【R-18】【重愛注意】拾われバニーガールはヤンデレ社長の最愛の秘書になりました

臣桜

文字の大きさ
上 下
275 / 1,559
第六部・社内旅行 編

終わりのない悪意 ★

しおりを挟む
「赤松さんって地味だけど、どっかエロさがあるから、絶対社長は性的に見てるよね。オフィスでの服装だって、どっか狙ってない?」

(狙ってません!)

 むしろ、会社で見る飯山の方こそ、ボディラインを強調するデザインの服を着ていたり、ヒールの高い靴を履いていて女性らしさを強調している。

 けれど服装なんてものは公序良俗に反さず、会社が認める範囲内でなら、誰が何を着ても自由だ。

 香澄は秘書というだけあり、清潔感を第一に毎日着る服を考えている。

 何を着ていても、「エロい」と思う人はどんな格好をしていてもそう思う。

(自分たちがそう言われたら嫌がるくせに)

 心の中で文句を言うが、口に出せばさらなる口論のもとになるので、絶対に言わない。

「だって怪しいじゃない? 高学歴で仕事ができるなら納得できるけど、札幌で他業種の仕事をしていた赤松さんに、Chief Everyの社長秘書が務まるはずがないじゃない」

 また痛いところを突かれ、香澄は怒りを抑える。

(高学歴じゃなくてすみませんでしたね! あなた達はさぞ立派な大学を出ているんでしょうね! すごーい!)

「そんなの、枕で勝ち取ったに決まってるよねー」
「していません!」

 さすがに否定したが、三人は聞き入れてくれない。

「はいはーい、分かるよ。知られたくないよね。今日だって社長と温泉旅館でしっぽりなんでしょ?」

(しっぽり……)

 ついぞ聞かない単語に一瞬固まるが、彼女たちの態度にはもう溜め息しか出てこない。

「社長に飽きられないようにね? ベッドのテクぐらいしか長所がないんだろうけど、四十八手マスターしても、仕事ができなかったら秘書でいる意味なんてないからね?」

 侮辱の言葉に、もう一人が便乗する。

「やだぁ。こっそり裏バイトで風俗して、レベルアップしてるとか?」
「社長以外に『売れっ子香澄ちゃん』の常連いたりしてー」
「ドイツでも社長だけじゃ我慢できなくて、極太フランクフルトでも頬張ってたんじゃないの?」
「うけるー。っていうか、あっちの男って日本人より大きいみたいだから、赤松さんもそっちで慣れてガバガバになったんじゃない?」

 どんどん会話が下品になり、収集がつかなくなっている。

(終わらせないと)

 そう思った香澄は、空気をぶった切るつもりで口を挟んだ。

「すみません。あまり過ぎた事を言われますと、私としましても社長に報告しなければいけませんので」

 本当はマグマが煮え立ったような怒りを得ているが、グッと押し殺してビジネススマイルを浮かべる。

「やだ、こわーい。怒った? 怒っちゃった?」
「これぐらいの事で怒ったら、秘書できないんじゃないの?」
「せっかく社長秘書になったのに、短期でクビになったら赤松さんどうするの? 北海道に戻るの?」

 彼女たちを怒鳴りつけたい気持ちがこみ上げるが、必死に大人の対応を取った。

「申し訳ありませんが、私も予定がありますので失礼しますね」

 そう言って松葉杖に頼りつつ歩き出そうとした時――。

「あっ、ごめーん」
「!!」

 足で松葉杖を払われ、香澄は転倒した。

 ガンッと脚に強い衝撃が加わり、あまりの痛みに悲鳴すら出せない。

 久住と佐野が血相を変えて駆けつけてくる傍ら、飯山たちは「じゃあねー。ガバガバ香澄ちゃん」とけたたましく笑って立ち去っていった。

「――――っ」

 地面に這いつくばったまま、香澄はギプスを抱えて悲鳴を押し殺す。

「赤松さん!」

 真っ青になった久住が香澄の様子を見て、胸ポケットからスマホを取り出す。

「だいっ、……じょ、……ぶっ、…………ですっ」

 佐野に抱き起こされた香澄は、額にひどい脂汗を浮かべていた。

「御劔様に報告します」
「やめてください!」

 久住の言葉に、香澄は大きな声を上げる。
 驚いて瞠目する久住に、香澄は真っ青になった顔で必死に笑う。

「お願いします……。佑さんに余計な心配をさせたくありません。これからきっと、こういう事が沢山あるんだと思います。社内だけじゃなく、海外とかもっと大きな舞台で似たような事が。私は……負けません。これぐらい、丁度いい洗礼なんです」

 グッと目の奥に強い力を込め、香澄は松葉杖を握り締める。
しおりを挟む
感想 560

あなたにおすすめの小説

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。 そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。 だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。 そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。 けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。 そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。 2人の出会いを描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630 2人の誓約の儀を描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

オオカミ課長は、部下のウサギちゃんを溺愛したくてたまらない

若松だんご
恋愛
 ――俺には、将来を誓った相手がいるんです。  お昼休み。通りがかった一階ロビーで繰り広げられてた修羅場。あ~課長だあ~、大変だな~、女性の方、とっても美人だな~、ぐらいで通り過ぎようと思ってたのに。  ――この人です! この人と結婚を前提につき合ってるんです。  ほげええっ!?  ちょっ、ちょっと待ってください、課長!  あたしと課長って、ただの上司と部下ですよねっ!? いつから本人の了承もなく、そういう関係になったんですかっ!? あたし、おっそろしいオオカミ課長とそんな未来は予定しておりませんがっ!?  課長が、専務の令嬢とのおつき合いを断るネタにされてしまったあたし。それだけでも大変なのに、あたしの住むアパートの部屋が、上の住人の失態で水浸しになって引っ越しを余儀なくされて。  ――俺のところに来い。  オオカミ課長に、強引に同居させられた。  ――この方が、恋人らしいだろ。  うん。そうなんだけど。そうなんですけど。  気分は、オオカミの巣穴に連れ込まれたウサギ。  イケメンだけどおっかないオオカミ課長と、どんくさくって天然の部下ウサギ。  (仮)の恋人なのに、どうやらオオカミ課長は、ウサギをかまいたくてしかたないようで――???  すれ違いと勘違いと溺愛がすぎる二人の物語。

包んで、重ねて ~歳の差夫婦の極甘新婚生活~

吉沢 月見
恋愛
ひたすら妻を溺愛する夫は50歳の仕事人間の服飾デザイナー、新妻は23歳元モデル。 結婚をして、毎日一緒にいるから、君を愛して君に愛されることが本当に嬉しい。 何もできない妻に料理を教え、君からは愛を教わる。

一夜の過ちで懐妊したら、溺愛が始まりました。

青花美来
恋愛
あの日、バーで出会ったのは勤務先の会社の副社長だった。 その肩書きに恐れをなして逃げた朝。 もう関わらない。そう決めたのに。 それから一ヶ月後。 「鮎原さん、ですよね?」 「……鮎原さん。お腹の赤ちゃん、産んでくれませんか」 「僕と、結婚してくれませんか」 あの一夜から、溺愛が始まりました。

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。

海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。 ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。 「案外、本当に君以外いないかも」 「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」 「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」 そのドクターの甘さは手加減を知らない。 【登場人物】 末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。   恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる? 田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い? 【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

処理中です...