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第六部・社内旅行 編
第六部・序章1 ☆
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「ええ。ではそのように進めてください」
顔の近くで佑の声がする。
香澄は彼がつけているコロンの香りを吸い込み――、色っぽい溜め息をついた。
佑は先ほどから松井と電話をしていた。
せっかく自宅でゆっくりできる休日だというのに、現在二人は佑の書斎にいる。
「…………っ」
香澄は真っ赤になったまま、ぎゅう、と佑に抱きつく。
その背中を、佑は電話をしながら大きな掌でポンポンと撫でてあやしている。
「では、また明日。いつもの時間に迎えにきてください。松井さんも良い一日を」
ハンズフリーで通話をしていた佑が、デスクの上に置かれてあったスマホをポンとタップし通話を切った。
「もういいよ、香澄」
愉悦の籠もった声がして佑が座り直すと、香澄は思わず上ずった声を上げた。
「っだめぇっ! いま動いたら……っ」
佑は書斎の椅子に座ったまま、対面座位で香澄を貫き電話をしていたのだ。
通話中香澄は懸命に声を殺し、佑がわざと体を動かすたびにヒヤッとした。
キャミワンピの背中はすでにぐっしょりと汗で塗れて、髪をアップにし露出された首筋にも細かな珠の汗が浮いていた。
「いま動いたら? ん? どうなる?」
耳朶に吐息が吹きかかり、舌でヌロリと耳の輪郭を舐められる。
「んぅぅ……っ。お、お仕事まだ終わらないの……っ?」
「あと十分ぐらいかな。先日行ったファラ嬢の誕生日会の関係で、数件メールが溜まってる。もう少し我慢していて」
「そんなぁ……」
香澄が帰国してからというものの、佑はタガが外れたように毎日香澄を求めていた。
もちろん出勤の他に出張もあるのだが、自宅にいる時はほとんどと言っていいほど香澄を組み敷いている。
それが祟ってか、自宅でする分の仕事が少し溜まってしまったのだ。
香澄を抱きたい。でも仕事をしなければ。
悩んだ挙げ句、佑は両方を選択した。
香澄を貫いたまま仕事をする。
何とも退廃的で不真面目なやり方を開発し――、それでも恐ろしい事にサクサクと積まれてあった仕事が消化されてゆくのが彼の恐ろしいところだ。
これはこれ、それはそれ。とキッパリと線引きしている佑は、体の一部が香澄を貫き触れ合えているだけで、欲望の半分は満足らしい。
残る半分の欲望は〝仕事のあとのお楽しみ〟にとっておき、下手にピストンしたりせず黙々と手を動かす。
生殺しなのは香澄の方で、ときおり剥き出しになっているお尻を触られると、ギュウッと佑を締め付けてしまう。
だというのに彼はそれ以上のことをせず、香澄の肌だけ堪能してすぐ仕事に戻る。
彼が真剣に――と言っていいのか分からないが、仕事をしているというのに、我慢のできない香澄が腰を動かすのも悪い。
結果、凄まじい勃起持続力を誇る佑に貫かれたまま、香澄はじっと堪えていなければいけないのだ。
「すぐ終わらせるから」
「ん……」
モニターをチラッと見ると、モジャモジャとした暗号のような文字――アラビア文字でメールを打っているので恐ろしい。
「佑さん、何か国語分かるの?」
「分かる、って言い方をされると……どうかな。マスターして商談もできるという意味でカウントしている言語と、ある程度聞き取れたり少し書ける程度の言語とでは、括り方が違うと思う」
「うん……。何かよく分からないけど、沢山話せるのは分かった」
曖昧に納得すれば、またポンポンと背中が撫でられる。
しばらく室内に静かにクラシックのBGMが流れ、佑が流れるようにタイピングする音が響く。
「……石油王のお嬢様、綺麗だった?」
「妬いてる?」
「……そ、そうじゃないけど……。中東の人って美人が多そうって思っただけ」
「『どれだけお金持ちだった?』って聞かないのが、香澄らしいな」
「お金持ちは、クラウザー家を見て感覚が掴めたような気がするし……」
「でも中東圏はケタ違いだな。文化様式も異なるし、見ていて綺麗だと思うよ。脚が治ったら、ドバイ出張とか少し余裕を持たせて観光もしてみようか」
「ドバイって世界一高いタワーあったよね。えぇと……なんとかハリファ」
「ブルジュ・ハリファ。興味があるなら、今度一緒にタワーに登ろうか。因みにあそこは何でも世界一が揃ってるよ。人口島やモール、世界一高いホテルとか」
「……お金持ちだねぇ。そしたらやっぱり、佑さんみたいに忙しくしているのかな」
嘆息すると、微かに媚肉がぐちゅりと佑を咀嚼した。
エアコンの効いている室内だが、触れ合った肌は微かに汗ばんでいる。
顔の近くで佑の声がする。
香澄は彼がつけているコロンの香りを吸い込み――、色っぽい溜め息をついた。
佑は先ほどから松井と電話をしていた。
せっかく自宅でゆっくりできる休日だというのに、現在二人は佑の書斎にいる。
「…………っ」
香澄は真っ赤になったまま、ぎゅう、と佑に抱きつく。
その背中を、佑は電話をしながら大きな掌でポンポンと撫でてあやしている。
「では、また明日。いつもの時間に迎えにきてください。松井さんも良い一日を」
ハンズフリーで通話をしていた佑が、デスクの上に置かれてあったスマホをポンとタップし通話を切った。
「もういいよ、香澄」
愉悦の籠もった声がして佑が座り直すと、香澄は思わず上ずった声を上げた。
「っだめぇっ! いま動いたら……っ」
佑は書斎の椅子に座ったまま、対面座位で香澄を貫き電話をしていたのだ。
通話中香澄は懸命に声を殺し、佑がわざと体を動かすたびにヒヤッとした。
キャミワンピの背中はすでにぐっしょりと汗で塗れて、髪をアップにし露出された首筋にも細かな珠の汗が浮いていた。
「いま動いたら? ん? どうなる?」
耳朶に吐息が吹きかかり、舌でヌロリと耳の輪郭を舐められる。
「んぅぅ……っ。お、お仕事まだ終わらないの……っ?」
「あと十分ぐらいかな。先日行ったファラ嬢の誕生日会の関係で、数件メールが溜まってる。もう少し我慢していて」
「そんなぁ……」
香澄が帰国してからというものの、佑はタガが外れたように毎日香澄を求めていた。
もちろん出勤の他に出張もあるのだが、自宅にいる時はほとんどと言っていいほど香澄を組み敷いている。
それが祟ってか、自宅でする分の仕事が少し溜まってしまったのだ。
香澄を抱きたい。でも仕事をしなければ。
悩んだ挙げ句、佑は両方を選択した。
香澄を貫いたまま仕事をする。
何とも退廃的で不真面目なやり方を開発し――、それでも恐ろしい事にサクサクと積まれてあった仕事が消化されてゆくのが彼の恐ろしいところだ。
これはこれ、それはそれ。とキッパリと線引きしている佑は、体の一部が香澄を貫き触れ合えているだけで、欲望の半分は満足らしい。
残る半分の欲望は〝仕事のあとのお楽しみ〟にとっておき、下手にピストンしたりせず黙々と手を動かす。
生殺しなのは香澄の方で、ときおり剥き出しになっているお尻を触られると、ギュウッと佑を締め付けてしまう。
だというのに彼はそれ以上のことをせず、香澄の肌だけ堪能してすぐ仕事に戻る。
彼が真剣に――と言っていいのか分からないが、仕事をしているというのに、我慢のできない香澄が腰を動かすのも悪い。
結果、凄まじい勃起持続力を誇る佑に貫かれたまま、香澄はじっと堪えていなければいけないのだ。
「すぐ終わらせるから」
「ん……」
モニターをチラッと見ると、モジャモジャとした暗号のような文字――アラビア文字でメールを打っているので恐ろしい。
「佑さん、何か国語分かるの?」
「分かる、って言い方をされると……どうかな。マスターして商談もできるという意味でカウントしている言語と、ある程度聞き取れたり少し書ける程度の言語とでは、括り方が違うと思う」
「うん……。何かよく分からないけど、沢山話せるのは分かった」
曖昧に納得すれば、またポンポンと背中が撫でられる。
しばらく室内に静かにクラシックのBGMが流れ、佑が流れるようにタイピングする音が響く。
「……石油王のお嬢様、綺麗だった?」
「妬いてる?」
「……そ、そうじゃないけど……。中東の人って美人が多そうって思っただけ」
「『どれだけお金持ちだった?』って聞かないのが、香澄らしいな」
「お金持ちは、クラウザー家を見て感覚が掴めたような気がするし……」
「でも中東圏はケタ違いだな。文化様式も異なるし、見ていて綺麗だと思うよ。脚が治ったら、ドバイ出張とか少し余裕を持たせて観光もしてみようか」
「ドバイって世界一高いタワーあったよね。えぇと……なんとかハリファ」
「ブルジュ・ハリファ。興味があるなら、今度一緒にタワーに登ろうか。因みにあそこは何でも世界一が揃ってるよ。人口島やモール、世界一高いホテルとか」
「……お金持ちだねぇ。そしたらやっぱり、佑さんみたいに忙しくしているのかな」
嘆息すると、微かに媚肉がぐちゅりと佑を咀嚼した。
エアコンの効いている室内だが、触れ合った肌は微かに汗ばんでいる。
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