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第六部・社内旅行 編
第六部・終章 より良い人付き合いをするために
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「いいよ。予定つけて近いうちに鉄板焼きレストラン行こう」
「うん。それからね、脚が治ってまた走ったりできるようになったら、佑さんと一緒にまた毎朝走りたい」
札幌から東京に来て落ち着いてから、香澄は佑と一緒に少しずつ体を鍛えだした。
その一環で、無理のない程度の早朝ランニングもある。
セックスで疲れて起きられなかった朝は別だが、基本的に二人で健康的な生活を心がけていた。
「ん、そうだな。二人の時間が増えるのは、賛成だ」
「久住さんたちも付き合わせちゃうけど」
つけ加えると、佑が明るく笑う。
「仕方ないさ。俺たちに付き合うのが仕事だし、訓練になるから丁度いいだろ」
「ふふ、楽しみだな。早く元気になるんだ」
ギュウッと佑に抱きつき、香澄は笑みを零す。
心の中にあったモヤモヤをすべてぶちまけ、気持ちはスッキリしていた。
何があっても佑は自分の味方だと確認できたし、もう怖いものがない気がする。
「香澄、今後のために一つ覚えておくといい。人間には、その人と同じレベルの人が集まる。ジム・ローンという人の言葉に『あなたは、最も一緒に過ごす時間の長い五人の友達の平均になる』という言葉がある」
佑が大切な事を教えてくれているのだと知り、香澄は真剣な顔で頷く。
「簡単に言えば、自分が仲良くしている人の五人の平均が、自分っていう事だ。俺は交友関係には気をつけていて、スキャンダルになりそうな人には近づかないようにしている。香澄だって、周りにいる友達が優しくて他人を思いやれる人だから、こんな風にお人好しで心根の優しい人になったんだと思っている」
確かに佑の周りは成功者ばかりで、いわゆる社会のはみ出し者的な人とは付き合っていない。
思えば香澄も、高校を卒業してからは自分が心地良く過ごせるように、付き合う人を選ぶようになった気がする。
自分が無理をせず付き合える人と過ごしていたら、自然と心が穏やかになった。
「もし付き合う人のレベルを上げたいと思うなら、自分を磨くと自然とそういう人と付き合える。逆に自分より下だと感じる人、付き合うのが苦痛と思う人とは、関係を断ち切った方がスムーズに生きられる。成功者は往々にして人に優しい。人生がうまくいっているから心にも余裕がある。そして学ぶ気があるのならアドバイスもするだろう」
「うん……」
まじめな顔をして、香澄は頷く。
「自分を変えるには勉強して社交場を変えてみるなどの工夫も必要だが、香澄には俺がいる。俺が推薦する人を紹介するから、その人と仲良くしてみるのもアリだと思う。勿論、強制じゃない。社内では成瀬さん達と仲がいいようだし、その関係は当然続けてほしいと思っている。けど、社外の人と交流してみるのもいいと思う」
「分かった。佑さんが言う事はすべて経験からだと分かってるし、正しいんだと思う。そういうのも考えてみるね。急にお金持ちのお嬢様の友達ができたらびっくりするけど、もしかしたら気が合う人がいるかもだし」
佑なら香澄の性格を考えた上で、合いそうな人を紹介してくれそうだ。
「まぁ、本音を言えば、香澄は俺とだけ付き合ってくれればいいけど」
「やだぁ、ヤンデレ」
「やんでれ?」
「……ふふ」
佑はあまり漫画などを読まないためか、俗な言葉を知らない時もある。
そういう時はほんの少しだけ、優越感を覚えてしまう。
「香澄、また一緒に温泉入ろうか。今度は露天で。せっかくの温泉だから楽しもう」
「うん」
「そこで今のやんでれっていうの、教えてくれ」
「ふふふ、大した言葉じゃないんだけどなぁ」
チュッと軽いキスをしてから、佑はベッドを出てギプスカバーを取りに行った。
裸の背中を見て、香澄は目を細め「大好き」と呟いた。
翌日はチェックアウトまでゆっくりし、朝も一緒に温泉に浸かった。
松井に連絡をして社員には「社長は先に帰った」と言ってもらい、チェックアウトに会わせて車の迎えを頼むと、白金台の自宅に向かった。
どういう事か車内ではしりとり大会が勃発し、時に英単語しりとりにもなり松井も交えて笑いが絶えない道程となる。
そのようにして、七月四週目の懇親会が終わった。
第六部・完
「うん。それからね、脚が治ってまた走ったりできるようになったら、佑さんと一緒にまた毎朝走りたい」
札幌から東京に来て落ち着いてから、香澄は佑と一緒に少しずつ体を鍛えだした。
その一環で、無理のない程度の早朝ランニングもある。
セックスで疲れて起きられなかった朝は別だが、基本的に二人で健康的な生活を心がけていた。
「ん、そうだな。二人の時間が増えるのは、賛成だ」
「久住さんたちも付き合わせちゃうけど」
つけ加えると、佑が明るく笑う。
「仕方ないさ。俺たちに付き合うのが仕事だし、訓練になるから丁度いいだろ」
「ふふ、楽しみだな。早く元気になるんだ」
ギュウッと佑に抱きつき、香澄は笑みを零す。
心の中にあったモヤモヤをすべてぶちまけ、気持ちはスッキリしていた。
何があっても佑は自分の味方だと確認できたし、もう怖いものがない気がする。
「香澄、今後のために一つ覚えておくといい。人間には、その人と同じレベルの人が集まる。ジム・ローンという人の言葉に『あなたは、最も一緒に過ごす時間の長い五人の友達の平均になる』という言葉がある」
佑が大切な事を教えてくれているのだと知り、香澄は真剣な顔で頷く。
「簡単に言えば、自分が仲良くしている人の五人の平均が、自分っていう事だ。俺は交友関係には気をつけていて、スキャンダルになりそうな人には近づかないようにしている。香澄だって、周りにいる友達が優しくて他人を思いやれる人だから、こんな風にお人好しで心根の優しい人になったんだと思っている」
確かに佑の周りは成功者ばかりで、いわゆる社会のはみ出し者的な人とは付き合っていない。
思えば香澄も、高校を卒業してからは自分が心地良く過ごせるように、付き合う人を選ぶようになった気がする。
自分が無理をせず付き合える人と過ごしていたら、自然と心が穏やかになった。
「もし付き合う人のレベルを上げたいと思うなら、自分を磨くと自然とそういう人と付き合える。逆に自分より下だと感じる人、付き合うのが苦痛と思う人とは、関係を断ち切った方がスムーズに生きられる。成功者は往々にして人に優しい。人生がうまくいっているから心にも余裕がある。そして学ぶ気があるのならアドバイスもするだろう」
「うん……」
まじめな顔をして、香澄は頷く。
「自分を変えるには勉強して社交場を変えてみるなどの工夫も必要だが、香澄には俺がいる。俺が推薦する人を紹介するから、その人と仲良くしてみるのもアリだと思う。勿論、強制じゃない。社内では成瀬さん達と仲がいいようだし、その関係は当然続けてほしいと思っている。けど、社外の人と交流してみるのもいいと思う」
「分かった。佑さんが言う事はすべて経験からだと分かってるし、正しいんだと思う。そういうのも考えてみるね。急にお金持ちのお嬢様の友達ができたらびっくりするけど、もしかしたら気が合う人がいるかもだし」
佑なら香澄の性格を考えた上で、合いそうな人を紹介してくれそうだ。
「まぁ、本音を言えば、香澄は俺とだけ付き合ってくれればいいけど」
「やだぁ、ヤンデレ」
「やんでれ?」
「……ふふ」
佑はあまり漫画などを読まないためか、俗な言葉を知らない時もある。
そういう時はほんの少しだけ、優越感を覚えてしまう。
「香澄、また一緒に温泉入ろうか。今度は露天で。せっかくの温泉だから楽しもう」
「うん」
「そこで今のやんでれっていうの、教えてくれ」
「ふふふ、大した言葉じゃないんだけどなぁ」
チュッと軽いキスをしてから、佑はベッドを出てギプスカバーを取りに行った。
裸の背中を見て、香澄は目を細め「大好き」と呟いた。
翌日はチェックアウトまでゆっくりし、朝も一緒に温泉に浸かった。
松井に連絡をして社員には「社長は先に帰った」と言ってもらい、チェックアウトに会わせて車の迎えを頼むと、白金台の自宅に向かった。
どういう事か車内ではしりとり大会が勃発し、時に英単語しりとりにもなり松井も交えて笑いが絶えない道程となる。
そのようにして、七月四週目の懇親会が終わった。
第六部・完
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