で事の顛末を話していたが、なぜか明夜と一夜を過ごすことに――!? 明夜は傷心した自分を慰めてくれただけだ、と考える澪だったが、翌朝「責任をとってほしい」と明夜に迫られ、婚姻届にサインしてしまった。突如始まった新婚生活。明夜は澪の心と身体を幸せで満たしてくれていたが、徐々に明夜のヤンデレな一面が見えてきて――執着強めな旦那様との極上溺愛ラブストーリー!

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

忘れたとは言わせない。〜エリートドクターと再会したら、溺愛が始まりました〜

青花美来
恋愛
「……三年前、一緒に寝た間柄だろ?」 三年前のあの一夜のことは、もう過去のことのはずなのに。 一夜の過ちとして、もう忘れたはずなのに。 「忘れたとは言わせねぇぞ?」 偶然再会したら、心も身体も翻弄されてしまって。 「……今度こそ、逃がすつもりも離すつもりもねぇから」 その溺愛からは、もう逃れられない。 *第16回恋愛小説大賞奨励賞受賞しました*

一夜の過ちで懐妊したら、溺愛が始まりました。

青花美来
恋愛
あの日、バーで出会ったのは勤務先の会社の副社長だった。 その肩書きに恐れをなして逃げた朝。 もう関わらない。そう決めたのに。 それから一ヶ月後。 「鮎原さん、ですよね?」 「……鮎原さん。お腹の赤ちゃん、産んでくれませんか」 「僕と、結婚してくれませんか」 あの一夜から、溺愛が始まりました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ダブル シークレットベビー ~御曹司の献身~

菱沼あゆ
恋愛
念願のランプのショップを開いた鞠宮あかり。 だが、開店早々、植え込みに猫とおばあさんを避けた車が突っ込んでくる。 車に乗っていたイケメン、木南青葉はインテリアや雑貨などを輸入している会社の社長で、あかりの店に出入りするようになるが。 あかりには実は、年の離れた弟ということになっている息子がいて――。

ウブな政略妻は、ケダモノ御曹司の執愛に堕とされる

Adria
恋愛
旧題:紳士だと思っていた初恋の人は私への恋心を拗らせた執着系ドSなケダモノでした ある日、父から持ちかけられた政略結婚の相手は、学生時代からずっと好きだった初恋の人だった。 でも彼は来る縁談の全てを断っている。初恋を実らせたい私は副社長である彼の秘書として働くことを決めた。けれど、何の進展もない日々が過ぎていく。だが、ある日会社に忘れ物をして、それを取りに会社に戻ったことから私たちの関係は急速に変わっていった。 彼を知れば知るほどに、彼が私への恋心を拗らせていることを知って戸惑う反面嬉しさもあり、私への執着を隠さない彼のペースに翻弄されていく……。

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。 けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。 そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。 2人の出会いを描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630 2人の誓約の儀を描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

処理中です...