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第六部・社内旅行 編
だだ漏れるイケメンオーラ
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そしてこういう時しか使わないだろう、高級ブランドのど派手なスカーフをクルクルと折り、ヘアバンドにした。
(こういう使い方、勿体ないんだけどなぁ……。でもスカーフって上級すぎて他に使いどころが分からないし……)
佑から色々プレゼントされるのだが、中には使い方が分からない物も多くて困る。
スカーフだって今まで〝大きなハンカチ〟程度しか思っていなかった。
しかし調べてみたら、首に巻く、肩からかける、ベルト代わり、ヘアバンドなど、色々使用方法があるようだ。
佑は一枚五、六万円するスカーフを、何枚もプレゼントしてくれていた。
正直今まで使い方が分からずしまったままにしていたのだが、箪笥の肥やしにするぐらいなら、積極的に使わねば! と思って使用方法を調べたに至る。
佑はファッションアイテムをプレゼントしてくれる割には、「何と何を組み合わせるといい」とか、「これはこうしてコーディネートする物だ」などまったく言わない。
彼自身、ファッションは自由であるもの、その人の感性に任せるべきと思っているからこそ、何も言わないのだと思う。
けれどプレゼントするからには、香澄に似合うと思って選んでいるだろう。
香澄はもとからファッションにこなれている訳ではないので、「最初から使い方や合わせ方を教えてくれたらなぁ……」とも思ってしまっていた。
(恵まれてるなぁ)
札幌にいた時はカットソーやシャツにジーンズを穿くだけで、それ以外のお洒落アイテムを使う事はなかった。
今ではカラーコーディネートも勉強しだし、色の相性などが分かると楽しくなってくる。
またパーソナルカラーというものも診断してもらい、自分がブルベ夏と言うことも分かった。
(佑さんといると、世界が広がるなぁ)
やがて支度もできあがり、最後に初めて佑からプレゼントしてもらった、ブルートパーズのペンダントをつけた。
「んー……、手首少し寂しいかな」
姿見の前に立ってバランスを見ると、剥き出しになった腕が少し寂しい気がする。
「えっと……、あのブレスレットどこにあったっけ。沢山あって……。えっと……」
アクセサリー用の引き出しをああでもないこうでもないとあさると、青い石がついた華奢なブレスレットを取り出した。
これだけでも数万円するのを知っているので、できるなら着けたくないが、佑を喜ばせるために勇気を出した。
「うん! これでいいかな?」
満足して姿見の前で微笑むと、ドイツに向かう前に「夏用に」とプレゼントしてもらった、血色感を引き立たせるリップが艶めく。
「よしっ、佑さん迎えに行くよ。待っててね」
嬉しくなってまた微笑むと、香澄はスマホと財布、タオルハンカチとティッシュをポシェットに入れた。
**
佑の飛行機は木曜日の午後に羽田に着陸した。
すぐ車に乗り換えようとすると、松井がいつもの柔和な笑みを浮かべ「社長」と話しかけてくる。
「何ですか?」
「瀬尾さんから連絡がありました。赤松さんが空港まで、社長を迎えにいらしているようです」
「! 本当ですか?」
どうして直接言ってくれないんだと私用スマホを見てみても、コネクターナウには何の連絡も入っていなかった。
(……さてはサプライズのつもりなのかな)
可愛い事をしてくれる、と思うのと同時に、情報が行き違った時の恐ろしさは半端ない。
「どこで待っているという情報はありますか?」
「到着する前に入っていた連絡では、もうすでに展望デッキにいらっしゃり、機体をご覧になろうとしていたようです」
「だとしたら、もう移動している可能性が高いですね」
「どこにいるのかな……。電話するしかないか」
とりあえず車に乗ったあとは、香澄が迎えに来ているだろう第三ターミナルに向かう事にした。
第三ターミナルに着くと、佑は薄いブラウンの色がついているサングラスを掛け、勝手知ったる足取りで歩いて行く。
佑は背が高く色素も薄めなので目立つ。
おまけにサングラスを掛けていても顔立ちがいいのも丸わかりで、周囲の人々がチラチラと彼を見ていた。
カジュアルなTシャツにジーンズという格好でも、そのスタイルや姿勢の良さでイケメンオーラがだだ漏れている。
(こういう使い方、勿体ないんだけどなぁ……。でもスカーフって上級すぎて他に使いどころが分からないし……)
佑から色々プレゼントされるのだが、中には使い方が分からない物も多くて困る。
スカーフだって今まで〝大きなハンカチ〟程度しか思っていなかった。
しかし調べてみたら、首に巻く、肩からかける、ベルト代わり、ヘアバンドなど、色々使用方法があるようだ。
佑は一枚五、六万円するスカーフを、何枚もプレゼントしてくれていた。
正直今まで使い方が分からずしまったままにしていたのだが、箪笥の肥やしにするぐらいなら、積極的に使わねば! と思って使用方法を調べたに至る。
佑はファッションアイテムをプレゼントしてくれる割には、「何と何を組み合わせるといい」とか、「これはこうしてコーディネートする物だ」などまったく言わない。
彼自身、ファッションは自由であるもの、その人の感性に任せるべきと思っているからこそ、何も言わないのだと思う。
けれどプレゼントするからには、香澄に似合うと思って選んでいるだろう。
香澄はもとからファッションにこなれている訳ではないので、「最初から使い方や合わせ方を教えてくれたらなぁ……」とも思ってしまっていた。
(恵まれてるなぁ)
札幌にいた時はカットソーやシャツにジーンズを穿くだけで、それ以外のお洒落アイテムを使う事はなかった。
今ではカラーコーディネートも勉強しだし、色の相性などが分かると楽しくなってくる。
またパーソナルカラーというものも診断してもらい、自分がブルベ夏と言うことも分かった。
(佑さんといると、世界が広がるなぁ)
やがて支度もできあがり、最後に初めて佑からプレゼントしてもらった、ブルートパーズのペンダントをつけた。
「んー……、手首少し寂しいかな」
姿見の前に立ってバランスを見ると、剥き出しになった腕が少し寂しい気がする。
「えっと……、あのブレスレットどこにあったっけ。沢山あって……。えっと……」
アクセサリー用の引き出しをああでもないこうでもないとあさると、青い石がついた華奢なブレスレットを取り出した。
これだけでも数万円するのを知っているので、できるなら着けたくないが、佑を喜ばせるために勇気を出した。
「うん! これでいいかな?」
満足して姿見の前で微笑むと、ドイツに向かう前に「夏用に」とプレゼントしてもらった、血色感を引き立たせるリップが艶めく。
「よしっ、佑さん迎えに行くよ。待っててね」
嬉しくなってまた微笑むと、香澄はスマホと財布、タオルハンカチとティッシュをポシェットに入れた。
**
佑の飛行機は木曜日の午後に羽田に着陸した。
すぐ車に乗り換えようとすると、松井がいつもの柔和な笑みを浮かべ「社長」と話しかけてくる。
「何ですか?」
「瀬尾さんから連絡がありました。赤松さんが空港まで、社長を迎えにいらしているようです」
「! 本当ですか?」
どうして直接言ってくれないんだと私用スマホを見てみても、コネクターナウには何の連絡も入っていなかった。
(……さてはサプライズのつもりなのかな)
可愛い事をしてくれる、と思うのと同時に、情報が行き違った時の恐ろしさは半端ない。
「どこで待っているという情報はありますか?」
「到着する前に入っていた連絡では、もうすでに展望デッキにいらっしゃり、機体をご覧になろうとしていたようです」
「だとしたら、もう移動している可能性が高いですね」
「どこにいるのかな……。電話するしかないか」
とりあえず車に乗ったあとは、香澄が迎えに来ているだろう第三ターミナルに向かう事にした。
第三ターミナルに着くと、佑は薄いブラウンの色がついているサングラスを掛け、勝手知ったる足取りで歩いて行く。
佑は背が高く色素も薄めなので目立つ。
おまけにサングラスを掛けていても顔立ちがいいのも丸わかりで、周囲の人々がチラチラと彼を見ていた。
カジュアルなTシャツにジーンズという格好でも、そのスタイルや姿勢の良さでイケメンオーラがだだ漏れている。
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