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第六部・社内旅行 編
花を守る庭園のオーナー
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「……私は佑さんの婚約者だから、妬みはあると思うんだけど。私が佑さんに好かれているの、ベッドのテクがあるから……とか言われて。それで、……悪い冗談だけど、風俗で働いてて売れっ子だったとか、ドイツで向こうの人と沢山してガバガバになったとか……。……い、言われて」
「…………」
はぁ、と佑は大きな溜め息をついた。
佐野から動画は送られたが、音をきちんと拾えていなくて、詳細に何を言われていたかはよく分からなかった。
だがこうして香澄から報告され、今になって腸が煮えくりかえるような怒りに襲われる。
それでも今までの経験で培ったマインドコントロールで、冷静さを取り戻した。
自分の長所は、自分より取り乱している人がいると冷静になれる所だと思っている。
「香澄」
「……ん」
鼻声が返事をする。
「香澄のアソコは俺が開発した。香澄は今まで原西さんしか経験がなかったんだろ? しかも一回だけの下手くそなセックス」
「……うん」
「なら香澄のアソコは俺だけのものだ。俺が気持ちいいと言って、毎回夢中になって、搾り取られてもいいって思うほど虜になってる。セカンドバージンを奪って、濡れやすくて俺の形を覚える場所に育てた。どうしたら俺が感じるか、熟知してる場所になったと思っている。香澄のアソコは俺にとって気持ちいい場所で、俺だけの名器だ。俺たちのセックスを知らない奴らに、どうこう言われる筋合いなんてない」
「……ん。……なんか、恥ずかしいけど……」
香澄の言葉に佑は微かに笑い、クシャクシャと彼女の髪をかき回した。
「風俗で働いた事あるか?」
「な、ないよ!」
「ドイツで俺以外の男とシた? 例えばアロクラとかと」
「絶対ない!」
「じゃあ、問題ない」
目の前で佑が柔らかく笑い、「な?」と同意を求めて頷いた。
「…………っ」
――信じて良かった。
――信じて打ち明けて良かった。
急に涙がこみ上げてきて、香澄は手で目を擦る。
「……っ、松葉杖蹴られて転ばされたけど、それももういいやっ。私には佑さんがいるんだもん……っ。あんな人は、もう相手してあげない」
グスグスと洟を啜りつつも不器用に笑ってみせると、佑が鷹揚に微笑んだ。
「そうだ、気にするな。そういう人には大体知らない所で罰が当たっているものだよ」
「……ふふ、だったらいいな。そんなに酷くない程度で」
甘っちょろい事を言う香澄を抱き締め、佑は暗い目で笑う。
彼女が一人悩んでいる間に、佑は容赦なく彼女たちを敵とみなし切り捨てた。
香澄自身がスッキリと爽快感を覚える事はないかもしれないが、今はそれでいい。
香澄には〝気がつけば平穏な日常が戻っていて、笑顔で毎日過ごせる〟という日々を送って欲しいのだ。
佑は香澄という名の花を守るためなら、周囲の邪魔な薔薇のとげ抜きや、木々の枝の間引き、雑草抜きも厭わない。
それを許されるだけの、庭園のオーナーという権利を自分は持っていると確信している。
「佑さん、我が儘言っていい?」
「ん? 何だ? 何でも言ってみて」
香澄から〝おねだり〟が来て、佑は身を起こし目を輝かせる。
「なぁに、その反応。初孫の我が儘を喜ぶおじいちゃんみたい」
「……頼むよ」
香澄の例えに、佑はズルズルと倒れ込んで香澄の体に身を預ける。
それから彼女の前髪を掻き上げ、形のいい額や鼻筋、両頬に唇を落とした。
「ふ……ふふ」
「香澄のおねだりは何だ? 欲しいジュエリーでもある? 飯山さん達の給料では手に入らない、大粒の奴がほしいか?」
「そうじゃないの。そういうのはいい」
佑の頬を手で挟み、香澄はチュッと唇にキスをした。
「あのね、お肉食べたい」
「……肉」
「ストレス溜まったから、大きいお肉をうおーって食べたい。美味しい白米と一緒に食べるの。お肉デートしよう」
「……肉」
もう一度呟き、佑は香澄の胸の上に顔を伏せた。
そしてクックックッ……と笑いだす。
思ったよりこの婚約者は手強い。佑が望むようなおねだりを、なかなかしてくれない。
(……まぁ、でもいいか。おねだりしてくれただけで御の字だ)
ちう、と谷間に吸い付くと、佑は微笑んで顔を上げる。
「…………」
はぁ、と佑は大きな溜め息をついた。
佐野から動画は送られたが、音をきちんと拾えていなくて、詳細に何を言われていたかはよく分からなかった。
だがこうして香澄から報告され、今になって腸が煮えくりかえるような怒りに襲われる。
それでも今までの経験で培ったマインドコントロールで、冷静さを取り戻した。
自分の長所は、自分より取り乱している人がいると冷静になれる所だと思っている。
「香澄」
「……ん」
鼻声が返事をする。
「香澄のアソコは俺が開発した。香澄は今まで原西さんしか経験がなかったんだろ? しかも一回だけの下手くそなセックス」
「……うん」
「なら香澄のアソコは俺だけのものだ。俺が気持ちいいと言って、毎回夢中になって、搾り取られてもいいって思うほど虜になってる。セカンドバージンを奪って、濡れやすくて俺の形を覚える場所に育てた。どうしたら俺が感じるか、熟知してる場所になったと思っている。香澄のアソコは俺にとって気持ちいい場所で、俺だけの名器だ。俺たちのセックスを知らない奴らに、どうこう言われる筋合いなんてない」
「……ん。……なんか、恥ずかしいけど……」
香澄の言葉に佑は微かに笑い、クシャクシャと彼女の髪をかき回した。
「風俗で働いた事あるか?」
「な、ないよ!」
「ドイツで俺以外の男とシた? 例えばアロクラとかと」
「絶対ない!」
「じゃあ、問題ない」
目の前で佑が柔らかく笑い、「な?」と同意を求めて頷いた。
「…………っ」
――信じて良かった。
――信じて打ち明けて良かった。
急に涙がこみ上げてきて、香澄は手で目を擦る。
「……っ、松葉杖蹴られて転ばされたけど、それももういいやっ。私には佑さんがいるんだもん……っ。あんな人は、もう相手してあげない」
グスグスと洟を啜りつつも不器用に笑ってみせると、佑が鷹揚に微笑んだ。
「そうだ、気にするな。そういう人には大体知らない所で罰が当たっているものだよ」
「……ふふ、だったらいいな。そんなに酷くない程度で」
甘っちょろい事を言う香澄を抱き締め、佑は暗い目で笑う。
彼女が一人悩んでいる間に、佑は容赦なく彼女たちを敵とみなし切り捨てた。
香澄自身がスッキリと爽快感を覚える事はないかもしれないが、今はそれでいい。
香澄には〝気がつけば平穏な日常が戻っていて、笑顔で毎日過ごせる〟という日々を送って欲しいのだ。
佑は香澄という名の花を守るためなら、周囲の邪魔な薔薇のとげ抜きや、木々の枝の間引き、雑草抜きも厭わない。
それを許されるだけの、庭園のオーナーという権利を自分は持っていると確信している。
「佑さん、我が儘言っていい?」
「ん? 何だ? 何でも言ってみて」
香澄から〝おねだり〟が来て、佑は身を起こし目を輝かせる。
「なぁに、その反応。初孫の我が儘を喜ぶおじいちゃんみたい」
「……頼むよ」
香澄の例えに、佑はズルズルと倒れ込んで香澄の体に身を預ける。
それから彼女の前髪を掻き上げ、形のいい額や鼻筋、両頬に唇を落とした。
「ふ……ふふ」
「香澄のおねだりは何だ? 欲しいジュエリーでもある? 飯山さん達の給料では手に入らない、大粒の奴がほしいか?」
「そうじゃないの。そういうのはいい」
佑の頬を手で挟み、香澄はチュッと唇にキスをした。
「あのね、お肉食べたい」
「……肉」
「ストレス溜まったから、大きいお肉をうおーって食べたい。美味しい白米と一緒に食べるの。お肉デートしよう」
「……肉」
もう一度呟き、佑は香澄の胸の上に顔を伏せた。
そしてクックックッ……と笑いだす。
思ったよりこの婚約者は手強い。佑が望むようなおねだりを、なかなかしてくれない。
(……まぁ、でもいいか。おねだりしてくれただけで御の字だ)
ちう、と谷間に吸い付くと、佑は微笑んで顔を上げる。
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